【有料記事/ルヴァンカップ準決勝第1戦前々日レポート第3報】「チームの戦い方を左右する」ボランチで新境地を開拓する田邉草民と控えめな梶山陽平(2016/10/04)
日本代表招集によって森重真人と丸山祐市が不在となり、さらに徳永悠平が負傷離脱していることで、センターバック、サイドバック、ボランチのやり繰りが難しくなっているFC東京。準々決勝と同様に、高橋秀人と吉本一謙がセンターバックとして浦和レッズの攻撃を跳ね返す役目を負うのだとすると、ボランチに置ける選手もかぎられてくる。
ドイスボランチのパートナーが誰になろうとも、このところ先発出場をつづけている田邉草民が欠けることはなさそうだ。
もともとは攻撃的な中盤の選手で、ドリブルと得点が評価の基準だった。しかし2011年に東京がJ2で戦っていたときは、平山相太と高松大樹の負傷離脱後、地上戦コンセプトに移行したチームにあって、サイドハーフとしての出場ではあったが、低い位置から前線まで、持ち前のキープ力とドリブルでボールを運びポゼッションを下支えする役割を果たしている。ボランチをこなせる素養がなかったわけではない。
ディフェンスを覚えていかなければならないことは確かだが、キープ力はボランチの位置で奪われず次の展開につなげる際に役立つ。ドリブルで相手のマークを剥がし、あるいは相手の位置をずらすことで、2列めやトップにつなぎ、あるいはスペースを空けることもできる。攻撃的な中盤としての能力を応用することで、田邉なりに描くボランチ像でチームに貢献できているのだ。
堅固な守備をベースにパスとミドルシュートというボランチ像とは異なるが、これはこれで効いている面もある。
田邉は言う。
「周りのチームを見ても、世界でも、いま守備的な選手が主流という感じでもないですし、特に前からプレスに行くようなチームは、ひとりで守備をやるというタイプを置かないというか。どっしり構えるようなチームであれば、ひとりで守備をするからだが強いひとが必要ですけど、(現状では)そんなこともないな、と自分では思っています。守備とか苦手だけど、自分なりのやり方というか。それである程度の感触はあるな、と」
チームの仕事をしながらも自分を輝かせるようになってきたのでは、と訊ねると、田邉は最初「そう、そうですね」と何度か繰り返し、肯定で答えを終わらせようとしたが、思考をめぐらせているうちに言葉がつながったのか、次のようにまとめてきた。
「いままでは点を獲ったりドリブルをすることが評価されるし自分としてもそれが気持ちいいポイントだったけど、
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