青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

【最終節直前特別無料記事】Preview1◆正しい戦況判断で目的を達成せよ。進化途上の青赤軍団、“無敵大宮”に挑む~田邉草民、篠田善之監督(2016/11/01)

FC東京は明後日11月3日、NACK5スタジアム大宮で開催されるJ1 2ndステージ第17節に臨み、年間順位4位の大宮アルディージャと戦う。
不振に陥っていた三カ月前から「選手も求めていた」という強度の高いトレーニングで90分間走りきる体力を身につけ、見違えるようになった、篠田善之監督率いる東京。今シーズンのJ1開幕戦で土をつけられた大宮に最終節でやり返し、有終の美を飾りたいところだ。

「相手も調子がいいけれども、自分たちも調子がいい。一試合一試合積み重ねてきたものをぶつけたい」と意気込むのは田邉草民だ。
“篠田東京”のサッカーはシンプルな基本原則を叩き込まれた選手たちが、それを遂行するうえで個々の能力を発揮するもの。こまかな戦術で動きを制限しつつ個の能力をスポイルする発想のサッカーとは異なり、選手が自身の力で打開する余地がある。
また、技術だけでなく、判断に於いても選手個々のそれが求められ、もし想定していた戦い方がその日の相手に当てはまらなければ、ときに独自の戦況判断で正しい対処をする必要がある。この点は篠田監督が就任当初から説いていたことだが、近頃のトップチームは、対応力のある組織になってきたようだ。田邉は言う。
「そうですね。前からアグレッシヴに行きたいですけれども、前節の仙台戦では自分たちの判断で戦い方を変えました。次の大宮戦もそうなる可能性がある。状況に応じて引くときは引きます」
この選手たちの成長に、篠田監督は目を細める。
「勝利するために考えている。どうすれば勝点を獲れるか。このあいだの試合(前節のvs.ベガルタ仙台戦)で言っても、彼ら自身によってゲームのなかで修正できていると思うし、ハーフタイムにもしっかりそういう話をしていた。そのままやってほしい」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

伝統的にブロックを敷き4-4-2ゾーンディフェンスを志向する大宮アルディージャをいかに打ち崩すか。今シーズンの開幕戦では、FC東京は無得点で敗れている。ここ10試合7勝3分けと好調を維持、無敵艦隊と化した大宮にたやすく勝てるとは思えないが、青赤軍団の士気は衰えない。
「大宮の戦い方は頭に入れますが、そんなに難しくは考えない」(田邉)
おそるるに足らずというよりも、考えを単純明快にした結果、不要なおそれが消えた感がある。
篠田善之監督も「大宮は年間4位。それだけいいチームを渋谷(洋樹監督)さんはつくり上げた。得点力がある」と最終節の相手を高く評価しながら、「どの相手にも継続してやるだけ。どの相手に対しても自分たちに何ができるか。引きつづきその姿勢を貫く」と言い、まったくブレていない。

2月27日の開幕戦、ホーム味の素スタジアムで0-1のスコアで敗れた、その借りを返すリベンジマッチの性格があることを、篠田監督は明言した。
「開幕の大宮戦は悪くないゲームだったし、勝たなければいけなかったところを負けてしまった。それで波に乗れなかったのは事実。そのときの借りを、最終節で返すつもりで、みんなも臨んでいます。どういう変化が生まれ、いま以前よりもできるようになっているのかを証明しなければいけない。楽しみなゲームでもあります」
東京が強くなった理由。7勝2敗2分けの結果は、何が生んだのか。小平で流した汗は嘘をつかない、という。やはり練習の成果なのか。
「トレーニングをやるなかでより実際のゲームに近いものを要求するのであれば、自然と強度の高いものになる。それをやっておかないとゲームではできない。それが伸びている要因のひとつなのかもしれません。ぼくらが意識的に求めているんだけれども、選手たちも求めていた。(強い負荷のトレーニングを)継続してきた結果であると同時に、選手たちが望んだことをやっているからということでもあると思います。でも、そこはすごく難しい。コンディションを維持しなければいけないなかで(体力増強を)やっていくのはすごく難しい。しかしそれをおろそかにすると、ゲームにならない。きつかろうが、からだが重かったりしても、同じようにやる。ただ成績が向上した原因がほんとうにそれなのかどうか、ぼくにはわからないです(笑)」
篠田監督は笑顔をたやさない。
降格の危機がひしひしと迫る状況での監督就任に、大きなプレッシャーがのしかかったはずである。そもそも、トップカテゴリーのサッカー監督とは、ペップ・グアルディオラやパコ・ヘメスの独白を待つまでもなく、精神的な消耗が激しい職業である。篠田監督にも、平等に圧力は降りてきたはずだ。しかしときに無精髭が伸び、ときにやつれたような表情を垣間見せることがあっても、コーチから指揮官に立場を変えて以来、あかるさを失わずにここまでたどり着いたことが、チームを一定の位置に引きずり上げる一助となったと思えてならない。天皇杯が控えているが、まずはシーズンを走りきったその思いすべてをぶつけ、いいゲームを見せてもらいたい。

——–
■後藤勝渾身の一撃、フットボールを主題とした近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(装画:シャン・ジャン、挿画:高田桂)カンゼンより発売中!
◆書評
http://thurinus.exblog.jp/21938532/
「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
◆購入または在庫検索は下記までお願いします!
http://www.amazon.co.jp/dp/4862552641
http://www.keibundo.co.jp/search/detail/0100000000000033125212
http://www.kinokuniya.co.jp/disp/CKnSfStockSearchStoreSelect.jsp?CAT=01&GOODS_STK_NO=9784862552648
http://www.junkudo.co.jp/mj/products/stock.php?product_id=3000187596
http://www.honyaclub.com/shop/g/g16363019/
http://www.tsutaya.co.jp/works/41336418.html
———–

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ