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【有料記事】【新東京書簡】第十信『叶わなかったことの重み』海江田(2016/11/11)

第十信『叶わなかったことの重み』

2014年の途中から、およそ2年半指揮を執ってきた冨樫剛一監督。

2014年の途中から、およそ2年半指揮を執ってきた冨樫剛一監督。

■J2にしがみつくことの意味

後藤さん、J2で生きることの意味を教えてくれって、取ってつけのフリにもほどがあるでしょ。いいんだよ、別に聞きたいことがなかったら、フリなしでも。そもそも手紙って、そういうもんだから。昨日、寒かったからおこたつ出したとかさ。ふわっと取り留めもないこと、だけれどもたしかなリアリティ、手触りや体温のあることを書いていったほうがよろしいと思うんですね。

今季の東京ヴェルディは残留争いのメインキャストとまでいかないけれど、わりといい役柄をもらったんですよ。現在17位。残り2節、まだJ3降格の危機から脱し切れていない。何度も頭によぎったね。もし、最悪の事態になったら、このクラブは持ち堪えられるのかと。その点では、J2にしがみつくことの意味はたしかに考えた。

おれは、失敗したらやり直せばいいと考えるから、土台から吹っ飛んでその機会を失うことが何より困るんだ。うちにとって、J3降格ってそういうことだから。仮にクラブの存続が約束され、これまでの舵取りが改められるということなら、それも一手かなあと思った。でも、約束なんてあるわけないし、より悪化する可能性だってある。リスクが大きすぎて、そんな賭けにはとても乗る気にはなれない。

そうして、ここは是が非でもしがみついて、いま一度態勢を整えるしかないという結論に至る。

戦力の増強、特に新人獲得の面では、J2にしがみついているだけでは不十分だとわかっている。こないだ、大学に進学するユースの選手と話したとき、「いつかランドに帰ってきたいと思いますか?」という僕の問いに対して、彼はこう話した。

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