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【無料記事/新人戦決勝L第3節第1報】規律正しい武蔵野U-18に苦しんだFC東京U-18、辛勝で決勝進出決定。西が丘に待ち受けるはヴェルディユース(2017/02/05)

反撃の口火を切った原大智。後半22分、打点の高いヘディングシュートで1点差に迫った。

反撃の口火を切った原大智。後半22分、高さを活かすヘディングシュートで1点差に迫った。

2月5日、FC東京U-18は東京ガス武蔵野苑多目的グランドで平成28年度 第18回 東京都クラブユースサッカーU-17選手権大会決勝リーグ第3節に臨み、東京武蔵野シティフットボールクラブU-18と対戦、2点のリードを許したものの、逆転で3-2の勝利を収めた。3戦全勝で決勝リーグ「2B」1位となったFC東京U-18は、味の素フィールド西が丘で開催される2月11日の決勝戦に於いて「2A」1位の東京ヴェルディユースと東京一を争う。

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難しい試合になってしまった。ここまで2勝の東京は多くのメンバーを入れ替え、フレッシュな組み合わせで臨んだが、キックオフ直後わずか25秒、武蔵野にあっさり右サイドを割られてPKを与えると、ゴールキーパー大本竜司が飛んだのとは逆を衝かれ、先制を許してしまう。これで動揺したのか、ボランチと守備陣は何をするにもおぼつかない様子でいつものプレーができず、攻撃陣も単独の仕掛けでふたつめの連動がない。7分には左サイドから侵入を許してあわや失点という事態を招き、13分にも左サイドからシュートを許してしまう。その後も押し込まれてセットプレー、あるいは機を見てカウンターと攻め立てられてしまった。右に岡庭愁人、左に坂口祥尉と、昨年のJ3出場経験者を両サイドバックに揃えながら劣勢を挽回できず、ふわふわしたプレーがつづくと、ついに佐藤一樹監督から「サッカーをなめるな!」とカミナリが落ちる。
これでいくぶん引き締まった東京は、右サイドハーフの吹野竜司や岡庭からの攻撃が実を結ばないと見るや、左サイドの坂口、小林幹からの攻撃にシフト。しかし、適切な距離感とポジショニングで4-4-2の組織を維持、流れるようなカウンターで攻め、テンポよくプレーする武蔵野から主導権を奪い返すことはできず、0-1のままハーフタイムを迎えた。
よく規律が行き届いた武蔵野に対し、個のポテンシャルで上回っていてもそれを発揮しきれない東京は、はたして残りの45分間で挽回できるのか。

好調の武蔵野は右サイドバックを替えただけでセカンドハーフに臨んだ。いっぽう、東京はメンバーの交替がなかった。先発の11人は、前半45分間のマイナスを自ら払拭しなければならない。
開始37秒、2トップで先発の吉田和拓が戻してボランチの寺山翼がシュート。積極的な姿勢に転じた様子だったが、後半10分、右コーナーキックから武蔵野に押し込まれ、点差を0-2に拡げられてしまう。
勝つために手を打たなければならなくなった東京は12分、フォワードの吉田と今村涼一、ボランチの寺山と中谷太地、この中央エリアの4人を替えて反撃に転じる。ピッチに入ってきたのはボランチの小林真鷹と平川怜、フォワードの原大智と久保建英、現在のレギュラークラスだった。以降はボール支配で東京が上回り、個人技で武蔵野の守備陣をふたり、3人とかわしていく場面が目立つ。先手を取り、セカンドボールをマイボールにできるようになった東京は後半22分に岡庭の右コーナーキックから原がヘディングで得点。さらにその2分後にも岡庭のクロスから再び原がゴールを決め、あっという間に2-2の同点に追いついた。

この試合の前におこなわれた第一試合ではFCトリプレッタユースが杉並FCユースに2-1で勝ち、得失点差マイナス2の2勝1敗。もし武蔵野が東京に2-3で勝てば得失点差プラス2の2勝1敗で2位となり順位決定戦に進めるため、諦める気配はない。ゴールキーパーがチームを鼓舞し、再び東京に向かってくる。東京の優位は揺るがなかったが、武蔵野もゴールを割らせない。しかし20分間を耐え抜いた武蔵野の前に引き分けかと思われたアディショナルタイム、後半48分に芳賀日陽が左サイドから自ら持ち込み渾身のシュート! このゴールで東京は3-2と試合をひっくり返すことに成功した。
残り時間は1分。武蔵野は最後まで可能性を捨てずサイド攻撃を敢行するが、東京はゴールを割らせず、タイムアップ。決勝リーグの全勝突破と決勝進出を決めた。
決勝戦の相手はヴェルディユース。この日、しっかりと狙い通りのサッカーをしてきた武蔵野を相手に実力を発揮できなかった反省を活かし、猛練習に励んで決戦当日を迎えたい。

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◆書評
http://thurinus.exblog.jp/21938532/
「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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