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【無料記事】コラム◆ACL初戦勝利で波に乗り、ますます手強い鹿島。東京はハードワークで抑え込めるか(2017/02/21)

鹿島アントラーズがACL開幕戦で蔚山現代に2-0の勝利を収めた。浦和レッズを3-2で下したゼロックススーパーカップにつづく勝利であり、さらに2017年という暦で言えば天皇杯決勝から公式戦の勝利が途切れないままだ。やはりFIFAクラブワールドカップ2位の成績は伊達ではない。昨年10月22日にFC東京が2-1で勝ったときの鹿島とは別物だと認識しなくてはならないだろう。2016シーズンには柴崎岳をサイドハーフに異動させるようにして成立していた小笠原満男と永木亮太のドイスボランチに今シーズンはレオ シルバが加わりローテーションが容易になった中盤、韓国代表クォン スンテと昨年の守護神である曽ヶ端準がならぶゴールキーパーなど、各ポジションで戦力が向上している。

ゼロックスとACLを戦ったことでいくぶん疲労が蓄積されているかもしれないが、公式戦連勝で勢いに乗っている現状ではマイナス要因にはならないだろう。鹿島にとっては、このACL開幕戦と25日のJ1開幕戦は同じホーム・県立カシマサッカースタジアムでの開催で遠距離移動がなく、消耗は最小限に抑えられている。おまけにゼロックスとACLとでは先発メンバーが異なり、6人もの選手が入れ替わっている。両サイドバックの西大伍と三竿雄斗が伊東幸敏と山本脩斗に、ボランチの小笠原満男が永木亮太に、両サイドハーフの遠藤康と土居聖真が中村充孝とレアンドロに、フォワードのペドロ ジュニオールが鈴木優磨に――と、運動量の多いポジションの選手に休みが与えられ(※遠藤、土居、西はACLで途中出場しているが)た。
連戦の疲れも見せず、土曜日の鹿島は手ぐすね引いて東京の来訪を待ち構えているに相違ない。

言い換えると、ゼロックスでもACLでも先発したセンターラインの5人が鹿島の軸となる。クォン スンテ、昌子源、植田直通、レオ シルバ、そして金崎夢生。
特に金崎の存在が大きい。フル出場したACLは無失点勝利を挙げているが、65分で下がったゼロックスはそのあとの時間帯に2失点を喫している。金崎がボールを収め、リズムをつくる重要な選手であることはまちがいない。では金崎を抑えていればいいのかというと、そうでもない。林彰洋が「長短のパスを使い分ける」と鹿島を評していたように、彼らは何かに偏らない、オーソドックスな王道のサッカーをするチーム。ピッチをワイドに使って中長距離のパスを飛ばすこともあれば、技巧を発揮してショートパスをつなぐ局面もある。相手と状況によって変幻自在。しかも新加入選手たちの特技であるドリブルという妙味も加わっている。
難しいが、東京が鹿島に勝とうと思えば、昨年に対戦したときと同様、前からプレッシャーをかけて守備網に嵌める時間帯をできるだけ長くつづけ、失点を少なく抑えることが先決だ。

ロースコアゲームになるかもしれない。0-0の時間がつづき、東京の決定機は片手で数えられるほどかもしれない。しかしその一回をものにする決定力は、大久保嘉人、高萩洋次郎、太田宏介が加わったぶんだけ、昨年よりも高いはずだ。浦和も蔚山も勝てなかった相手だけに勝つことは容易ではなく守勢にまわる時間が多くなることも予想されるが、ハードワークを貫き、少ない決定機を活かして勝点を狙う外はないだろう。

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◆書評
http://thurinus.exblog.jp/21938532/
「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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