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【ホーム開幕記念特別無料記事】動じない青赤軍団。大久保(嘉)「あしたの試合からまた新しい何かが始まると思いながらやりたい」~前日コメント◆篠田善之監督、橋本拳人、大久保嘉人、森重真人(2017/03/04)

大久保嘉人。

大久保嘉人。

森重真人。

森重真人。

3月3日、FC東京は小平で非公開練習を実施。本日4日のJ1第2節vs.大宮アルディージャ戦に備えた。

大宮に対する準備は完璧に整っているようだ。篠田善之監督は「大宮は特にことし、立ち上がりはしっかり前から来る。自分たちはその背後をどうとるか、ゴール前にたくさん行けるシーンをつくろうとやってきたつもりです」と、力強く語った。
沖縄・国頭キャンプでの練習試合で対戦したときは両チームともにからだが重かったが、大宮のコンディションも東京同様、開幕を迎えたいまとなっては、格段によくなっているはずだ。しかし前からプレッシャーをかけつつ、以前から取り組んでいる4-4のブロックをさらに熟成させるという大宮の大きな方向性は変わらない。直前になって大前元紀が出るか出ないか、撹乱するかのような情報も飛び交っているが、そのような些事に動じる気配はない。篠田監督は言う。
「大前が風邪をひいているという情報もありますけれども、ちがう選手が出ればちがう役割になる、たとえばペチュニクが出れば高さがあるだろうし、そのときにしっかり対策ができるようにとは、みんなにもうインフォメーションしています。状況によって考えていかないといけないことはありますけれども、基本は変えずに、90分を通してスタートからやりたい」

開幕戦同様にボール奪取で先手を取るための尖兵となりそうな橋本拳人は、一戦必勝のかまえで己を研ぎ澄まさせている。
「一試合一試合ぶつかっていくと、みんな思っている。先を見すぎず、一試合一試合勝っていきたい。個人としても眼の前の戦いに対して準備して臨んでいる。結果を求めてしっかりプレーしたいと思います」

成功体験をいったん忘れ、眼の前の試合に集中する姿勢は、橋本だけでなく、すべての選手に行き渡っているようだ。
鹿島アントラーズに勝つ前の日と同様、大久保嘉人の表情が鋭くなった。
「なんと言っても、次、勝たないといけないから。最初の試合は忘れて、先のことも考えず、あした(4日)の試合だけにぶつけていきたいですね」
大宮の印象はどうかと答えを求めると「大宮? わからない。毎年いっしょやん」。大宮のブロック守備を崩すためにいい距離感とコンビネーションを保った攻撃が必要になることは認めたが、畏れてはいない。ゴールを期待する周囲の圧力もまったく意に介していない。
「あわてずにね。決めることは決めるんで、いつも。あわてずに。あそこ(味スタ)は印象がいいので。カズダンスしたなと思いながら(2015年5月2日、通算140ゴール)ね。天皇杯とかもそうやけど。いいイメージがあるので。勝点3というのも忘れて、あしたの試合からまた新しい何かが始まると思いながらやりたい」

大一番に臨む集中力でものにしたカシマ決戦。ホーム開幕となるきょうこの日の試合に向けても、東京はテンションを高めてきている。
森重真人の言葉は、昨年までとちがう何かを感じさせる。
「このホームの試合で勝たないと、前の試合で勝点3を獲れたことの意味もなくなる。自分らは継続して、一年間を通していろいろなことを証明していかないといけないので、一喜一憂している時間はない。すぐ切り換えて、今週は大宮のことを考えて一週間準備できた」

チャンピオンの鹿島に勝ったからと言って、すべての試合で勝利が約束されたわけではない。大宮は昨年シーズン年間5位の強豪であることを忘れてはいけない。リスペクトし、警戒し、分析する。厳密な姿勢でこの一戦に集中している。
「大宮はやっぱりいいチームですし、組織的にまとまっているチーム。90分間のなかで勝点を獲るのが巧いチームだと感じています。アントラーズもそうでしたし、大宮もそういうチームだと思うので、がまん強くというのは引きつづきやっていけたらなと思います。そういう相手から勝点3を獲ることはかんたんじゃない。
攻撃のときは間、間にボールをつけてきたり、サイドバックが位置を高くとるところもある。アーリアに入ったときがスイッチなのかなと思いました。以前に練習試合で対戦したときには出場していなかった大前(元紀)選手のようないい選手も前にはいるので、攻撃は警戒しないといけない」

優勝決定戦のような歓喜が印象的だった前節の終了直後。いいシーンではあったが、まだ一試合が終わっただけだ。喜びすぎてもいけないし、なにより決勝戦なみの士気を維持しようとしても、そう長くはつづかない。東京が初めてJ1に昇格した2000年も、開幕からの五試合は尋常ではない強さを発揮したが、年間トータルでは五分の星勘定に落ち着いた。だからこそ、第1節よりも第2節、第2節よりも第3節と、さらに謙虚に、厳密に、チームを仕上げ、内面を充実させ、高めていく必要がある。
森重はそのことをわかっていた。
「アントラーズ戦、そんなに自分らが完璧な試合だったと思っていないですし、やっぱり紙一重で、あれが入っていれば、あれが外れていればと、ぎりぎりのところで勝ったと思っていますし、自分らも、すごくいい状態にいるとは思っていない。常に危機感もあるし、常に試合をやってみないとわからない部分が多い。
一試合めはなんとかモチベーション、アドレナリンでなんとかできますけど、それが二試合、三試合、四試合と、モチベーションだけで行けなくなったときに、本来の自分たちの力というものが試されるのではないかと思うので、この二戦め、三戦めは、より難しくなるんじゃないかと思います」

そうであればこそ、シーズンが進むにつれ、スタンドの声援もより重要になっていく。最後にものを言うのはクラブの総合力だ。非公開練習を増やして集中する環境を整え、選手も士気を高めているが、それが足りなくなってくるのであれば、補うのはスタンドの仕事。ホーム味の素スタジアムに駆けつけたファン、サポーターが、第1節を上回る応援で選手たちの背中を押す光景が頻出すれば、勝機は東京に傾くだろう。

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◆書評
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「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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