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【有料記事/J1第2節第2報】見えてきた守備第一主義。勝つチームの基礎づくりが進むなか、攻撃の萌芽も~林彰洋、東慶悟、室屋成、永井謙佑(2017/03/06)

◯安定の守備とがまんの試合運び

2試合を終えて得点のない大久保嘉人が「うしろは強いから先に点を獲れば守れる。問題ない」と言う時点で、今シーズンのFC東京がどんなチームかがよくわかる。◯◯ファーストふうに形容すればディフェンスファースト。考えてみれば、大久保(嘉)だけでなく、多くの選手が「まず守備をして、そこから攻撃のチャンスが生まれてくる」と話していた。守備第一主義は明白だ。

できるだけ多くのシュートを撃ち、多くの得点を重ねたい中島翔哉でさえ、大宮アルディージャに2-0で勝ったホーム開幕戦の解釈はほかのチームメイトと変わりない。
「相手もすごくよかったですけど、最終的に勝てたのはすなおにうれしいです。こういう試合はある。これからもっとよくしていかないといけないですけど、ああいうときに相手に(先に)点を獲られなかったというのは、大きかったと思います」

安定の源を辿っていったとき、ゴールキーパーとセンターバックの守備ユニットの堅固な様子が浮かんでくる。新守護神の林彰洋は言う。
「ことしの頭から森重選手、丸山選手と話していますけど、ぼくらが安定することによってチームを安定させることができると思っているので、本人たちには受け容れがたいことでも合っていないと思えばいいますし、彼らからしてこのタイミングでキーパーが出てほしいと思えば言ってくるし、そのすり合わせだと思っています。継続してやっていくのみだと思います」
強力な日本代表級の選手がユニットとしてのつながりをも強固にし、相手をその網にかけている状態だ。

もちろん、安定感は林個人にもある。あの長身で、しかも前に出ていけるから、いかに大宮がクロスを入れようがかんたんには決まらない。相手の闘志を萎えさせるだけのハイボールへの強さと守備範囲の広さは見逃せない。
林の言葉からも自信が感じられる。
「最後、入れてきたりしたときに、ぼくが出ることができたほうが相手にチャンスを与えない状況にできるんですけど、そこの使い分けもキーパーコーチ(ジョアン ミレッ)と常に話していて。チャレンジできるところをどんどん増やして、ペナルティエリア内のほぼすべてを制圧できればチームがどれだけ助かるかという話もしているので。ミスもありましたけど、自信を持ってチャレンジすることがいまはできていると思います。けどまだまだ(苦笑)、キーパーコーチが言っているとおりにはできていないので、ジョアンが言う理想に叶うような選手になれるよう、がんばります」

林は自身のスーパーセーブやビッグセーブにも慢心する様子がない。それは他の選手も同様だ。いかに第1節、第2節のような集中をつづけていけるかにより、成績は左右される。
「ホームの開幕戦で多少の硬さがあるなかでかんたんなゲームになるとは思っていなかった。決定的なシーンを止めれば流れが来ると思っていた。その前に決まっていましたけど。運が来ているようで、守備のほうは強固な守りができている。ときに決定機をつくられますけど、限定してくれているし、ぼくとしては対応しやすい状況がある。いちばんの敵は慢心で次の試合に臨む意気込みが変わってきたとき。継続できるようにしたい」

キーワードの「継続」を発したのが林なら、「がまん強さ」をコメントに含めたのは東慶悟だ。ここに、勝利の秘訣が見え隠れする。
「大宮は切り換えが速くて寄せも速く、ラインも高くすごくコンパクト。あれを剥がす力をつけていかないといけないですけど、うまくいかないときでも、みんなで(堪える)。昔の東京だとああいう流れから1点を獲られてさらに難しい試合になったり、0-1で折り返してそこからまたスタートしたりという展開が多かったですけど、そこをことしはないようにしようと。シノさん(篠田善之監督)になって切り換えや球際を厳しくするよう言われている。うまくいかないときでもがまん強く戦って、ああいうチャンスをものにして勝つチームになっていかないといけない。強いチームはそうやって勝点を獲っていくと思うので。90分間いいサッカーをして勝つシーンをお客さんは観たいだろうし、ホームであればなおいっそう、そうだと思うんですけど、負けたら何も残らない。いままで大宮とここ(味の素スタジアム)でやって、けっこうボールを持つことができて攻め込んでいたのに、最後にひっくり返されて負けさせられていた。ことしはうまくいかないけど、ボールが廻らないけど勝った。ほんとうにサッカーはおもしろいなと思うし、そういうものだと思う。また次の試合も意識してやれればいい」

◯少しずつ改善されようとしている攻撃

その東、森重が先制点を挙げた場面ではアシスト役になったが、

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