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【無料記事】J3第3節Preview4◆鈴木喜丈、中盤の舵を取る(2017/03/24)

広範囲を視野に収め、動き、チーム全体に影響を与えるボランチへの成長を期待したい鈴木喜丈。

岡崎慎、内田宅哉といった新人勢、そして平岡翼や佐々木渉が全体練習から離れている現在、J3メンバーのうち、中盤から前を担うトップチームの選手はユ インスと鈴木喜丈のみとなる。ボランチを務める鈴木は文字通り“舵取り”をする立場にあるわけだが、第2節のvs.藤枝MYFC戦では、第1節よりも攻撃でボールに絡む回数が増えたと同時に、ロストする機会も多かった。第3節のSC相模原戦では、瑕疵のない安定したプレーでチームを落ち着かせたいところだ。

もうひとつ、フォワードを追い越して前線に出ていくプレーが少なかったことも、鈴木にとっては反省材料になっている。本来であれば、田邉草民や橋本拳人がゴール前に到達するプレーのように、あるいはワールドカップアジア最終予選vs.UAE戦で見せた今野泰幸の縦横無尽の活躍のように、一度ボールにさわってから前に出ていく攻撃参加をしたいはず。そうしてこそチーム全体にダイナミズムがもたらされもする。

落ち着きと豪胆さ、その二点に於いてこれまでよりも一段階の上のパフォーマンスを見せたいところだが、それは容易なことではなさそうだ。鈴木は言う。
「プレーの質がまだまだ。そこを改善していきたい。課題にしている守備、セカンドボールのところは継続して取り組まないといけないと思う。一年を通じて意識しながらやっていきたいと思います」
FC東京U-18のときからFC東京U-23に参加し、既に基礎技術が一定の水準にあることはわかっている。時間が経過したぶん、成長していることも確かだ。ただその変化は、まだ劇的にあらわれる瞬間を迎えていない。鈴木が言うように、長い時間継続して練習と試合を繰り返すことで、あるとき発現するものなのだろう。

そのようにブレークを果す前の段階であり、自らの成長に気を配る時期ではあるが、鈴木はボランチとしてチーム全体を気遣わなくてはならない。
「去年は自分たちがその立場でした。去年の水沼(宏太)選手、吉本(一謙)選手、林(容平)選手のように、ことしは自分が引っ張っていかなくてはいけない。難しくなったとは思いますけど、まずは自分がプレーで見せないといけないと思います。味方をどうこう(操縦する)というよりは、プレーで引っ張っていかないといけない」

参考になるのは髙萩洋次郎だ。バックラインの辺りから中盤の前方までを動きながら指示を出す姿は、ボランチの鈴木にとってはお手本と言ってもいい。
「どちらかと言えばパスを持ち味とするプレーは似ているほうだと思います。でもやっぱり、守備のときに走りながら、自分がポジションを埋めながら味方の選手に指示を出したり、効果的にアプローチに行ったり、バイタルを埋めたり。それは上(スタンド)から観ていてもすごいと思います。盗めるところは盗んでやっていきたい」

図らずもJ1の試合を観てトップチームの選手から学び、J3で試合でプレーしてユースの選手を引っ張るサイクルにある鈴木。この立場をポジティヴに捉え己の成長に活かしていくことができるだろうか。まずはSC相模原を相手に、いかにボランチらしく振る舞えるかに注目だ。

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