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【特別無料記事】石川直宏「伝える力」について(2017/07/18)

7月16日に上西小百合議員の暴言をやんわりと窘め、あらためて言葉の持つ力とコミュニケーション能力を世に認識させた石川直宏。中断期間前最後の試合となった鹿島アントラーズとの一戦ではサポーターに共闘を呼びかけ、その行動がスタンドの空気を前向きにする一助ともなった。長くリハビリに取り組み、ピッチから遠ざかれば遠ざかるほどに、言葉が磨かれていく。やがて来る復帰戦への助走は長いものとなっているが、石川はきょうも黙々と小平で己を鍛え上げていた。現在の心境を訊ねる緊急取材。

◯Twitter上で上西小百合議員の暴言を窘めたこと

すべてをわかってもらいたいとは思っていないんです。ただ、こういう想いを持ってやっているひともいるということを理解してほしかった。(上西議員は)プロ選手でもないし、実際にサッカーをされているわけでもなく、(理解を)強制するわけではないんですけれども、ぼくはそういうところから力をもらってやってこれた。それを理解してほしいという想いと、サポーターのみなさんの想いを代弁――ぼくは代表して言えるほどの選手ではないけれど、そういう想いを持ってやってきた選手でありサポーターがいることを、少しでも理解してほしかっただけなんですけど、思ったより拡がった。
これが考えるきっかけのひとつになるかもしれない。あの方(上西議員)だけでなく、それぞれのスポーツを愛するひと、スポーツにかかわるひとにとって。ぼくはうれしかった。(今回の騒動に関連して)いろんな言葉を直接いただいていますけど、スポーツによってお互いが幸せになることを共有できたところは非常にうれしいと思います。

(同様に上西議員に意見した)高木義成選手の人柄はぼくもよくわかっています。そういったもの(暴言)が許せなくなるのも非常によくわかるし。
どんな立場のひとが見ているかわからない、いろいろなひとが見ているのがTwitterだと思うので、言葉選びは慎重にしています。熱い言葉を持っていても冷静に。そこは自分なりの言葉で伝えさせてもらいましたけど。
生き様はそれぞれ。そこに関してはなんとも言えないですね。ただ、ぼくにはぼくなりの想いがあって、生き様がある。自分なりのかたちで伝えさせてもらったというだけなんです。政治、宗教、思想はそれぞれに考えがあり、そこについては言葉にするつもりはないです。ただスポーツ、サッカー、選手という枠で言えば、ぼくに思うところはあるので。
(変なひとにサッカー界が絡まれてしまったという印象もあるが?)
そういうひとであってもスポーツの、サッカーのすばらしさを知ってほしいんですよね。だから最後に「そんな雰囲気も是非味スタで感じて欲しいな。お待ちしています」という言葉を載せました。サッカーはもしかしたらそういう見方を変えることができるかもしれないスポーツだと思う。Welcome――サポーターがwelcomeするかどうかはわからないですけど、そういう気持ちでいます。

(叩きのめせば勝ちというものではないから、むしろちょっとでも応援を背に戦うサッカーをいいと思ってもらえたらいいのでは?)
ほんと、そうですよ。FC東京を知ってくれとかぼくを知ってくれということではなく、そういう場で生き様を持って戦い、自分の人生を預けてくれるサポーターがいることを知ってほしかった。

◯鹿島アントラーズとの一戦を前に、ゴール裏に呼びかけたこと

(あの一体感が欲しいということもあり、ゴール裏の前に立ったのか?)
もちろんそういう想いもありました。自分のいまできることは何かと考えたときに、実際のピッチでは表現できない、力になれない。では何ができるのか。ピッチでは何もできないから何もしない、では終わりたくないし、いま自分にできることを周囲の協力も得てやっていこうというときに、植田朝日さんなどサポーターの方を中心に相談してそこにいたった。
みんながアップに励んで集中している試合前の貴重な時間だし、いろいろな影響を考慮し、社長、運営、広報などクラブのスタッフとも相談させてもらってあのタイミングになりました。
あのタイミングしかなかったと思います。そのくらい大事な一戦で、スイッチを入れたかった試合なので。でもぼくがスイッチを入れる前に、もう入っていたと思いますけどね(笑)。そこに上乗せしてさらに、という想いはありましたよ。

(ウオームアップを終えて控室へと向かう選手たちを出迎えてもいたが?)
ピッチに出ていくまでのあいだにも自分の想いを伝えながら毎試合送り出しています。そういう選手たちが力になると、自分が試合に出ていたときに感じたことをやっている。そういう責任も持ってピッチに立ってほしいな、と。FC東京のエムブレムをつけて味の素スタジアムでサポーターの前で戦うことの責任をやっぱり感じてほしい。
いま試合に出ている選手たちが、けがであったりなんらかのきっかけでベンチの外から支える立場になることもありうるじゃないですか。そうなればなったで、そのときの想いをまたちがったかたちで伝えてくれればいいのかな、と。そういうことの繰り返しでチームは成長すると思っています。

(死力を尽くしたうえでの敗北であればファンに納得してもらえる可能性もある。姿勢は重要なのでは?)
そうですね。それこそ相手を賞賛するべきだし。すべてのものを出し尽くしたなかでどうだったかを判断しながら、日々進んでいきたい。それがなかなかできていないことを外から見て感じ、変えていきたい想いは強くあったので。その姿勢を示したうえで新たな課題や発見も出てくるし、姿勢で満足することなく向上していける。いろんな選手が言っていましたけれど、そこを最低限のベースとして積み上げていくなかで目標をめざさないと、勝ち取れるものも勝ち取れなくなってくるだろうし。そこで満足していたら、いままでと同じ。もっともっと変化させ、進化させていくところが大事かなと思います。

◯復帰への情熱

あとは、全部ひっくるめてぼくがピッチで表現しないと。結果としてあらわす、それがサッカー選手なので。いまの段階で言えば(プレーから遠ざかり)サッカー選手ではない。いろいろな呼ばれ方をします。「広報」だ、「サーファー」だと。まあ、まちがっていないんですけど、でもそういうものが全部、力になることを、ぼくは証明したい。それがいまの自分を動かしているし、もっとチームに貢献したいという想いが、不思議とサッカーをしているとき以上に出てきている。
コントロールしなくてもいいと思うんですけど、そういうギラギラした部分をコントロールしないとからだが保たない。若いときはコントロールせずに、そのまま「どーん」と行けたんですけど、ギラギラした根っこと自分の経験を融合させて、かたちにしたいなと思います。

(どんどん偉人化しているようにも見えますが……)
それは周りのひとが決めることで(笑)。自分としてはサッカーをしていないので、どんどん下手になっているんじゃないかと心配しているんですけど。
ぼくは生き様としてネガティヴなことも全部ポジティヴに変えたい。後付けなんですけど、あのときにこういうことがあったから、いまにつながっている、そういうことの繰り返しでぼくはいままで生きてきた。
さきほどシャワーを浴びているときに、ふと思ったんです。2年間近くリハビリしているからこそ、こういうタイミングであらためてファン、サポーター、選手、サッカーやスポーツを愛する仲間に伝えられる状況は、いまの立場だから生まれたのかもしれない、と。これがずっと試合に出ていたら、もし年齢が若かったら、やっぱり自分の口からはなかなか言えないだろうという気もするし、そういうめぐり合わせがすべてつながるんじゃないかと、そう思った。
だからこそ、いま自分が感じたとおりに動き、言葉にしたり――いまはプレーできないので言葉でしかあらわせないということもあるんですけど――それがこの先につながっていくのかな、と。

(言葉が磨かれている?)
そうです、そうです。いままで以上に考えていることが多いし、考えていることをプレーで表現できないから言語化していくわけで。言葉には力もあるし。プレーのほうが力があると思うんですけど、ただ、言葉にできることにはすごい力があると思う。いままでないくらい考えに考えて、でもプレーできない、どうしようと、めぐりめぐっている。そういうものをエネルギーに変えているというのが、いまなんですけどね。

個人的なところから、いま自分がかかわっているFC東京というチームを変えていきたい。では変えていくためには何をするべきか、どうすれば変えていけるのか。まず、ポジティヴな雰囲気でやること。このクラブにいてしあわせだ、とか。「しあわせ」と言っても甘えではなく、切磋琢磨して高いレベルのサッカーができるとか、ああいうサポーターの前でサッカーができるとか、環境を含めてもっと上をめざせるという雰囲気をいかにつくり出せるか。それがあって、そのなかにもちろん競争があって。
たぶん、それらを積み重ねて変化し、進化していくと思うんですよ。それがいま、ぼくにできることだし、そういう変化、進化しつづけ、どんと突き抜ける。
長いんですけど、助走が。疲れて途中で止まったりすることもありますけど、しつづけることの大切さをピッチの上で見せたいですよね。いままでの自分がピッチに立ってプレーしていたときの想いとはまた異なる想いでプレーできる日が来ることが楽しみで仕方がない。そういう想いでリハビリをしています。
そのなかで、いまできること、いましかできないことを積み重ねる。逃げずに、ブレずに。

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「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

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