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【無料記事/安間貴義“暫定”監督体制初日第3報】数字から自由になれ。固定観念を捨て、解放されよとのススメ――安間貴義監督(2017/09/12)

サッカーは数字じゃない、と安間貴義監督は言う。
「(世の中は)5-3-2とか3-5-2とか3-4-3とか、いろいろ数字を言うんですけど、僕のサッカーは動きながらなので、なんでもいいんですよ。2-3-3でも3-2-3でも。プラス、2ワイドという感じです。だから、試合展開によって高い位置を取っている時間もあるし、攻められているのであればコレ(両ワイドが下がって最終ライン5枚)だし。あくまでもそれは解説者の人が分かりやすく伝えるために言う数字だと思っているので。数字に囚われてほしくないというのはあります。例えば、ワイドとか、サイドバックとか、センターバックとか(いった場合に、初期ポジションに固定されたイメージで)、センターフォワードと言うと、センターにいないといけないと思うじゃないですか? サイドバックならサイドにいないといけない。そういう言葉に縛られちゃうと、彼らのよさを決めてしまっているところがあると思う。その辺を一度解き放ちたいなというので、そういう話をしました。動いてちょっとずらしていこうというのは、言ってあります」

「ずらしていこう」の端的な例はヴィッセル神戸との試合にあった。
https://www2.targma.jp/wasshoi/2017/08/16/post10998/
一部抜粋する。
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DAZNに加入されている方は、ぜひ映像で振り返ってみてほしい。セカンドハーフ開始直後、左サイドの丸山祐市から前線に長いボールを送るとき、左インサイドハーフの選手がマークについている神戸の選手を引き連れて左サイドに向けて動き、コースを空けていることがわかる。
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こういう判断を、ベンチの指示を仰がずとも、選手自身が瞬間、瞬間で予測し、判断を下して実行できるようになれば、数字から自由になれる。

しかし相手チームが3-1-4-2の構造上のウイークポイントを衝いてきていたことは確かだ。最終ラインをスライドしきれないときにできるスペース、3バックの両端が上がったあとのスペース、アンカーの脇。アンカーの脇に関しては中盤の選手が交互に埋める、最終ラインに関してはつるべの動きを意識することで解決するはずだったが、連敗中は不安を解消できていなかった。

あえて、その質問をした。安間監督は次のように答えた。
「ほかのチームの知り合いのコーチに『東京、どうだった?』と訊くと『我慢していれば凡ミスしてくれる』と言うんですよ。自分たちの凡ミスで失点して、凹んでいるあいだに2点めを取られて、『コレじゃいけない、もっと』と無理して前に行って、行けるかもと思って3点めを取られて、さらに積極的じゃなく無謀なことを繰り返して4点め5点めと。そこに数字はあまり関係ないと思うんです。もはや。失点を繰り返していることに。もちろん3-1-4-2でワイドが空くというのは、白板(はくばん、ホワイトボード)では空くんですよ。でも、パスが15メートル動いているあいだに2秒ぐらいあるわけじゃないですか。2秒あったら、絶対10メートルくらいは走れるんです。それを埋める気があるかないか。大事なのはチャンスなのかピンチなのか。どこがチャンスでどこを防がなければいけないのか。そういうものを感じられるようにしていかないと、いくら数字を並べてもひとをならべてもいっしょだと思うんですよ。そこを言っていかないと。前3枚に強力な選手を置いて、すごく迫力があってよく見えるけど、後ろがスカスカで失点を繰り返しているわけじゃないですか? だから攻めているだけじゃダメだし、守っているだけでも点は獲れないし。そのゲームの流れを感じ取れればいいと思います。きょう、最後に4対4のミニゲームをやったんですけど。撃ち合って、1点リードしたら引くチーム、逆に負けているのに引くチームは後ろで回していればいいよとか、負けているチームはひとり残っていていいよとか、そのゲームに対して、みんなが立ち位置(設定)をちゃんと変えていたんですよ。終わったときに『いまの試合展開でやり方を変えてやっていたじゃん』って言って。そういうのがゲームコントロールだと思うし。大事なのはその4人が同じ目線を向いてやっていること。日本人のストロングポイントは組織力だと思うし、そういう全員が同じ方向を向けるものを言葉に出せって話をして。ただ、組織力だけど、組織を潰すのは一個人じゃないですか? そこはグッと、みんなで(同じ方向に)向けなければいけないし、ダメなら僕は(その一個人)を外さなければいけないし。やっぱり自分が数字とかよりも同じ方向を向けてやるのが大事だと思っています。もちろんその、戦術というぐらいだから、『戦う術(すべ)』じゃないですか? その方向性をつけるのはぼくだし、それはしっかりと示していきたいと思っています」

ミニゲームのなかで、選手たちはみなテンポよく、つないで、外して、動いて、瞬間的な予測を繰り返し、連動していた。ボールを支配しながら攻撃的に、タテに、相手の急所を衝いていく光景は、過去に安間監督が関わったチームでも見られたものだ。そういったものを身につけていこうとする意図がある。
「日本ではサイドチェンジがいいパスだと言って教えちゃうじゃないですか。サイドチェンジをすることによって数的不利になっている場面がたくさんあるのに、褒めてしまう。それを繰り返すことで味方同士の距離がどんどん離れていって、近くに味方がいなくなってしまう場面があるので、めざすのはまずゴールと意識させるのが大事だし、きょう一日の流れのなかで、動きながらボールを廻す、3vs.1をやっていてタテにトイメン(対面)に入れるというのは、やっぱり仕掛けるパスということなんです。(中略)もう一回、できるんだぞという自信をつけてほしい。いろんな引き出しがあるはずなんです。ただ、負けているからか大事に行こうとするプレーが増えてきているし、どうしても『失うな!』という声になる。真面目に、もっと純粋に、仕掛けることを考えてくれたら、彼らはもっと羽ばたけると思っています」

こうした「安間塾」「安間道場」の集中講座を受け、短期間に選手たちがどれだけ己を高め、組織力を高められるのか。安間監督「笑いは祓い(笑)」と言う。たしかに笑顔は増えた。淀んだものを祓いながら、純粋にサッカーに没入する時間を過ごし、安間東京は次節の味スタをめざす。

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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