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【無料記事】仰天ダブルレフティ起用!? 小川諒也の“ベイル大作戦”も、実現は負傷した太田宏介の快復しだいか。安間貴義監督「メディカルには試合に間に合うトライをしてくれとお願いしている」(2017/09/13)

右から左に移ったあとの小川諒也。

取材に応じる小川諒也。

異変が起きた。
午前中の紅白戦ではBチームの左ウイングバックに入っていた小川諒也が、午後は先発組の右ウイングバックに入った。左は太田宏介。まさかの両ワイドでのダブルレフティ起用だ。

思い出すのは2016年6月12日のJ3第12節、味の素フィールド西が丘で開催されたFC東京U-23vs.藤枝MYFCだ。後半25分、負傷離脱から復帰した室屋成のコンディションを調整するため、彼を右サイドバックで途中出場させたのだ。するとそこまで右サイドバックを守っていた柳貴博が4バックの左にまわり、左サイドバックで先発した小川が右サイドハーフに入った。試合後、この起用について安間貴義FC東京U-23監督(当時)に訊ねると、次のように答えた。
「小川選手については、去年(2015年)から、レアル・マドリーのベイルを例に挙げて『おまえのプレースタイルならもう一個前もできるんじゃないか』と話しながら、日々過ごしていました。いま、トップも、前線でひとりで相手を抜いて突破していく選手がなかなかいないので、そこを見せられるようになれば、懐の幅も拡がってもう一回トップにチャレンジできる準備ができると思うので、ポジションを与えました」

左サイドバックからキャリアをスタートして右サイドハーフや右ウイングでプレーするようになったスターと言えばガレス・ベイルの名前が挙がる。ベイルのごとく小川の攻撃力を活かすなら、右はいいプランだ。

しかし、それは一瞬で終わった。太田が足を傷めて退いたからだ。右ウイングバックには柳が入り、小川は左に廻った。

安間監督は右での起用の意図についてこう言った。
「仙台はワイドにドリブラーが来るので今回はそこにぶつけてもおもしろいと思う。でも(太田)宏介がひねってしまったので」
負傷の状況はまだわからないが、太田の起用をあきらめたわけではない。同じ紅白戦で足を傷めた永井謙佑とともに、可能であれば次節vs.ベガルタ仙台戦に間に合わせたいという安間監督の意向がある。
「メディカルには試合に間に合うトライをしてくれとお願いしています。少しでも選択肢は多いほうがいい。状態を見て、いまいる選手たちのほうが勝つ確率が高いならば彼らを使うべきだし。(監督が)ぼくになったときに、世代交替はうすうす感じていると思うけど、無理やり世代交替をするチームって弱いじゃないですか。そこは見極めていかないといけない。宏介には『情熱がなくなって悟ったように退くような雰囲気があるときは退けよ』」という話もしたし、だけど、(大敗のあとスパイクを)叩きつけるほど悔しいならもう一回トライしろよ、と思うし。けがしていてもできるのか、けがした選手(太田)よりもいまいる選手のほうがいいのか、様子を見ながらやるべきだとは思います」

じつは、室屋成がvs.浦和レッズ戦で負傷したあと、当時コーチだった安間監督は、篠田善之前監督に小川の右での起用を進言していた。その頃、噂を聞きつけて小川に訊ねてみると、どうもほんとうのことらしい。実際には柳とユ インスの競争になったものの、小川が右になる可能性もあったのだ。そのくすぶっていたプランが、実現しかけている。

「最初、一瞬だけ右をやっていたけど」と声をかけると、小川は「そうなんですよ!」と、高揚しているのか戸惑っているのかよくわからない調子で答えた。
「いつもホワイトボードを見て紅白戦に入るんですけど、スタメンのほうの左サイドを見て、(太田)宏介くんの名前がある。では自分はサブのほうなのかなと思ったら、そこには『内田(宅哉)』って書いてあって。オレどこ? って探して右サイドを見て──という感じでした」

小川は室屋離脱後のプランを思い出し、この話題をつづけた。
「(室屋)成くんがけがした次の試合のときに『おまえ、右サイドもできるっしょ』みたいなことは言われていたので。けっこう篠田さんにも提案していたらしくて。それが柳になったんですけど、まあ、それなのかな、と」

右と左とではかなり趣が異なる。しかしJ3で一度、いいパフォーマンスを示した経験からすれば、できないことはないのではないかと期待は高まる。
「(右でも)動きとか運動量とか、やることはそんなに変わらないと思う。自分の左側に選手がいるのは違和感がありますけど、中に入っていってシュートを撃つのはやりやすくなる──右足で上げるのか、オレ(苦笑)」

太田が快復、またはある程度いい状態になることなく、左でプレーすることになるかもしれない。その場合でも、小川はベガルタ仙台を相手に頼もしい武器となりうる。
「仙台も3バックで、(サイドで)1対1の場面が多くなると思うので、そこではたぶん右とか左とか関係なく対人が求められる。守備に関してはあまり変わらない。攻撃に関しては自分は左で持つことが多いので、センターバックからダイレクトでフリック気味に来たボールを出すのは、こっち(右)サイドのほうが出しやすいと思いますし、左利きの利点はあるのかなと思います」

はたして太田は永井とともに出場できる状態になるのか、そして小川はどのポジションでどのように起用されるのか。すべては三日後の夜に判明する。

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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