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【有料記事/J1第27節】レポート◆ギャンブルに出た東京、返り討ちに遭い4失点の大敗/コメント◆前田遼一、ピーター ウタカ、永井謙佑、安間貴義監督<総評>(2017/09/23)

9月23日、FC東京は日立柏サッカー場でJ1第27節に臨み、柏レイソルに4-1の大敗を喫した。
前にボールを運べないまでも、相手のプレスをかいくぐって保持する、あるいは前半18分に伊東純也がドリブルで進入してきたときにふたりがかりで止めるなど、試合開始から25分間は刷り込まれた対策を意識してなんとかゲームを壊さなかった東京だが、28分に決壊した。奪ったボールをさらに奪い返される恰好で、東慶悟がキム ボギョンにカットされ、数的不利となり、最後はスイッチするようにボールを受けた武富孝介に、左足のシュートを左隅に決められた。

0-1のまま終わることをよしとしない安間貴義監督は、自ら「ギャンブル」というメンバー変更。ハーフタイムに柳貴博を下げ、橋本拳人を右ワイドに出し、東慶悟を中盤に配置、ピーター ウタカを前線に投入し、力ずくでゴールを奪いに行く。
しかしセカンドハーフのキックオフから12分間こそ、捨て身の突撃でチャンスをつくったものの、スローインを受けたハモン ロペスのドリブルを止められず、ほぼ無抵抗でクロスを許し、右から中央に入ってきた伊東純也にヘディングで追加点を奪われて2-0。これで態勢は決した。7分後には左サイドでのパス廻しを柏に許し、瞬間的に武富と伊東に髙萩洋次郎がひとりで立ち向かう2対1の状況をつくられ、ワンツーで背後に抜けられて武富のシュートで失点。その2分後にはクリスティアーノにグラウンダーのフリーキックを直接決められて4-0とされた。

それでも突撃を試みる東京は後半30分、ピーター ウタカが倒されて得たPKを自ら決めて1点を返す。さらに途中出場の前田遼一が守備の穴をふさぎ、ボールを保持するとともにチャンスをつくろうと奮闘、チャン ヒョンスも小平で練習していたロングスローをペナルティボックスに投げるが、2点めを奪えず3点差の敗戦となった。

試合後の共同記者会見で、「自分たちも対策を講じたが、柏レイソルも対策をしたはず。ボールを保持したときにパススピードが緩いところを衝いてこられたのでは?」と問うと、安間監督の答えは「武富(孝介)選手、あるいは中川(寛斗)選手を真ん中に置いてきている時点で、配置でわかっていました。それに対してしっかりとポジションをとっているところを廻しているうちはそれほど重症になっていませんでした。ただ、一回途切れて(東)慶悟から(橋本)拳人に行ったときに止まってしまい、タイミングが合わないところから失点しているので、その一瞬を大事にできるかできないかが、上にいるチームと下にいるチームの差だと思っています。技術的に言えば、相手が来ているんだったら、前のふところ、ウラのスペースを見ることができれば、もう少しちがってくるのではと思います」だった。

選手同士が動きながら互いに近づいてボールを運んでいく、あるいはスペースに出ていくといった距離感や連動への意識に於いて、柏のような上位チームはもちろんリーグ戦では中位の浦和レッズにも格段に質が劣る東京。
最悪の状態からチームをつくり直して二週間のチームと、シーズンを通して練度を上げてきたチームとの差と言えばそれまでだが、残り7試合で上位に値するような実力を身につけることは絶望的だ。

とはいえ、いま採用している戦術が来季にそのまま結びつくわけではなく、安間監督が言うように「あきらめる姿勢をなくす」、つまり土台以前の気風を立て直すことがミッションである以上、どんなに悪い状態であっても、少しでも改善して次の体制にバトンを渡すため、現在のチームでもがきつづけなければならない。

もちろん、プレーの面でも前進する必要がある。
前田は「セレッソ戦のときとはちがう」と、内面の変化を確信する言葉を残したが、それを誰にでもわかるようにチームとしてプレーで表現しないと、応援をつづけているファン、サポーターを納得させることはできない。
次節の相手も強敵だ。ジュビロ磐田は容赦してはくれないだろう。

◯前田遼一の談話

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