【無料記事】J3第25節Preview◆チームに勢いを! 岡崎慎、前衛への供給線を築けるか(2017/09/28)
3-4-3採用後は鈴木喜丈が3バックの中央を務め、その隣に同学年の岡崎慎が立つ布陣がつづいているFC東京U-23。3バックのもうひとりは前節が長谷川光基、その前が山田将之と、週ごとの編成事情によって変わるものの、鈴木+岡崎のコンビが一定している点は心強い。ディフェンスは組織プレー。FC東京U-18でも息の合っていたふたりがユニットとして機能していれば、連携面での不安要素は少なくなる。
3バックの特性に加え、鈴木に背中を預けることができるという事情も手伝ってか、このところ岡崎の攻撃参加が目につく。上がっていくときに反対サイドの、たとえば山田将之の位置は気にするか? と訊ねると、岡崎は3バックの位置はあまり気にしない、と言う。
「あまりヤマくん(山田将之)のことは気にしないですね。マッチアップしているフォワードの選手や、同サイドの(味方の)ウイングバック、ボランチとの位置関係を見ます。たとえばボランチがヨネくん(米本拓司)だった場合に、ヨネくんが一個落ちてきて、相手フォワードの選手と同じライン上、もしくは一歩前くらいでヨネくんからパスを受け、そのファーストタッチの時点で相手の3トップを全部剥がしているくらいがいちばん気持ちいいというか。一回(相手を)剥がしてからうしろに返すぶんに関しては、ラインが上がるのでそこは(ディフェンダー、ディフェンスラインとの関係や距離を)意識しますが」
攻め上がる頻度が高いことには理由がある。
「攻撃が好きなのでひとまず前に行きたい。低い位置からだと、そうとう質が高くないと(ユ)インスやウラの動き出し、前田遼一さんの足許にぴたっと合うボールを出すのは難しいですから。特に3(スリー)になって、ミスをしたらすぐ失点(に結びつく)というのはわかっているので」
つまり精度、スピードや強さを考慮すると、一歩前に出たほうが、フォワード陣へといいフィードなりスルーパスを送ることができる、というわけだ。
そのセンスや技術に関しては、ユースで培ってきたものの見せどころなのではないか――と水を向けると、岡崎は同意した。
「そうですね、ユースのときにだいぶ暴れていたので(笑)、どれだけ暴れたらやばいかとか、その反対にこれだけ行けば相手がどうなると、ある程度学べたので、そこはいいかなと。右左交互に、中央に、あるいはワイドもと、器用にこなしていけるといいと思います」
長期間のリハビリは彼にとってのシーズンオフ。やはり一度、生活のサイクルのなかに練習を落とし込んでいかないと、“仕事”であるサッカーと並行して取り組んでいる学業から何から、勝手がくるうらしい。けがから復帰した現在がようやく開幕後のようなもので、サッカーのリズムが整ってくると、生活も整いはじめたという。
「激しい“遊び”はやめました。バスケが好きで、体育館でやる気満々でやっていたんですけど。そのほかにもスポッチャやバッティングセンターなどの施設でからだを動かす遊びが好きだったんですが」
しかしプロサッカー選手である以上、一日に運動する量をコントロールすることも必要だ。まして負傷離脱から戻ってきたばかりとあっては、より慎重にならざるをえない。
「よくないときに膝をさらに酷使するのも問題ですから。治ったあとであればバスケはリハビリに最適なスポーツだと思うんですが、ジャンプとそれに伴う着地、接触を考えると、まだそのときではないかな、と」
けがと付き合いながら、プレーできる状態に調整する術(すべ)を身に付けたことは自信になってもいる。からだの状態を把握する自覚も、プロとしての成長の一端を示すものだろう。
運動する度に痛みなどの症状が出るが、その波は日数を経るごとにゆるやかになってきているという。いまはバスケットボールはお預け。しかしじきに再開できる春も来るだろう。それまでに何度岡崎が攻め上がり、前線にいい配球をすることができるのか。
まずは10月1日に味の素フィールド西が丘でおこなわれるJ3第25節vs.グルージャ盛岡戦で、彼の前向きなプレーを目撃したい。
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「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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