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J1出場を視界に捉えつつある平川怜の武器とは?

堂々たるプレーを見せた平川怜。ダイナミックな動きでパサーにとどまらない怖さを発揮し始めている。

平川との連携が活きた久保建英。早期のJ1出場をめざす。

「このままではだめだ」という危機感を抱き、インドで開催されたU-17ワールドカップから帰京した平川怜。久保建英とともにしばしの休みをとったのちの国内復帰戦となったJ3第29節「FC東京U-23vs.福島ユナイテッドFC」で、彼の動きは際立っていた。前半11分、右サイドで保持していた内田宅哉からスイッチするようにボールを受け取った久保が、急所を衝く速いパス。動き直した平川へのものだった。平川は力強くゴール近くへとドリブルで割って入り、深くえぐるとマイナス方向のパス。シュートポジションに入っていたリッピ ヴェローゾが左足で流し込んだ。完璧な崩し。1点ビハインドの東京が福島に追いつく貴重なゴールだった。U-17ワールドカップでも見られていた自らボールを持ち出して仕掛けるプレーがアシストとして実った瞬間だった。このゴールシーン以外にも同様に仕掛けていく動きが目についた。

練習も含めてまだオーバーエイジ(OA)と共演したわけではなく、世界の舞台から戻ってきて一試合め。中村忠監督も評価について口を濁していたが、少なくとも23歳以下の選手のなかでは突出し、たくましかった。
「ふたりは悔しい思いをして帰ってきたようです。技術やフィジカルだけではなく気持ちのうえでもまだまだ伸びしろがあるふたりは、意識を高めて帰ってきたと思うので、長い目で見ていきたい」
FC東京U-15むさしで平川と久保を指導し、ボールを動かすサッカーを実践してきた中村監督の視線も先を見据えていた。

「ことし中にチャンスがあればJ1をめざしていきたい」
試合後の平川はこう語った。この日J3にフル出場した彼にとってのチャンスはJ1第32節以降の3試合となる。
「はたくだけじゃなくて、自分で入っていけるようにやっていきたい」
FC東京のアカデミーからパスを散らせる、はたくことができる中央のミッドフィールダーが出現する事例は多い。しかしそれだけでは怖さがない。平川は自ら運び、入っていく動きを武器だと認識し、相手にとっての脅威となっていた。
「はたくだけじゃだめだというのは、誰が考えてもわかることだと思う。そこを強みにできる選手になることは必要なのかなと思っています」

中村監督が「まだ伸びしろがある」と言い、そして世界との比較で平川自身が「危機感を抱いている」と言うように、取り組む意識に於いて一歩先に踏み込んでいることがわかる。もちろんその他の要素も。フィジカルについて訊ねると「まだまだ改善できるところは数えきれないくらいあると思っていて。それがどんどん高いレベルに到達すれば自分の出せるプレーがもっともっと拡がって活躍できるのは当然だと思う。継続してというか、もっともっとやっていきたい」

近々のJ1出場が噂されてきた久保がプロ契約か――という情報が飛び交いはじめたが、若手が早期にトップをめざす潮流は変わらず加速していくだろう。久保と同等以上のパフォーマンスを発揮している平川にどのような視界が拓けるのか。次世代を担う10代の動向から目を離せなくなってきた。

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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新聞等はその都度「点」でマスの読者に届けるためのネタを選択せざるをえませんが、自由度が高い青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジンでは、より少数の東京ファンに向け、他媒体では載らないような情報でもお伝えしていくことができます。すべての記事をならべると、その一年の移り変わりを体感できるはず。あなたもワッショイで激動のシーズンを体感しよう!

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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