青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

過去二年で青竹のごとく伸びた平川怜と久保建英【取材後記】

おとなと席と同じくしても違和感のない堂々とした佇まい、精悍な顔つき。

平川怜と久保建英の記者会見が終わったあと、FC東京U-18とU-23を担当するスタッフのひとりは「これで自分の手を離れてしまうんだな」と、教え子を見送る教師のように、寂しげに呟いた。無理もない。成長期のふたりは瞬く間に大きくなり、周囲で見守るおとなたちの背丈を越していく。胸板が厚くなり、すっかりアスリートのからだつきになった平川と久保は、もう“先生”がいなくてもやっていけるほど立派に振る舞っていた。彼らはこれからトップチームで、おとなの世界に飛び込んでいくことになる。

記者はコメントを文章に起こす際に、もとのニュアンスを損ねない範囲で言葉を編集していく。だから久保の記事を書くとき、以前は彼の口癖である「えっと、まあ」を省く作業が常だったが、もうその必要もない。もはや久保の回答は理路整然としていて、淀みなく紡がれていく。

フォトセッションの撮影用にと用意された色紙に、久保は「努力」と今後に向けた指針を記した。その理由を彼はこう語った。
「きょうからずっと終わることはないものは何かなと考えたときに、やっぱり努力をしなくなった時点で選手としての成長が止まると思いました。自分がこれから来月、2年後に、どのようなレベルにあったとしても、さらに上をめざして努力しつづけることで、きのうの自分よりいいい自分になれると思っているので。そういう意味で努力という言葉が好きですし、それにしました」

昨日のレポートではプロ契約をする理由やその資格についてできるだけ詳細に書くよう努めたが、おそらく、そうした記事を読まずとも、なぜふたりがプロ選手となったのかは、ピッチに立つ平川と久保の佇まいを眺めるだけで感覚的に理解できるだろう。高校一年生と中学三年生の身分でFC東京U-18Aチームの試合に出るだけでは刺激が足りず、U-23にカテゴリーを上げても同様で、より高い水準を彼らは求めた。この間、わずか二年。若者の成長は青竹のごとくあっという間だ。

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後藤勝渾身の一撃、フットボールを主題とした近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(装画:シャン・ジャン、挿画:高田桂)カンゼンより発売中!
書評
http://thurinus.exblog.jp/21938532/
「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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「青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン」とは

 

「青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン」について

『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジンは平均して週4回の更新をめざしています。公開されるコンテンツは次のとおりです。

主なコンテンツ

●MATCH 試合後の取材も加味した観戦記など
●KODAIRA 練習レポートや日々の動静など
●新東京書簡 かつての専門紙での連載記事をルーツに持つ、ライター海江田哲朗と後藤勝のリレーコラムです。独特の何かが生まれてきます

そのほかコラム、ニュース、などなど……
新聞等はその都度「点」でマスの読者に届けるためのネタを選択せざるをえませんが、自由度が高い青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジンでは、より少数の東京ファンに向け、他媒体では載らないような情報でもお伝えしていくことができます。すべての記事をならべると、その一年の移り変わりを体感できるはず。あなたもワッショイで激動のシーズンを体感しよう!

 

■過去1週間の記事一覧

○3/28
○3/27
○3/26
○3/25
○3/24
○3/23
○3/21

 

◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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