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写真で振り返るナオラストマッチ【J3第34節】

ゴール裏には徳永悠平、茂庭照幸、石川直宏“東京の三賢人?”の肖像。

「東京に生き続けるナオの魂」。

試合前のウオーミングアップを終え、胸のエムブレムに手を置く石川直宏。

FC東京U-23が1点をリードしてハーフタイムへ。

ピッチ上では、セレッソ大阪U-23のサブスティテュートメンバーに入った茂庭がからだを動かす。

石川もボールのフィーリングを確かめる。

いよいよ出番が近づく。ベンチ前でスタンバイ。宮沢正史コーチの手を握る。

後半38分、ユ インスとの交替でピッチへ。残り時間はわずかに7分とアディショナルタイムのみ。

小川諒也がナオの左腕にキャプテンマークを巻く。「右で着けようと思ったんですよ。そしたら『いやナオさん左っすよ』とかって、(小川)諒也が(笑)。『でもおれ、右腕に着けてたと思うんだけどなあ』なんて。『いやたぶん、左だと思います』とかって。左に着けました。まあ、キャプテンマークの部分もあんまり考えてなかったし、このJ3のU-23のほうでもやっぱり毎試合、試合に出てクラブ、チームのことをよく知ってる選手もいるし、やっぱそういった選手たちが引っ張っていくべきだと思っていたから、最後に任せてもらったのはありがたい。ほんと、ここ駒沢ではすごくいい思い出しかないんですよね。キャプテンマークをそれこそ2009年も巻かせてもらったりとか、試合でゴールしたりとか。デビューもそうだし。ほんとうに思い入れのあるスタジアムですね」(石川)

茂庭もスタンバイ。チームメイトと監督に感謝しながらの船出だった。石川について茂庭は「いやでも、ほんとうに引退するのかなという感じです。全然やれてるじゃんと思いますから。そのうち食事に行くと思うので、『(引退を)撤回してもいいんじゃない?』という話もしますし、だからきょうは『おつかれさん!』とも言ってないです。まだそういう気持ちになれないし、ほんとうに辞めるのかなという感じです。顔もすっきりしていたし。それは引退を決めたからすっきりしているのか、こうしてピッチに戻ってきてやっぱり現役っていいなというのを感じてすっきりしているのかわからないので(笑)。もしかしたらナオもこれだけ言ってきて、やっぱり(引退を)止めたなんて言えませんという状況だから――これでシーズンは終わるから、来年になってやっぱりまたやりますというくらいならまだいいんじゃないかと。来年、開幕したとき『やっぱりサッカーはやれません』となれば、そのときは『おつかれさん!』というかもしれませんが、来年の開幕戦でアイツいるんじゃないかと思えるくらいの感じです」。

その間にもナオは激しいプレーを繰り広げる。

そして茂庭がピッチへ。米本拓司が出迎える。後半41分。

後半43分、ナオの左コーナーキック。

信じられないゴール。「おれが(得点を決めた選手に向かって)行こうと思ってたんですけどね。誰が決めたかわかんなかったから、とりあえずそっちの方に行こうと思ったら、なんか集まってきたから。自分が獲ったわけじゃないけど、みたいな」「いやほんと、アシストのこと考えていなかったんですよ。自分でゴールを獲るイメージしか持っていなくて。コーナーは昨日一本蹴ったんですけど、きょうだったら諒也がいて、いいキッカーがいるんでここはもう任せようと思ってたので。でも自分が最後にいてこれを持って向かっていったときに、きょうはこう、ふぅ、って落ち着いたふうがあって。最後のシュートは力みすぎましたけれど、あのコーナーキックのシーンはほんとうに冷静に、場所が見えたというか、そこに置いて行こうかな、っていう感じのボールが蹴れたんで。はい。ほんとうによかったですね。決めてくれましたね、(原)大智が。大智も来年からほんとがんばってほしい選手のひとりだし、入院も一緒にしてたんで。脚も細くて、ほんとこいつ大丈夫かな?って思ったんですけど、あれよあれよという間にすごくたくましくなって、これからも楽しみですね。入院でのホットラインが(笑)、結果につながったかな、っていうふうに思います」(石川)

アディショナルタイムは5分。

長い残り時間。廣末陸は「いやでしたよ(苦笑)。もちろんいやでした」「いやもう、ほんとうによかったです。コーナーキックで失点したとき(後半44分)はどうなるかと思ったんですけど、まあ、なんとか守りきれてよかったです」

2-1と1点差に詰め寄られたFC東京U-23。このリードを守りきれるのだろうか。

がんばれ、ナオ。

タイムアップの笛。安堵した米本と熱い抱擁を交わす。「(石川登場後)ナオさんのことばかり見ていました。ナオさんとは9年間いっしょにやって、ぼくがリハビリをしている期間、2年くらいはいっしょにリハビリをしていたと思うので、引退してしまうのはほんとうに感慨深かったです。ナオさんがいなければサッカーを辞めている可能性もあったかなと思うくらい、ナオさんにはほんとうにお世話になったので、勝って『おつかれさまでした』ということを言いたかったという想いが強かったです」(米本)

最後のヒーローインタビュー。

ウイニングボールを手放さない。

メインスタンドの声援に応える。

和やかなベンチで、ボールもキャプテンマークもそのまま。結局、キャプテンマークはミックスゾーンで取材を受けるまで身に着けていた。「実はいまも巻いてて(笑)。まだ取ってないんですよ。何かきついな、と思って見たら、いまなんか手をもぞもぞしたら、まだ着けてるんですよ(笑)。これ、持って帰ろうかなって思って」(石川)

アウエー側のゴール裏へと歩いていく石川。その先には、

セレッソ大阪U-23のサポーターが。

セレッソ大阪のルヴァンカップ戴冠を讃えた石川は「これからは選手ではなくちがう立場になりますが、日本サッカーのため手を取り合いがんばっていきましょう」と呼びかけた。前日はマイクを使ったスピーチの最中に、ガンバ大阪のゴール裏に挨拶した。なぜそのように、昨日もきょうも誠実な態度で相手チームのファン、サポーターに挨拶をしたのかと訊ねると、ナオは「やっぱり切磋琢磨してお互い勝つために、喜び合うために、真剣勝負があるからこそより喜びが生まれると思うし、そこに、ぼくは常に相手のファン・サポーターに対してリスペクトを常に持っていました。相手選手もそうだし。そういうこう、なんだろうな、時にはちょっとこっちがスイッチ入っちゃうような野次だったり(笑)、ありますけど、でもなんかそれはなんだろうな――まあ、愛と自分は感じて、うん。ほんとうに切磋琢磨していっしょにやってこれたと思うし、そこの感謝ですね。ウチのファン、サポーターはウチのサポーターで愛してますけど、ほんとうに、昨日で言えばガンバ、きょうのセレッソ、ほんとうに感謝してますね。あんな横断幕持って(笑)」。

セレモニーが始まり、一度下がる石川。

過去、FC東京に在籍した選手、監督からのメッセージ。

10分間のトークショーには笑顔しかなかった。傍らでは東京ドロンパも頷きながら話に聞き入っていた。

最後の刻が近づく。

茂庭の背番号2も。

バックスタンドからゴール裏へ。

画角に収まりきらないほどの記念撮影。

権田修一、高橋秀人などの顔も。

最後の“シャー”。アマラオの時代から受け継がれる儀式。

東京ファンの声が止まらない。

胴上げ。二度、三度と宙を舞う。

盟友の塩田仁史と歩く。ナオシオ時代を築いた。

メインスタンドの前でもシャー。

「もう、こういうのも最後なんだな」と、ファンの呼びかけと取材のカメラを前につぶやいた石川。ミックスゾーンでこのことについて訊ねると、石川は「ありましたね。最後になるんだなあっていうのは。やっぱこの景色が見たかった。昨日も勝てなくて残念で。ことしで言えばすごく苦しいシーズンのなかでずーっと足を運んでくれて、時にやっぱりブーイングとかもあるし、もちろんそれは素直な表現だとは思うんですけど、やっぱり笑顔の姿、きっとファン、サポーターはぼくらが笑顔の姿を見たいだろうし、ぼくらもファン、サポーターの笑顔が見たいんですよね、きょうのような。だからほんと最後、昨日もみんな笑顔でしたけどやっぱ心の底から笑顔か、って言ったらそうじゃなかったと思うしけれど、きょうはまたちがう、ぼくらも心からの笑顔を出せた。だけど一年を振り返った時にはまだ反省しなくちゃいけないこともあるんで、きょうのようなひとつのきっかけというか、ヒントというか。そういうものを少し自分は刺激を与えられたかな、とは思いますけど。そういう部分でも最後になってしまう、っていうのはちょっと寂しいですね。でももう出来すぎです、はい」。

ありがとう、ナオ。

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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

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