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頂点に立つか、FC東京U-18。西の覇者ヴィッセル神戸U-18に局面の勝負で勝て【高円宮杯U-18チャンピオンシップPreviewその1】

佐藤一樹監督。

FC東京U-18は来る12月17日に埼玉スタジアム2○○2で「高円宮杯 U-18 サッカーリーグ 2017 チャンピオンシップ」に臨み、日本一の座をかけてプレミアWEST王者のヴィッセル神戸U-18と対戦する。初期にはすべての試合がノックアウト方式、のちに一次リーグとノックアウト方式の決勝ラウンドからなる形式だった前身の大会「高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会」でも東京の最高成績は準優勝に留まっており、神戸に勝てばクラブ史上初の優勝となる。クラブチームだけの大会である「日本クラブユースサッカー選手権」、Jクラブユースと日本クラブユースサッカー連盟の各地域代表が参加する「Jユースカップ」とは異なり、高体連の強豪校も交えた大会であり“真の日本一”との但し書きがつく独特の重みを持つだけに、タイトル獲得は容易ではない。馬場憂太らを有した2001年度、そして前身の形式で最後の大会となった2010年度と、東京は二度栄冠に近づきながら弾き返された。2010年度は三浦龍輝、松藤正伸、廣木雄磨、武藤嘉紀、佐々木陽次らが先発、サンフレッチェ広島F.Cユース相手に先制したものの逆転されて敗戦。途中出場の岩木慎也がシュートを放つなど2点めを獲ろうと食い下がったが追いつくことができなかった。ベンチには野澤英之と二瓶翼が手付かずのカードとして残っていた。

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昨年はスケジュールの都合で実現しなかったが、選手たちは佐藤一樹監督とともにこの数年、チャンピオンシップを現地で観戦するようにしている。一昨年は鹿島アントラーズユースがガンバ大阪ユースに勝ち、戴冠する場面を目撃していた。
「指をくわえて観ていました(苦笑)。いつかここに、と」(佐藤一樹監督)
その夢の舞台まであと二日。東京は歴史を塗り替えるべく、神戸に勝つための準備を進めてきた。15日はセットプレーの練習に取り組んだ。初の日本一に向け、小平の人工芝コートに心地よい緊張感がみなぎっている。

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現在のヴィッセル神戸U-18は4-3-3でボールを動かしていた以前までとは戦い方を変えてきている。つなぐところももちろんあるが、フィジカルを前面に押し出し、ラフであっても長いボールを蹴り、ロングスローも含めた多彩な攻撃を繰り出してくる。
「鍛えられているいいチームだと思います。基本は1トップに大きい選手を置いてのサイド攻撃。彼らとは(フォーメーションの噛合せの関係で)マッチアップになる機会も多いはずで、局面勝負になると思います。攻守の“バチバチ感”が出せれば。その戦っている姿がおもしろいと思う」(佐藤監督)

しかしつないでの崩しもあれば球際の激しさや長いボールもあるという意味では、東京とは共通する面もある。やはり地力で優らないことには勝てないのではないか。ただ、90分のなかで戦力の水準が落ちないところが東京の強みだ。U-18の主力とサブ、J3と掛け持ちだった2種登録選手を合わせればその数は18人を超え、終盤の切り札に事欠かない。佐藤監督は言う。
「がんばってきた選手、調子のいい選手、推進力のある選手。もろもろの背景があるなかで選ぶ18人になると思います」

当日のメンバーがどうなるかは別にして、けがをしたり、前節で脚を傷めた選手も、メディカル上はチャンピオンシップに間に合う。選択肢は多くなるはずだ。ここに関してはU-23やU-15との連動でメンバーの出入りがあるU-18を支えるスタッフワークの力も大きい。FC東京U-18は、まさに総合的なチーム力、クラブ力でチャンピオンシップに臨もうとしている。
一年間を通した戦い、そして青森山田高校を破った激戦の代償で選手たちには心身ともに疲労の色が濃く浮き出ていたが、17日に照準を合わせて調整をつづけている。いっぽう、シーズンが最後を迎えるまでに主力を乗り越えようとする選手たちで構成されたBチームは紅白戦で容赦なくAチームを下し、全体を底上げしている。日曜日には総合力が高まった状態で神戸に対峙できるだろう。
「Jリーグでも、優勝するチームはBチームが勝つほどにめらめらと燃えているもの。サブの選手が腐るような組織では勝ちを拾えないと思う。いい雰囲気だと思います」と、佐藤監督。シーズンの最終盤、満身創痍である一方、精神的な充実度ははかりしれない。無心となった若き青赤軍団が何かを起こすことに期待したい。

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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