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Interview近藤祐介さん/その2「子どもたちはかんたんなシュートを外す。その原因は――」

かつてFC東京などでプレーし、2016シーズンかぎりで現役を退いた近藤祐介さん。現在はスクールで少年の指導をしながらときおり応援番組『Ole! FC東京U-23』(レインボータウンFM)の解説のためにFC東京U-23のホームゲームを訪れている。その近藤さんを、昨年末に直撃。ご自身のことから育成の現場、そしてFC東京U-23について、いろいろとお話をうかがった。第2回は基礎技術の高さでプロに到達した立場から、現代を生きる少年たちに足りないものを指摘。いよいよ指導論へ。

――(少し合間を挟んで)基礎的な技術の習得が大事だというお話でしたね。
近藤祐介 トラップとパスだけは上の年代に行っても負けなかったんですよ。周囲には脚が速いタイプ、からだが強いタイプと、極端な選手が多くて、そのなかでぼくの技術が抜きん出た。
――ストロングポイントがわかるやすいというか、一芸に秀でたひとばかりだったんですね。
近藤祐介 そうですね。いまは、聞いた話も加味すると「きれいな◯」らしいです。どの子も、どのスキルも平均的に伸びている。満遍なくできるはできるんだけれども、言い換えると、突出したところがない。
――その昔「もしもフィールドプレーヤー10人全員が明神智和だったら」みたいな想像がネット界隈を賑わせたことがあるのを思い出しますね。ところで、ヴィッセル神戸に所属していた2007年、J1で6点獲ってるじゃないですか。どういうシーズンだったんですか。
近藤祐介 すごく調子がよかった。あまりチームで獲ったというゴールではなかったんですよ。基本的に個人で獲っていました。ドリブル突破のほうが多かったですね。
――FC東京のときも長距離のドリブルシュートを得意としていましたが。
近藤祐介 あのまんまです。ヘディングが不得手であまり中に入らないということもあるんですけど、抜け出してシュート、というほうが入りやすかった。
――東京在籍時の、サテライトでの得点数が尋常ではなくて。まあ、トップの出場機会がそのぶん少なかったということでもあるから、喜んでばかりもいられないかもしれませんが、2004年こそ7試合で2点でしたけど、03年は10試合で7点、05年は6試合で7点のハイペースでした。固めどりもありますし。
近藤祐介 あのときメンバーがよかったということも関係あるかもしれません。あのとき馬場(憂太)くんが下(サテライト)にいて、そこからはいいパスが出てきましたから、フォワードをやるにはいい環境でした。
――技術に若い世代ならではの巧さがあったでしょうし、チームとしてもおもしろそうな雰囲気がありましたよ。
近藤祐介 気心が知れた仲間同士でへんに気を遣わなくていいですしね。
――サテライトチームはトップのコーチが監督を務めていて、ちょうど現在のFC東京U-23みたいな感じでしたよね。
近藤祐介 いやあもう、テツさん(現在ファジアーノ岡山の長澤徹監督、当時FC東京トップチームコーチ)でしたから。みんなの絶大な信頼を得ていましたよ。
――慕われていましたか?
近藤祐介 やっぱり若手はあそこ(長澤コーチの指導)で伸びたと思います。テツさんじゃなかったら、速攻で辞めていたかもしれない。そのくらい、若手にとって大きな存在でした。
――みんな遅くまで残って、自分の能力を伸ばそうと練習に励んでいました。
近藤祐介 そうなんですよ。選手個々が抱えている課題をテツさんがわかってくれているから、そこを鍛えようと向き合うことができた。
――その辺りは現在の指導にも影響していますか。
近藤祐介 そうですね、気がついたところを選手に言ってあげたほうがいいと思います。スクールで教えていると「こいつとこいつは集中力が足りない」など、それぞれの課題が目につくじゃないですか。「もう少しパスを覚えたらドリブルも生きるのにな」とか。基礎はたぶん、おもしろいおもしろくないで言ったら、子どもにとってはつまらないんですよね。だから、子どもたちに向かって言いますよ。「つまらないでしょ? でも、

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