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「限界値を上げる」高い目標が見えたFC東京U-18、変身の必要性へのめざめ/天野悠貴、金誠敏、今村涼一それぞれの変身【新人戦順位決定戦第2報】

先制ゴールを決めた今村涼一に、次々とイレヴンが駆け寄ってくる。前週の大敗を払拭する一撃だった。

◯天野悠貴の場合

先制点のクロスを上げた状況について「芳賀(日陽)選手が一回中に切れ込み、持っていて、そこをうしろからオーヴァーラップして上げました」と説明してくれた天野悠貴に、そのように隣接する選手とくっついたり離れたりという連携はこの一週間スムーズにできていたのか――と問いを重ねると、天野は「いや」と首をかしげた。
「そうでもないです。ただ前日の練習でそういうことはやっていました。お互い日常的にコミュニケーションをとっている、それがピッチ上でのプレーにもあらわれたのだと思います」
けがをしていた左足で面をつくって当てたクロスとそこにいたる動きは、技量やフィジカルを最大限に高めた選手が完璧な準備をして臨み自信満々で披露したものではないようだ。スーパーなミドルシュートにしても頻繁に練習した成果ではない。そもそもふだんミドルを蹴っているの、と訊けば「小平が工事をしていてピッチが狭いのでミドルを蹴ることができない」と、天野。小平グランドがその状態だからこそ、決勝リーグの3試合も小平ではなく深川でおこなわれた。FC東京U-15むさし出身の天野にとっては深川がホームというわけでもない。第3節のvs.三菱養和SCユース戦は「チームとしても自分自身も相手に負けていた」と天野は振り返ったが、自身が守る右サイドを崩されての失点で一定の責任も感じていたはず。ハーフタイムで鈴木智也に交替して前半45分間かぎりの出場となり、佐藤一樹監督も「さんざんだった」との評価だ。危機感を持って臨んだこの3位決定戦では、大敗を省みて姿勢を正した結果、潜在的な能力が解放されたのだろうか。

「自分が考えている以上にいろいろなものを壊し、もっと限界値を上げていかないといけない」と、佐藤監督が2018年度の新チームを見る眼は厳しい。「vs.三菱養和SCユース戦で倒れるまで出し切った選手がいたかと言えば、それは足りなかった」とも。
球際、球際、カズ東京――のチャントにある原点を失ったら、過去二年の先輩たちに比べて未熟なチームが勝ち抜けるはずもない。それは「さんざんだった」前回の天野が証明している。ただその彼にしても、

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