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「闇鍋期間を設ける」またも名言が飛び出した大木武監督、キックオフカンファレンスでも大木節を披露【2018 Jリーグキックオフカンファレンス/トーキョーワッショイ!J+】

小野悠斗(左)と大木武監督(右)。

大木武監督と小野悠斗選手が参加のFC岐阜ブースにおじゃました。ちょうど大木監督詣でが途切れたところで、少し長めに話をさせていただくことができた。
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自分で言うのもなんだが、私のものの見方には大木監督に近いところがある。だからよほど取材という意識で臨まないと同意のやりとりが多くなってしまい、言葉を引き出すインタヴューアーとしては不適切なところがある。そういうこともあり、この日の面会について特に記事にするつもりはなかったのだが、話しているうちに意味ありげな言葉が出てきたので、あえて書かせていただくことにした。
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言論の傾向や書き手の熱量についてひとしきり考えたあとの言葉が大木監督らしかった。
「みんな『庄司(悦大)がいなくなった』と、そればかり言うけれども、庄司しか選手を知らないのか」と言いたい」
意気軒昂だった。
いかに名前の知られた選手であろうと、そうでなかろうと、日々、あるいは毎年練習を重ねて磨かなければいけないことに変わりはない。使わなければ錆びる。やるべきことは庄司がいなくなっても同様であると、現場は微動だにしていないようだった。ヴァンフォーレ甲府に於ける須藤大輔がいい例だが、役割を与えて鍛えることで一定の能力を引き出し、戦力を生む経験をつづけてきているからこその自信なのかもしれない。
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その甲府、あるいは京都サンガF.C.時代に比べると、チームづくりの速度が上がってきている。昨シーズンも開幕の時点でFC岐阜のかたちはできていた。そのことを問うと、大木監督は「手際がよくなってきたんだ」と言う。
「でも、手際がよすぎて、整理整頓されたものだけになっているような気がする。それもよくないのかもしれないと思っています」
大木監督は、以前に私が書いたインタヴューで「カオスが好きだ」と言ったことを挙げて闇鍋論を持ち出した。
「闇鍋のなかから釣り上げることも必要だと思っている」
確立した方法論に沿っててきぱきと教えていくと、よけいなこと、寄り道をしない。試行錯誤がない。いろいろな意見ややり方を戦わせてああでもないこうでもないという“ごった煮”の時期を過ごさないことになる。それにはよけいな時間がかかるが、もちろん寄り道をしたぶんのプラスアルファがのちのちどこかにあらわれることにもなる、ということだと解釈できる。そうであるならば“闇鍋”はやったほうがいい。
「そうすると開幕後かどうかわかりませんが、ある程度チームづくりが進んだあとのどこかに闇鍋期間を設けることになりますが、その時間はあるんですか?」と訊ねると大木監督は「時間はある。設けられると思う」と答えた。同時に、手取り足取り教えがちになるところを、少ないヒントで選手自身に考えさせる必要性についてもふれていた。どうやら闇鍋も含め、いまいる選手たちを育てることに、やりがいを感じているようだった。
「開幕はまだかとうずうずしている」と、大木監督は闘志を燃やし、上機嫌と言っていい笑顔を満面に受かべていた。はやる気持ちが抑えられないのだろう。2月25日の開幕戦では、レベルファイブスタジアムで、J2ではビッグクラブとなるアビスパ福岡と激突する。クラブの格が高いだけでなく、今シーズンの福岡がそうとうやるだろうということも認識している。そのうえで、決して怖気づくことなく、一刻も早く試合をしたいと、手ぐすね引いて待っている。キックオフカンファレンスに於ける大木監督はそのように映った。

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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