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第三十五信『タケとかモリゲとかショウヤとか』後藤【新東京書簡】

沖縄県国頭での第1次キャンプ。この1月からの短期間で成長したと長谷川健太監督は評価している。

第三十五信 タケとかモリゲとかショウヤとか

■タケフサ

海江田さん、昨晩の味スタは久保建英のルヴァンカップ最年少ゴールで大騒ぎだったよ。得点場面、彼が要求したところにはボールが来なかったけれど、次にディエゴ オリヴェイラからのボールを受けると、永井謙佑が相手を釣る動きで右に走り込みアルビレックス新潟の原輝綺を遠ざけてくれたこともあり、久保はペナルティボックス内に抜け出した。ファーストタッチで相手ディフェンスの重心を内側に傾けさせ、次に左のアウトでタテへのコースをつくったときには、もう勝負ありだった。あとは左足で振りの速いシュートを撃つだけ。ボックス内に進むときの加速もすごかったね。もう「巧いけど遅い」という評は当てはまらないんじゃないかな。
J1、ルヴァン、J3を通じて勝ち星がなかったところに、あの胸のすくようなゴール。青赤者は溜飲が下がったと思う。得点後にすさまじい勢いでゴール裏に駆けていったのもよかったね。湯浅健二さんふうに言えば爆発的フリーランニングですよ。なかなかああいうパッションを見せないから、貴重だし、それでみんなの心を掴んだ。

試合後、壇上からファン、サポーターに向けて発した言葉が「これからどんどん上に行けるようにがんばりましょう」。「応援よろしくお願いします」じゃないんだよね。もう、久保くんとか言えないでしょ。応援するほうが「久保さんありがとうございます」と言うほかはない。ピッチ内を周回する姿も堂々としていて、歩くモーションからは「のしのし」という擬音が聞こえてくるかのようだった。この落ち着きようは凡人には真似できない。
でも呼び方戻っちゃうけど、久保くんいいなあと思うところは、たとえばJ1第3節のvs.ジュビロ磐田戦、途中交替で戻ってきたディエゴ オリヴェイラをベンチのみなで出迎えたあと、最後にディエゴの肩を“ぽんぽん”と叩いてねぎらった、みたいなとこなんだよね。FC東京U-18時代にも、キャプテンのオカニーこと岡庭愁人に向かって「岡庭さんちゃんとやってくださいよ」ってこう、若手社員が好きな上司を諌めるみたいな感じの声かけたりとか。うまく言えないんだけど。
たぶんそれだから、ちゃんとボールが廻ってくるのかもしれない。永井が軽口で囲み取材の場を和ませてくれたりするのも、久保のパーソナリティと無縁ではないと思う。長谷川健太監督もくだけた場ではかなり柔らかい呼び方で彼の名を呼ぶし、愛される何かを持っている気がする。ちょっとアマラオを思い出した。

あ、ちなみにその磐田vs.東京では、太田宏介との接触プレーがあった磐田の櫻内渚が、直後に水のボトル持ってきて太田に「すみません」みたいな感じで勧めてたんだよね。試合後のミックスゾーンでも「大丈夫ですか」ってあらためて声かけてたし。それもいいなと思いました。

で、話を戻すと、久保の進化が思ったより速い。ルヴァン最年少ゴールで示した能力を持つ久保を誰がどうやって育てられるのかという問題が出てくるけれども、現状では、本人がJ1やルヴァンカップの試合を重ねて自身で鍛えていくしかないんじゃないかな。開幕前にスポーツナビに書いた原稿では「代表云々はまだ早い。Jが開幕してから」って言ってたんだけど、そうも言っていられなくなってきたね。クラブで経験を積みながら、どういうタイミングで五輪代表やA代表に加わっていくのか。きちんと練らないといけない。

■モリゲとかショウヤとか

さてその日本代表、3月シリーズのメンバーが発表された。FC東京からは森重真人。もともと主力だからけがの治りしだいでは復帰というのは既定路線だったと思う。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「状況を見極めるため、励ますためにも呼んでいます」「モチベーションを上げるトライを彼としていかないといけないと思っています」と言っていたし、本大会に臨む可能性もまだ残っていそうだ。センターバック陣に不安が残るだけに、森重をトップコンディションに戻せるなら、連れていきたいだろう。

そして中島翔哉。東京ヴェルディとFC東京でプレーして、新東京書簡的にはいちばん扱いたい選手だ。かつての所属クラブをひきずるような性格ではないとわかっているけれど、

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