後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」

青赤と紫のエクスタシー。“名将”城福浩を“三冠”長谷川健太が迎え撃つ【J1第10節Preview/無料記事】

あす4月25日、現在2位につけるFC東京は首位のサンフレッチェ広島を味の素スタジアムに迎え、J1第10節に臨む。

広島はここまで9試合で2失点、8勝1分無敗と圧倒的な成績を残している。率いているのは城福浩監督。二度、東京を率いた時期に比べて根本的にサッカーが変わっているわけではない。初めて東京の監督に就任した2008シーズン、城福監督は「パスをつないで組み立てたいが、現実を見据えて長いボールを入れ、勝点を獲る試合もやっていく」と話してくれたことがある。二度目に東京の監督に就任した2016シーズンは、2月9日に待つACLプレーオフに向けてアグレッシヴな守備で相手を押し込みショートカウンターで点を獲りつづけるサッカーを短期間で構築し、チョンブリFCに9-0のスコアで圧勝した。今シーズンの広島はコンパクトな陣形を保ちつつ前から激しくプレッシャーをかけ、タテのレーンを意識して長いパスを入れ速い攻めを見せることもある。第9節では、東京時代によく比較されたマッシモ フィッカデンティ監督率いるサガン鳥栖に対して「後半に中盤が間延びするのは想定どおり」と言い、その空いたスペースでゆったりとパスを廻し、パトリックの決勝ゴールを生んだ。方向性は変わっていないが、質が高まっている。おそらくそういうことなのではないか。

ここまで強ければ広島ファンに“名将城福”と呼ばれるのは仕方がないことだ。では、三冠を獲った長谷川健太監督は、どのようにして広島に挑むのか。

東京はチーム全体の調子がよく、勢いに乗っている。選手個々に笑顔が見られ、雰囲気もいい。前節から中三日。vs.清水エスパルス戦でふくらはぎに違和感を訴えて交替したチャン ヒョンスのところにほかのディフェンダーを充てれば、それでチームの機能は保たれるだろう。vs.清水戦でも高いパフォーマンスを発揮した丸山祐市が起用されるのではないかと思えるが、はたしてどうなるだろうか。

広島に勝つには、隙を見せず、90分間集中を保つしかない。そのためには、ただの無駄走りではない、意図がありメリハリのきいたハードワークが必要だ。非公開のためトレーニング内容は定かではないが、もし決戦直前の東京が、首位攻防戦に向けすばやい攻守の切り換えに注力していたなら、勝機は見えてくる。勝てずとも、引き分けには持っていきたい試合。そのための備えはできていると見ていい。

長谷川監督の顔には笑みがたえない。チーム改造に時間がかかりそうな東京を瞬く間に2位まで引き上げた手応え、首位攻防戦に臨めるという充実感、いろいろなものが、その笑顔の背景にある。元東京の指導者があちこちのチームで活躍している状況には歯がゆいものがあるが、長谷川監督が植え付けてくれたもののありがたみを考えれば、ことしの東京は“等価交換”によって何かを得たと考えるべきなのかもしれない。

攻撃機会につなげるべくボールを奪いに行き、球際にあと一歩の寄せを求める激しさは、現代サッカーに欠くべからざるものであるし、タテに速い攻撃などは、日本代表が本来できていなければならないことだった。青と赤を混ぜると紫になる。東京と広島による首位攻防戦は、たんにJ1のトップを争うだけでなく、内容に於いても“日本サッカーサンプラー”と呼ぶべき一戦になるのかもしれない。

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書評
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「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

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