後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」

第三十七信『<続>観客動員を考える』後藤【無料記事】【新東京書簡】

第三十七信 <続>観客動員を考える

■賑わう飛田給!

海江田さん、聞いてくださいよ。あのね、4月7日にJ2第8節を取材しようと思って、飛田給に向かうべく意気揚々と京王線に乗ったの。そうしたらけっこう混んでて。で、飛田給駅を降りてもFC東京の週末昼間の試合みたいな賑わいでさ、それが味スタにつづくあの路でもずっとつづいているわけ。ロティーナ監督体制でこれだけ成績がいいと――いまもそうだけど、第7節終了時点でももちろん無敗だった――やっぱりサッカーファンの反応もちがうな、やっぱり上位に進出するとお客さん集まるよなと、ライバルクラブのことではあるけど小躍りしたわけですよ。なんか黒いシャツ着た若者もちらほらいるし、おおそうか、ヴェルディゴール裏も黒シャツのウルトラスが増える傾向にあるのか、なんて勝手に想像しながら、味スタへと歩いていったね。

ところが。

歩道橋からペデストリアンデッキのところで合流する人々の流れが、一部、再び分かれていくじゃないですか。左手に。そういえば最近、武蔵野の森総合スポーツプラザではJリーグの日にいろいろライヴやってるよな~アビスパ福岡を応援していることで有名な田村ゆかりさんとか、と考えながら左に歩いていくと、開演を待つ若者がたくさんたむろしていて。黒いシャツを着ているわけですよ。
「まさか!?」
奥へと進んでいくと、そこには――。

ファンのみなさんもこの二カ所で記念写真を撮っていた。

あああああー! 欅坂46か! 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVEじゃ若者集まりますわ、そりゃ。黒シャツ着てるの欅坂ファンだし……。

で、肝心の東京ヴェルディvs.FC岐阜の入場者数は3,169人。上位の効果はいったいどこへ!? 試合も玄人好みの0-0ドローだし、ヴェルディというよりはJリーグの置かれている立場を象徴するようで、前回観客動員について書いていた海江田さん同様、あらためて危機感を抱いたしだい。

■新規客を掴む参加性を!

最近、仕事の都合で、小学生男子向けのホビーに関するイベントを視察または取材に行くことがある。先日もとあるコンテンツの日本一&アジア王者決定戦を観に行ってきた。このコンテンツはプレーヤーがガチであることで有名で、おそろいのシャツやジャージをこしらえてサークルで活動しているところも多い。そういう大会参加上位者とは別にもちろんギャラリーとしてイベントを観に来ている子どもたちもおおぜいいる。本来は男子向けだけど、女の子の姿もあった。無料イベントだから開催費で足が出そうなものだけど、そこはよくできたもので、会場と同一施設内のお店で関連商品を買ったレシートを持っていくとスロットゲームに参加できるようになっていた。直接的な資金回収ではないけれど、販売促進につながっている。

大会が始まる前には、一般の子どもたちにも、ステージ上でダンスに興じたり、エキシビションマッチを戦ったりと、参加する場が与えられていた。とはいえ、なんだかんだでシャイだから、みんな出ていきにくいよね。そこで、あからさまにモノで釣る。参加してくれたら当日限定のこれこれをプレゼントしますよ、と。すると「はいはいはい!」ってものすごい勢いで手が上がる。露骨に物欲なんだけど、でもね、おとなの場合は転売とかが絡んで不純な欲がまじってるけど、子どもだからすごく純粋に欲しがってるわけ。そこは清々しかったね。
参加する場が用意されていて、参加する動機がある。子どもたちが積極的に関わろうとするコンテンツを常に生み出していかないと業界が廃れてしまうから、おとなの側の真剣度が高いのは当然だけど、それにしても競技化するくらいの作品をホビーだ漫画だアニメだと展開してきちんとビジネスにしていく手腕には戦慄をおぼえた。そしていま、小学生の男の子の興味は“ここ”に注がれているんだな、ということを実感した。

ホビーやゲームの分野では、子どもの興味を引くべく全力を注いでいる。子どもが育つと親御さんになり、次の世代の子どもたちにおもちゃを買い与える顧客になる。サッカーはそうなっているのかな?

FC東京の場合、Jリーグ全体と同じで、ファンが高齢化する傾向にあるようだ。でも若年層を取り込む云々以前の状態かな。海江田さんが言っていたように、長期的には頭打ちだったところに、短期的には過去二年間の不振によって、今シーズンは観客動員が減少している。新しいファンを取り込むよりも、もともと存在する東京ファンを呼び戻す、あるいは関心はあるけどあまり会場に脚を運ばないライトなファンに来場してもらう頻度を高める、といったことが必要になっている。それは、長谷川健太監督率いることしのチームが強くなることである程度解決できると思う。実際、平日のナイトゲームなのに、4月11日のJ1第7節(vs.鹿島アントラーズ)では17,260人、25日の第10節(vs.サンフレッチェ広島)では雨まじりの天気ながら13,425人が集まった。
問題は子どもをいかに呼ぶか。プレーヤーの子どもをスクールあるいはアカデミーに誘引する努力はしていると思うけれど、それ以外に、子どもの観客を増やすための大胆な施策が必要だと思う。キーワードは参加性。どうやって参加性を高めるか、頭をひねらないといけない。

『トーキョーワッショイ!プレミアム』後藤勝

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後藤勝渾身の一撃、フットボールを主題とした近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(装画:シャン・ジャン、挿画:高田桂)カンゼンより発売中!
書評
http://thurinus.exblog.jp/21938532/
「近未来の東京を舞台にしたサッカー小説・・・ですが、かなり意欲的なSF作品としても鑑賞に耐える作品です」
http://goo.gl/XlssTg
「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」とは

後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」について

『トーキョーワッショイ!プレミアム』は、フリーライターである後藤が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。試合のレポート、監督や選手のインタヴュー、コラムなど、他媒体では読めない量と質を追い求め、情報をお届けします。
FC東京トップチームのほか、J3、U-18、関係他クラブや東京都のサッカーについてもお伝えしていきます。

トーキョーワッショイ!プレミアムは平均して週五回の更新をめざしています。公開されるコンテンツは次のとおりです。

●試合情報(試合後の取材も加味したマッチレポートなど)
●今週の小平(練習レポート、日々の動静)
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新聞等はその都度「点」でマスの読者に届けるためのネタを選択せざるをえませんが、自由度が高いトーキョーワッショイ!プレミアムでは、より少数の東京ファンに向け、他媒体では載らないような情報でもお伝えしていくことができます。すべての記事をならべると、その一年の移り変わりを体感できるはず。あなたもワッショイで激動のシーズンを体感しよう!

◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

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