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J1最多得点19点、2位堅持、ディエゴ得点1位の陰にさまざまなドラマ。太田宏介、狙いどおりのウラへのパス。田邉草民、初先発の責任感。大森晃太郎、誕生日のお祝いに「うれしいというより恥ずかしい」【J1第11節】

4月28日、FC東京は味の素スタジアムに最下位の名古屋グランパスを迎えてJ1第11節に臨み、3-2のスコアで僅差の勝利を収めた。首位のサンフレッチェ広島が4連勝中のV・ファーレン長崎を下したため勝点差は縮まらなかったが、6差の2位を堅持、追撃態勢を維持している。チーム19得点はJ1最多、ディエゴ オリヴェイラは9得点で得点ランキング1位に立っている。

前半20分、セットプレー時のペナルティボックス内での競り合いで名古屋側にファウルがあったとの判定で得たPKをディエゴ オリヴェイラが決めて東京が先制。32分にガブリエル シャビエルが蹴った左フリーキックからジョーがヘディングで決め、1-1の同点に追いつかれるが、38分、東京にすばらしい勝ち越しゴールが生まれる。この日、リーグ戦で久しぶりにスターティングメンバーに名を連ねた太田宏介がしっかりとコントロールしつつウラに蹴った長いボールに永井謙佑が走り込み、ここで相手ゴールキーパーのランゲラックが飛び出してしまう。ランゲラックがボディで前に弾いたボールを橋本拳人がカット、そのまま持ち上がって入れたクロスを正確に永井が決め、東京は2-1とリードを拡げた。後半開始直後には相手のクリアが至近距離にいた髙萩洋次郎に当って跳ね返り、左サイドに開いていた永井の足許へ。永井が冷静に低いクロスを折り返すと、ダッシュしてきたディエゴ オリヴェイラが合わせて今シーズン9ゴールめとなる貴重な決勝点。名古屋は後半18分、フリーキックからホーシャがヘディングシュートを叩き込み1点差に迫るが、反撃もここまで。先行逃げ切りを得意とする東京が注文どおりの試合運びで3連勝、勝点を22に伸ばした。久々に先発した太田、今季初先発の田邉草民もチームの勢いを損なわぬ活躍で勝利に貢献、好調がつづいている。

○質問「最後に永井謙佑選手を替えましたが大森晃太郎選手も疲れていたのでは?」長谷川健太監督「晃太郎はいいんですよ!」
試合後に長谷川健太監督を掴まえると、苦しい台所事情が語られた。東慶悟はできれば使いたくないところだったが、そうも言っていられない展開だった──。約70分が目安だったのか、後半22分に田邉が東、後半25分にディエゴが前田遼一に、それぞれ交替した。先発を回避した東は完全休養とはいかず、23分間+アディショナルタイムの出場。「しかしあのくらいは大丈夫だろう」とも。過去の試合に於けるタフなプレーぶりが、この日の途中出場を担保した。
しかし大森はもっとたいへんだ。前節こそ後半20分で下がったが、この日もフル出場。疲れが見えた。「最後に疲れている大森晃太郎選手を替えるのかと思ったら、永井謙佑選手を替えたが?」と訊ねると、長谷川監督はこう言ってわれわれ記者をほぐした。「いいんです晃太郎は。きょう誕生日なんで、もう、ぶっ倒れるまでやらせようと」。実際、永井もコンディション的に厳しく、替えざるをえない状況だったようだ。
当の大森は平静を装っていた。「疲労がたまっているのにフル出場でたいへんなのでは?」と声をかけても、

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