後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」

ようこそ青赤軍団へ!「ほんとうに東京の一員になったんだなという実感がわいてきた」ダメ押し振り向き弾の矢島輝一、喜びの声【J3第9節第1報/特別無料公開】

5月3日、味の素フィールド西が丘でJ3第9節に臨んだFC東京U-23は、2-0でグルージャ盛岡を下し、今シーズン2勝めを挙げた。攻撃的にウラを狙い姿勢が顕著になった後半45分間は特に見応えがあったが、たんに姿勢を見せるだけでなく、重ねた結果がその内容にお墨付きを与えた。平岡翼がゲットし、リッピ ヴェローゾが決めたPKによる先制ゴール、品田愛斗の絶妙なラストパスをターンしての右足シュートで豪快にネットに突き刺した矢島輝一の正式加入後初ゴールが、西が丘のスタンドに歓喜をもたらし、「おもしろかったぞ!」という反応を巻き起こした。

試合後の共同記者会見で安間貴義トップチームコーチ兼FC東京U-23監督に「後半にだいぶムチが入ったように見えたのですけれども、ハーフタイムにどのような指示をされたのかということと、試合に出やすいJ3の環境で、ふだんいかにモチベーションを高め、競争意識を持たせているのか」と訊ねた。後者に関しては次のような答えが返ってきた。
「結局、意思とか思考というのは習慣だと思うんですよね。この試合で急に上がることはないです。ぼくらは常に、11人、18人に入ることをめざす。で、向こう(トップチーム)でおこなわれる紅白戦の(フィールド)20人に入ることをめざす。(しかし)どうしても、こっち(U-23)にあふれる5~6人がいます。ただ常にトップチームを意識させながら、トップに食いつく、ポジションをとる、こいつに勝つにはどうしたらいい、いまこれが足りないからやっておこうと、常に日頃から刷り込んでいるから習慣化されているんですね。そういう諦めない習慣があるからこそ、競ったゲームでもやっととれるようになってきていますし、負けたとしても、言っていることはすごく正しいことを言いはじめている。そういう習慣化されているものでが出ているのかなと思います。(品田)愛斗から(矢島)輝一のシュートもそっちの子たちの練習でやっているもの(の成果)が出ているので、あれも偶然ではなく必然だと思いますし、そういうものでトップチームに挑んでいければなと思っています」

必然のゴールを決めたのは後半開始からピッチに立った23番のフォワード矢島だった。
味の素フィールド西が丘でのFC東京U-23の試合では、35番を背負い特別指定で出場した2016年3月20日のJ3第2節vs.FC琉球戦以来、約2年ぶりのゴールだった。そしてそれが矢島の、ユースを出たあとでは唯一の、青赤でのゴールだった。正式加入後はこのvs.盛岡戦でのゴールが初めてだ。
あのターンは二年前にはできなかったし、あのパスコースに入ろうという意識もなかった。全部が成長していますし、調子が悪いときも一本を狙えるというのは、二年前に比べてよくなったところなんじゃないかと思います――と、矢島。彼の言葉、ナマの喜びを、一問一答でお伝えしよう。

――途中出場となりましたが、どういう言葉をかけられましたか。
矢島輝一 (原大智が退き)アクシデントのような出場で準備はしっかりできなかったんですけど、やることは変わらず、前線で起点になることと、ファーストブレイクのときの背後のことを伝えられてピッチに立ちました。
――仰ったようなプレーがあって、だいぶ長い時間が経ってから終了のホイッスルが鳴ろうかという終盤にあのゴールが生まれたわけなんですけれども、いけそうだなというような予感めいたものはあったのですか。
矢島輝一 いや、試合のなかにうまく入れていないなということを自分では感じていて、でもそういうときには一本(だけ)チャンスが来るということも知っていたので、そこの一本に自分の全集中力を注ごうと準備をしていました。ああいう一本があるというのはわかっていたことで、最低限の仕事はできたかな、という感じです。
――足許へのパスがばっちり来たように見えましたが、出し手、受け手の関係は?
矢島輝一 品田(愛斗)選手は練習のときから常にああいう一本のパスを狙っています。トップチームの練習に入れないときに分かれて脇でやる練習で、あそこのターン(※振り向いてのシュート)の練習を安間さんの許でずっとやっていて、そこで取り組んでいたことなので自然にからだが動いたというか、必然のゴールだったと思います。
――そうとう喜んでいましたけれども、どのような感情が?
矢島輝一 (中央大学で)けがをする前もゴールが獲れなくて悩んでいる時期で、(約)一年半ぶりのゴールだったので、喜び方も忘れるくらい、頭が真っ白になって。ただ、点を獲ったあとの青赤(色をまとったファン)が喜んでいる姿を見て、ほんとうに東京の一員になったんだなという実感がわいてきました。
――意識して身につけたかたちを実践、フィニッシュまで逆算したような仕事を実際にできたということは自信になりますか。
矢島輝一 そうですね。練習でやっていることがピッチで表現できたので、(トップの)紅白戦に入れないことは悔しいですけど、サブでやっているところの練習がむだではないとこれで証明できましたし、そういうところに引きつづき高いモチベーションを持って練習に取り組むことがトップチームの練習に加わっていくことにつながると思うので、まずは自分に与えられた場所で、100パーセントでやっていきたいと思います。
――J3のサポーターにはユースウオッチャーの方も多く、かける声も甘いものばかりではなく「キーチ、競り負けるな!」という厳しいものもありましたけれども。
矢島輝一 言われているとおりだと思いますし、そこは自分でも感じていて。どうにか自分たちのボールにしようとがんばっていましたけれども、きょうは試合中にうまく修正できなかったので、次節はそういうところを課題にして、それプラス1ゴールということをやっていければと思います。

先制点も、もしかしたらその1ゴールになっていた可能性もあるが、矢島は蹴らなかった。中央大学でPKキッカーを務めていた矢島だが、スポットでリッピと久保建英がポルトガル語とスペイン語で激しくやりとりをしているのを見て、自分までもが主張したらめちゃくちゃになると思い、「オレも蹴りたいけど、どちらかに譲れ」と言って断念。最終的に久保がリッピに蹴らせることにしたのだという。
PKをゲットした平岡の動きも、リッピのキックもすばらしい先制ゴールだったが、矢島が流れのなかでパスからストライカーらしい一撃で得点を加えたことで、勝利の喜びはさらに増した。試合後にヒーローとしてマイクを向けられるのも当然の働きだったが、プロとしての初“シャー”をうれしく思いつつも、満足はしていない。矢島は「やっぱりJ1のピッチで“シャー”をやりたい」「一歩一歩自分のペースで、しかしもうプロとして結果を出していかなければいけないので、焦りながらやっていきたい」と意気込んだ。
そのためにも次節もゴールを。三日後、同じ西が丘で再び挑戦の機会が訪れる。

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「クラブ経営から監督目線の戦術論、ピッチレベルで起こる試合の描写までフットボールの醍醐味を余すことなく盛り込んだ近未来フットボール・フィクション。サイドストーリーとしての群青叶の恋の展開もお楽しみ」
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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

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