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ルヴァンカップ敗退決定。この苦い薬を糧とできるか【ルヴァンカップグループステージ第5節】

◯無念の敗戦
5月9日、FC東京はデンカビッグスワンスタジアムでルヴァンカップグループステージ第5節に臨み、アルビレックス新潟に敗れた。勝点は4のまま。仮に第6節で勝点3を獲得しても勝点8のベガルタ仙台と横浜F・マリノスを上回ることができず、一試合を残してグループステージでの敗退が決定した。

前半45分間の東京は自身のコンディションの問題か、あるいは出足の速い新潟に差し込まれてか、まったくと言っていいほど動けず前に出ていけない状態。それでも中を締める守備の意識はあり、前半28分は中を締めて矢野貴章にフィニッシュを許さず、33分にも山田将之が矢野のカウンターを防いだが、34分に失点。こぼれ球を矢野に押し込まれてしまった。

新潟の1点リードで迎えたセカンドハーフのキックオフ、長谷川健太監督は梶山陽平に替えて平岡翼、久保建英に替えてリッピ ヴェローゾを投入。守備意識が高く運動量が豊富でタテへの意識が強いふたりによってチーム全体が活性化した。しかし連動して攻めるシーンが出てきても得点が入らない。後半18分、ブルーノ メネゲウのシュートを大久保択生が脚を閉じることで防ぎ難を逃れると、後半22分、最後のカードである矢島輝一を岡崎慎に替えて送り込む。
最低でも勝点1が欲しい東京は、この矢島が後半24分に倒され、ゴール前正面でフリーキックを獲得したところからさらに焔が燃えさかった。リッピか小川諒也か品田愛斗かで揉めた? キッカーは品田。このボールはゴール左上のカドぎりぎりを叩き、わずかに枠に弾かれる惜しい軌道の一撃だった。
そして後半30分、品田のシュートが新潟ゴールキーパー大谷幸輝とクロスバーに当たった跳ね返りを矢島が押し込み、同点に追いつく! その6分後には田邉草民のすばらしいタテパスを平岡が受け、平岡も柔軟なタッチの絶妙なパスを右のスペースに出すと、これを富樫敬真が確実に決め、ついに逆転に成功した。

勢いに乗って1-2と勝ち越した東京だったが、あとがつづかない。後半39分には右コーナーキックに対し身長188cmの大武峻に背後からヘディングシュートを許し、vs.名古屋戦を思い起こさせるかたちで失点。アディショナルタイムの後半46分にはカウンターから起点となった川口尚紀が脚を止めずそのままゴール前まで走りもう一度ボールを受けてのシュートというビューティフルゴールを決められて万事休す。
土壇場で守備が緩くなり、3-2の再逆転負けを喫した。

後半45分間で2ゴールを挙げ一時は逆転したものの最終的には負けたということは、いくら後半だけがんばってもだめだということ。長谷川健太監督が「非常に動きの少ない前半だった」と振り返ったように、そもそも前半45分間の内容が悪く、試合全体として後手に回っていた。

山田将之は「トップがやろうとしているプレーができなかった」と反省の弁。それに尽きるだろう。いくらJ1で前からボールを追うことをやめないサッカーを徹底しようと、チーム全体で共有できていなければ意味がない。ましてグループの生き残りがかかった大事な試合で動けなけないとなれば、これまでの努力はなんのためにあったのか。
逃げた勝点は戻ってこない。これを機に個々が己の立つ場所を見直し、どんな試合でも激しく戦えるよう取り組むべき課題を見出すことで、敗戦を意義あるものとしなければならない。

◯悔やんだプレーをバネに~平岡翼、矢島輝一、品田愛斗、富樫敬真
「セットプレーを与えないようにディフェンスできる。一試合を通して獲られ方が気になった」と山田が言うように、よくない状態でボールを失い、後手に回って前への推進力を得ることができなかった。どこかに引っかかるものを抱えながら最後まで試合が進んでしまった。

途中出場でチームを元気づけ、得点に絡んだ選手たちでさえも悔やむ声が多かった。
豪快な走りのイメージとは裏腹に繊細なパスで富樫のゴールをアシストした平岡は、

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