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長谷川健太試論 断章Ⅰ【コラム】

まったくまとまっていない文章であり思考の一部分なので「断章」とタイトルをつけたが、完成していない状態でもいま出そうと思ったことはたしかだ。世間が覇気のない西野朗ジャパンに半ば呆れ、翻ってマイクラブの価値に気づいているタイミングだからかもしれない。

今シーズンは、複数のクラブをゼネラルに取材している記者や他クラブの番記者から「東京は強いですね」と言われる。その要因を「ディエゴ オリヴェイラがいいから」とまとめる声もある。それはまちがっていないが、キャンプの段階ではディエゴは鳴かず飛ばずだった。練習で岡崎慎のスーパーなクロスをスーパーなヘディングで決めたシーンはたしかにすごかったが、強い体躯で相手を押しのける以外にストライカーとしての何かを示した時期は開幕前にはない。昨年のディエゴがJ1で残した数字は1,331分間出場5得点だった。現在のディエゴがすばらしいのは事実だが、彼を磨いた人間の功績でもあるだろう。それを成し遂げたのは誰なのか。

現場には監督、選手、コーチ以外にも様々なスタッフがいる。沖縄キャンプから15連戦まで、このスタッフたちは睡眠時間を削り休日も仕事に当て、ろくに休まず率先して働き、最高の練習環境を整え、チームを支えてきた。その責任感を持たせ、意欲を維持させているのは誰なのか。

トップチームでの出場を志す若者である小川諒也と岡崎慎のスキルを活かして勝点を稼いだうえ、太田宏介と室屋成をそれまでよりも一段上のプレー水準に引き上げたのは誰なのか。

近年は戦術理論と指導の急速な発達があり、日本がそこに追いついていないという指摘はネット上でよく見かける。それはまちがっていない。しかし監督には戦術家としての仕事以外にもマネージャーやモチベーターとしての仕事がある。雇い主、選手、メディア、ファンとうまく付き合っていく能力も必要だ。もし戦術理論が不足していたとしても、コーチが補えばいい。フランク・ライカールトがすべてをやる必要はない。ヘンク・テン・カテに仕事を与えればいい。

そのうえで言えば、長谷川健太監督には、天性のものなのか後天的に刷り込まれたものなのか、

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