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【特報】吉本一謙30歳の挑戦、アビスパ福岡へ期限付き移籍【無料公開】

FC東京に対する強い想いは変わらない。しかしサッカー選手としての人生のために、移籍という路を選んだ。

6月22日、吉本一謙がアビスパ福岡に期限付き移籍をすることが発表された。移籍期間は2018年6月22日から2019年1月31日まで。19試合消化時点でJ2の4位につけ、J1昇格を狙う福岡が、FC東京での出場機会が減っていた吉本に白羽の矢を立てた。キャプテンシー、恵まれた体躯を活かしてチームにないものをもたらしてほしいと、呼びかけられたという。
吉本は「チャレンジすることがぼくのサッカー人生を一年でも長くするためには必要。自分の価値を高めたい」と決意を述べた。自身が会長を務めていた選手会の仕事は髙萩洋次郎、丸山祐市、平岡翼、矢島輝一に託すことになる。新たに選手会の仕事を始める矢島には、将来的に選手会長を担ってほしいという。
「(矢島は)ぼくの想いを感じ取り、受け止めてくれたと思う」
髙萩以下メンバーとは昨夕に話し合い「完璧に引き継ぎできた」と吉本。
今シーズンは選手会とクラブが月に一回の会合を持ち、風通しをよくした。それが集団としてのまとまりにつながっている。この気風を今後につなげていかなければならない。
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福岡自体に東京でチームメイトだった選手が複数いるが、西を見渡せばV・ファーレン長崎やサガン鳥栖、東にはファジアーノ岡山、レノファ山口FC、愛媛FC、カマタマーレ讃岐などなどに、元東京の指導者や選手がおおぜいいる。「みんな福岡に集めます」と吉本が言うように、寂しさは感じられないことだろう。なにより家族揃っての引っ越しに夫人も同意、後押しをしてくれた。挑戦するための態勢は整っている。
なんの因果か、福岡が11月17日のJ2最終節で対戦する相手は、かつて期限付き移籍をしていたFC岐阜。もし吉本が来るとなれば、長良川に集う岐阜のファン、サポーターはどのような反応をするだろうか。かつてと異なり、岐阜はプレーオフ圏内をうかがおうかという状態。緊張感のある一戦となり、その刺激がまた吉本をたくましくするのかもしれない。

トップの選手がオフに入っているあいだ、吉本は自主トレーニングを繰り返し、走り込んでいた。

中断期間に入り、トップの選手がオフに入ったあとも、吉本は小平で自主トレーニングに励んでいた。若い選手たちがU-23としての練習をおこなう傍らでダッシュを繰り返し、精魂尽き果てて倒れ、それでも起き上がり、再び走っていた。
トレーニングメニューは吉道公一朗フィジカルコーチに組んでもらったのだという。コンディションと敏捷性を向上させ、トップの選手たちに追いつき、追い越そうという意図があった。東京で試合に出るための特訓だっただけに、この度福岡へと移籍することになり、吉本は「申し訳ない」と謝意をあらわした。その成果は移籍先の福岡で活かされることだろう。

絶え間なく何度もダッシュを繰り返し、倒れるまで走った。しかしこのあとも吉本は起き上がり、トレーニングをつづけた。

オフの最後にオファーが届いてから、短期間での決断となった。早く来てほしいという福岡の要請に応じ、発表の翌23日から合流する。
東京で試合に出られない状況がつづくと、やがてはJ2上位のチームからオファーが来なくなるかもしれないという予感も決断を後押しした。
「移籍の成功と失敗は自分が決めるもの。いま行ってどんな状況になっても辞めるときに後悔しないと思い、決断しました」

6月3日のJ2第12節「FC東京U-23vs.鹿児島ユナイテッドFC」でキャプテンマークを巻いた吉本。これがことし最後の、公式戦に於ける青赤姿となった。

福岡に在籍する元東京の選手からは「来るんですか!?」と連絡が来たという。
「あと5~6年先にいまの状況であれば移籍しないと思う。そこまでできた東京でやりきりたいと思ったことだろうし。“30(歳)までやってこそプロ”という長澤徹さんの言葉を思い起こすと、このさきは一年でも長くやりたいと思っているので、そのためにはチャレンジすることが必要」
夏のウインドーが開くまでは練習しかできない。その間はいち選手としての質を高め、転居先を決め、初出場を待ちわびる日々がつづく。
吉本一謙、30歳の決断。この挑戦が花開くよう祈ろう。

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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