後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」

司令塔としての覚醒。野澤英之、愛媛を励まし岐阜を震撼させる勝利を掴む【トーキョーワッショイJ+】

多くの被害があった愛媛から、ごくわずかなサポーターが長良川にたどり着いた。

FC東京から愛媛FCに期限付き移籍中の野澤英之が7月8日、J2第22節「FC岐阜vs.愛媛FC」に先発出場。1-2の逆転勝利に貢献した。
これまでU-18を率いていた川井健太新監督の許で巻き返しを図る後半戦のスタート、昨年一年間はホームだった長良川への帰還、そして豪雨に見舞われた両地域の対戦──いくつもの事情を背負い、野澤は引き締まった表情で、ただ必要なプレーのみを繰り返し、ミスはなかった。
「愛媛でああいう大雨による被害があったなかで、自分たちが少しでも勇気を与えられるようなプレーをしようと、試合前に話をしてひとつになった。自分たちがああいうプレーをしたからと言ってどうなるというものではないのかもしれない。それでも、少しでも力になれたら、という気持ちはありました」
すっかりおとなびた野澤は、もはやFC東京下部組織のプリンスではなく、一人前の男になっていた。

風間宏矢と再会し、緊張のなかにも笑みがこぼれる。

入場時にも。友情とともに、岐阜は思い出深い土地となった。

試合が始まり、最初の30分間は岐阜の圧倒的攻勢。その嵐のような攻撃を受けざるをえない時間帯に、野澤は無理をしなかった。身振り手振りで指示を送り、ゲームをコントロール、バランスをとり、前に、サイドにと顔を出し、プレスに加勢した。
伝家の宝刀を抜くのは要所にかぎられていた。たとえば1-1の同点に追いついた直後の前半18分。中央を前進しながら味方とスイッチするようにボールを受け取った野澤は左足で中央前方右の有田光希へと眼のさめるような左足の浮き球パスを送った。これを有田が折り返し、

(残り 1690文字/全文: 2603文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ