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これまでの壁を乗り越えるPK。平岡翼、独り立ちへの第一歩「試合を決めるゴールを獲れるフォワードになりたい」【J3第17節第2報】

1-3から2-3へ。1点差に追い上げたJ3第17節終盤のゴールは、観る者の魂を震わせた。時間帯とスコアの関係もある。久保建英がPKを獲ってもらえなかったという前段もある。しかしそれ以上に、高校を卒業してFC東京に飛び込んで以来、苦労を重ねてきた平岡翼が、しかもPKで決めた追撃弾だったということが、感激を倍加させた。

後半41分から43分にかけて、目を剥くような光景が広がっていた。ドリブルで仕掛けて、倒された者が、自らPKを蹴る。サッカーでは珍しい場面ではない。ただその主人公が平岡翼となると話は別だ。
仰天するような出来事に、夢の島のゴール裏に陣取ったFC東京ファンが声を涸らす。誰もが、平岡にとってPKキッカーを志願することが画期的であり、そしてそのキックが重い意味を持つことをわかっていた。

このときのことを安間貴義トップチームコーチ兼FC東京U-23監督に訊ねると、厳しくも温かい口調でこう言った。
「いままではなんでもかんでも譲っちゃう子だったんですけど、あそこでPKを蹴っているのが、まず、ぼくにとっては不思議で。よく自分で手を挙げて譲らなかったなというのは、あります。ただ、(自ら勝負に)行ったからこそ、そういう場面に出くわすのだと思うので、さらにプレーの深みをつけていってくれたらと思います。もっとできる子だと思います」

周囲の心配をよそに、平岡は相手ゴールキーパーの裏をかくように、しっかりと考えられたPKを決めた。狙いについて訊ねると、彼は「狙いはちょっと、企業秘密(笑)。なのであまり言えないんですけど」と、はにかんだ。

心技体というが、

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