『俺のやることが山雅の伝統になってくれたら嬉しい』田中隼磨がJ1残留に向けて示す覚悟とは(J論)

後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」

勝負師の選択に闘士が応えた気力の試合。巧さよりも強さが光った日立台の高揚。小川諒也、大久保択生、長谷川健太監督、試合後の表情【J1第16節第2報】

 “敵地” 三協フロンテア柏スタジアムでホームの柏レイソルを下したあと、ヒーローたちは高揚していた。
 前半42分、クロスに大谷秀和が合わせようとし、こぼれたボールに突っ込んできたキム・ボギョンに、それを避けることなく相対する大久保択生も突進した。危険な場面だったが、衝突を厭わず、けがをおそれず、マイボールにした大久保に対し、ゴール裏の東京ファンは賞賛のタクオコールを送った。
 このエピソードについてふれると、大久保は破顔一笑だった。
「中途半端なプレーをして負けるのだけはいやなので、けがをしてもいいから、もう突っ込んででも積極的にやろうと。悔いがないようにと言ったらあれですけど、出ないでさわられて決められるくらいなら、出て、さわれるかさわれないかの勝負をしようとは、いつも心がけているので。それがきょうは実行できてよかった」
 そして、こう付け加えた。
「まあ、怖い──危ないプレーもありますけど、そこは止めたほうが返ってくるものが大きいですし」

 得たものは勝点3。故障者と移籍、契約条項で人員不足に陥り、なんとか勝点を1でも得られれば──という空気が漂っていた東京陣営にあって、これは最高の結果だ。長谷川健太監督がこぼれてくる笑みを隠せなかったのも無理はない。4-4-2から4-2-3-1へ。選手が少ないフォワードを1トップとし、富樫敬真と矢島輝一でまわす。ハードワークで貢献できる米本拓司を先発で起用し、髙萩洋次郎をトップ下へ。岡崎慎はあえてセンターバックに配置し、右サイドバックには小川諒也。右利きならもっとよくできただろう場面もあるにはあったが、よく戦い守るという点に於いて、小川は防波堤となり、長谷川監督の選択が正しかったことを裏付けた。広い範囲を走った米本も同様だった。コーチの進言があったのだとしても、決断するのは監督だ。勝負師の大胆な策を意気に感じた選手たちは、持てるすべてをかけてこの一戦に臨んでいた。
「厳しいメンバー構成で選手たちが最後までほんとうによく戦い、粘ってくれた」
「粘って粘って勝てればな、

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