青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

伏兵のままではいられない。スポットライトを浴びた田邉草民、東京スタイルを象徴する一撃【J1第17節第3報】

 得点者のポジションはサイドバック、センターフォワード、サイドハーフ、サイドハーフ、センターバック。どこからでも獲れるぞとばかりに、打出の小槌のごとくシュートを雨あられとマリノスゴールに浴びせつづけ、FC東京は5点を奪った。

 セットプレーもすばらしかったが、タテへタテへとボールを運びパスをつなぎ、休まず多くの選手がゴール前に殺到する一気呵成の攻撃もすばらしかった。
 この東京スタイルを象徴するゴールが、田邉草民の挙げた3点めだった。

**********

 前段として、当初は田邉のものとされた2点めが、じつはディエゴ オリヴェイラのものだったと訂正された経緯がある。“彼の日ではなかった”という決まり文句で終わりそうな印象を与える取り消しだが、この日の田邉は取り消されたままでは終わらなかった。組織の一員として機能しながら個の実力を発揮し、前半45分という絶妙な時間帯に、勝負を決定づけるゴールをマークした。

 自陣からの逆襲。森重真人はロングフィードを放ちそうな構えを何度か見せながら、猛ダッシュを始めた東慶悟にパス。この東に呼応して田邉も猛ダッシュを始める。田邉がウラに到達するのと時を同じくしたパスが通り、田邉は相手ゴールキーパーの飯倉大樹をかわし、かわし、かわしきって、マリノスディフェンス陣のあいだを縫うようなグラウンダーのシュート。これがマリノスの息の根を止めた。
 古典的なロングカウンターとは、ひと味ちがうカウンターだった。

「シュートはもうちょいミートしている予定だったんですけど」
「狙ってないですけどね」

 田邉の言葉は謙遜なのか、事実なのか。仮に事実だとしても、

(残り 1420文字/全文: 2100文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ