青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

画像で振り返るOB戦。戦前の緊張、確かめられたOBの絆【20周年記念/無料公開】

 
◆決戦前
 
 OB戦を二日後に控えた9月27日、FC東京のクラブハウスにはジャーンさんの姿もあり、いよいよ大きな催しが近づいているという雰囲気が漂っていた。翌日には外国籍のOB中心に決起の宴が催される。
 

ジャーンさん。


ルーカスさん。


ケリーさん。


 その賑やかさを横目に、元祖東京の10番、奥原崇育成部長は、接客や下部組織のセレクションに関することなど、シリアスなクラブの業務に追われていた。残念ながら肉体的なトレーニングはできない。夕方にランニングをするという羽生直剛スカウトを指して「怖さを抜こうとしているのだと思う」と、ぽつり。自身も本番が近づくにつれ、ある種の怖さを感じるようになったのだという。
OBとはいえ、プロとしてあるべき水準を考慮すれば、10分ハーフの短い試合と言えども容易ではない。
 
 一度引退すると、各々現役時代とは異なる本分があり、OB戦があるからといって100の準備をすることは難しい。それでもピッチに向かおうとする姿勢に、それぞれの誠実さが感じられた。
 
◆熱い戦い
 

人数の関係でエスコート役不在となってしまった羽生直剛スカウトを、現役時代から仲がよかった平山相太さんが優しくエスコート。試合後はファン、サポーターの前で挨拶をすることなく引退した羽生スカウトのために、あらためて引退セレモニーがサプライズでおこなわれた。しかしさっぱり要領をえない羽生スカウトは、ご家族がやってくるのを見て「そういうこと!?」と、ようやく理解。


状況を理解したあとの羽生スカウト。


 

試合前からガチンコの空気を漂わせる、あきらかに目つきが鋭いTEAM REDの面々。佐藤由紀彦FC東京U-15むさしコーチ、阿部吉朗さん、笠木新FC東京普及部コーチ。


 いざ本番の試合になると、OBたちは本気の戦いを見せた。
 守勢にまわると思われたTEAM REDは、前半はアマラオさんがディフェンスに下がり、後半はアマラオさんとケリーさんのコンビでチャンスを量産した。
 

アマラオさんとルーカスさん二大巨頭、夢の対決。


 守備にまわっていた件については「うしろ誰もいないから。オレは年寄りになってどこでもできるから。問題ない」とのことだった。
 そしてキャプテンマークを巻いた佐藤由紀彦FC東京U-15むさしコーチは、クロスとコーナーキックで一定の精度を示す。
 

佐藤由紀彦FC東京U-15むさしコーチ。


北慎FC東京U-15むさし監督。


カボレさん。


ネマニャ ヴチチェヴィッチさん。


 TEAM BLUEはフィジカルの状態がよさそうなネマニャ ヴチチェヴィッチさんのドリブルが光ったが、術後の動かない脚でボールを自ら運び、シュートを狙う平山相太さんの熱さもまぶしかった。
「からだ、動きました?」と単刀直入に訊くと、答えは「いや、全然動かないです」だった。
「脚が痛くならないように走ってる、っていう感じです(苦笑)。(自ら運ぼうとしていましたが連携がなかったのでは?)そうですね、連携もまったくなく、ボールにさわる機会も減ってきていたので(苦笑)、ボールにさわりたくなってきた」
 

平山相太さん。


 平山さんはこんなことも言っていた。
「20年の思い出があり、すごく熱い声援になったと思う。いままではカップ戦の優勝がいちばんの思い出というひとがたくさんいるので、いまの選手にはリーグ優勝を成し遂げてもらい、その思い出を塗り替えてもらいたい」
 この想いを、いまいるトップチームの選手たちにも継承してほしいものだが――。
 
◆OB隊をつくる!
 
 両チームの総監督は原博実Jリーグ副理事長。ただし実質的には藤山FC東京U-15深川コーチと佐藤U-15むさしコーチがリーダーシップを執っていた。
「昨日(28日)、ユキヒコが宣戦布告をしてきた。メンバー選考ずるくない(BLUEに若いOBが偏る)? という話から始まって、でもオレが決めたんじゃないよ――と。(結局)やるからには全力で、ということでやらせてもらったんですが、まあ~~からだが動かないですね! それにしてもウチは仲がいいですよね、みんな。何年経ったとしてもいっしょのピッチで戦った仲間(の絆)は変わらないんだな、と」
 

藤山竜仁さん。


 今後は正式なOB会を常設で発足させ、継続的に活動していくという。
「これがスタートというところもある。今後は“OB隊”をつくり、またイベントなどの機会を設けられればと思っています。ぼくはFC東京の人間なので、鈴木規郎にやってもらって。ほかのクラブ(に散らばった面々も含めて)やれればいいと思います」(藤山コーチ)
 

ゆかいなメッセージビデオその1。シャーを画面越しにやってしまう川口信男さん。


ゆかいなメッセージビデオその2。エプロンをつけた状態で撮られ「あっ」とカメラに気づく加地亮さん。


 さっそく翌日のJ3では、アマラオ、ケリー、ルーカス、ジャーン、カボレ、ネマニャ ヴチチェヴィッチの各氏がファン、サポーターのお出迎えと場内一周をおこない、和やかな空気を醸し出した。いっぽう、ラジオの解説をしている近藤祐介さんは取材のため「疲れました」と苦笑いしながらプレスパスを下げてスタンドに向かう。
 彼らOBはまちがいなくFC東京の財産になっている。
 

元気な笠木新FC東京普及部コーチ。


「シャー!」の開祖アマラオさんを親分格としてOBがいっせいに「シャー!」。


記念撮影。


ゴール裏もおつかれさまです!


西が丘でのOBのみなさん。


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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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そのほかコラム、ニュース、などなど……
新聞等はその都度「点」でマスの読者に届けるためのネタを選択せざるをえませんが、自由度が高い青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジンでは、より少数の東京ファンに向け、他媒体では載らないような情報でもお伝えしていくことができます。すべての記事をならべると、その一年の移り変わりを体感できるはず。あなたもワッショイで激動のシーズンを体感しよう!

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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