後藤勝責任編集「トーキョーワッショイ!プレミアム」

日本のサッカーとは何か。現代サッカーのベース+独自のスタイル~長谷川健太監督のワールドカップ総括から【コラム】

 
◆現代サッカーの傾向
 
 どういうサッカーをするべきかと考えるとき、まず、現代サッカーに乗り遅れているかいないかを気にする必要がある。
 たとえば統計の分析に基づき、ときにソフトウェアも駆使してトレーニングやスカウトに取り組むこと、プレーや判断が速くスペースや時間に余裕のないサッカーに対応すること、あらかじめ多様な技術や戦術を身につけ選択肢を増やした状態で、自由な発想で適切な判断を下す創造的なプレーをすること、パターンに陥らず同じチームが相手でも選手が替わればそれに応じて攻め方や守り方を変えるよう考えること。これらはどの国であってもできていなければならないことであるはずだ。
 
「2018 FIFAワールドカップ ロシア」が終わったあと、FC東京のクラブハウスで大会の感想を訊ねると、長谷川健太監督は端的にこう語った。
 

「奪って速く攻める、コンパクトに戦う傾向」と語る長谷川健太監督。


「システムはいろいろありましたけど、奪って速く攻める、コンパクトに戦う傾向がより顕著に出た。スペースも時間もないので、スーパースターがなかなか活躍できない、ということになる」
 
 奪って速く攻める、コンパクトに戦う――とは、東京の戦いぶりにも通ずるところだが、チームのスタイルというよりは全体的な傾向であり、これはサッカーをやるときの前提になる、どの国の代表チームもできていなければならないことだろう。
 その先に、それぞれの国が掲げるスタイルがある。
 
 フットボールの母国イングランドや王国ブラジルといった強国に関しては、古くからはっきりとしたスタイルがあった。それほど特長がはっきりしていなかった国も、オランダのように、後天的に独自のサッカーを設計して世界に挑んでいった。
 そうした欧州や南米に比べると、日本のスタイルははっきりしない。1936年ベルリン五輪に於ける日本代表チームの昔から、俊敏性のある動きとショートパスが目立っていたことがわかるが、それを中心軸に据えたサッカーを意図して鍛えてきたのかと言われれば疑問が残る。
 
 1968年メキシコ五輪を前に、当時の岡野俊一郎コーチは戦力比を分析。技術力の点で彼我の差は大きいと自覚し、守備はクローズド(密着)マーキングを指向し、攻撃は左ウイング杉山隆一の前のスペースを空けてそこに飛び込ませ、中央で釜本邦茂が決めるパターンに依存した。これは杉山-釜本コンビの個の力と連携に頼ったもので、日本のスタイルとして定着させられるものではなかった。
 
◆時代の変化が速くなっている
 
 長い低迷を経て、

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