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久保建英、移籍決定~いままでありがとう、タケ。そしてどうなる今後の青赤軍団【コラム/無料公開】

 

いままでありがとう。 © Ayano MIURA


◆Adios,amigo.
 
 久保建英がFC東京からレアル・マドリードCFへと移籍する旨が両クラブから発表された。
 2015年にFC東京U-15むさしへとやってきた久保。翌2016年、FC東京U-18に組み込まれた彼は、まだ中学2年生だった三学期に、まずはBチームの一員としてT1リーグに出場。当時はコーチだった中村忠FC東京U-18監督に、もっとプレスをかけるようにと励まされ、そこからおとなへの旅立ちを始めた。まだフィジカルは弱かったが、すなおに前からボールを追った。
 
 2017シーズンも押し迫った頃、トップチームに昇格。初めて始動の時期からトップで過ごした2018シーズンは右サイドハーフで結果を出せず苦渋を舐めたが、今シーズンは堂々たる成績を残している。
 サッカー界全体が期待を寄せる才能を預かり、欧州に戻せるくらいにまで育て上げた。東京としては一定の責任を果たしたと言っていい。
 まずは18歳を迎え、晴れて国際移籍ができるようになった彼が、望みどおり活躍の場を得られたことを祝福したい。
 いままでありがとう。そしてはばたけ、世界の久保建英!
 
◆どうなる今後の青赤軍団
 
 2003年の東京はデイヴィッド ベッカムらを擁する“銀河系軍団”マドリーに悔しい黒星を喫する段階のチームだった。それが、こうして久保を送り出すほどには“青赤軍団”エル・シクロンとエル・ブランコが地続きになったのだと、進歩を感じることもできるだろう。
 ただ、感慨に浸ってばかりはいられない。明日6月15日のvs.ヴィッセル神戸戦からは“タケのいない東京”でありつづけるからだ。
 
 もともと、コパ・アメリカの期間は日本代表に招集される久保がいない想定で準備をしていた。その状態から発展させていくほかはない。
 大森晃太郎は負傷離脱明け。サイドハーフで確固たる地位を築いている選手が東慶悟だけとなると、大森のけがが完全に癒えるまでは、ユ インス、ナ サンホ、宮崎幾笑らがサイドの候補に挙がってくることになる。
 インスにフォワードとしての役割もあることを考えると、まずは韓国代表のサンホが浮上する。中盤センターのようなプレーはできないにしても、攻撃的なサイドハーフ、2トップの一角、フォワード的なトップ下として機能する選手だ。久保とはタイプが異なるサンホの活用によって、東京はより原型である堅守速攻的なスタイルに近づいていくのではないだろうか。
 そして忘れてはいけないのが平川怜だ。自分で運び、自分で決める。そういうプレーヤーとして、セントラルミッドフィールダーの枠を超えた成長を図ってきた。トップチームの攻撃に変化をつけられる存在になってほしい。
 
 もちろん、今後は補強もあるだろう。しかし新戦力を獲得したとしても、すぐに順応するとはかぎらない。まずは優勝争いをしている現在の水準を落とすことなく、現有戦力を結集して眼前の勝利をもぎ取りたい。
 
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