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【新東京書簡】第六十二信『時代とともに移り変わるランド育ち』海江田(19/9/4)

 

最近、出場機会が減少し、正念場を迎えている井上潮音。シーズン終盤に向けて勢いを盛り返したいところだ。


 
第六十二信 時代とともに移り変わるランド育ち
 
■過去5シーズン最少の1試合平均5,277■森淳スカウトの眼人
 
 8月18日、J2第28節のモンテディオ山形戦。味の素スタジアムで、おっという人を見つけた。
 
 ヴァンフォーレ甲府強化育成部のスカウト担当、森淳さんである。1ヵ月ほど前、取材で甲府の練習場にいったとき、面識を得たばかりだった。こういうことがあるから外に出る機会は無理やりでもつくらないとダメだなあと思う。
 
 現役時代の森さんは、フジタ工業でプレーしたセンターバックだ。引退後、1994年からベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)の強化に携わり、2005年からベガルタ仙台、2010年から甲府と籍を移し、一貫してスカウト畑を長く歩んできた。
 
 これまでの実績で最も有名なのは、多数が競合した中田英寿(韮崎高→平塚)の獲得に成功した例だろうが、これは森さんのなかで例外的な仕事と言える。埋もれた逸材を発掘する目利きと知られ、近年のヒットは佐々木翔(サンフレッチェ広島)と伊東純也(KRCヘンク)。いずれも神奈川大から甲府に引っ張り、やがてふたりは日本代表に名を連ねるまで大きく成長した。
 
 ここ4、5年だろうか。東京ヴェルディのアカデミー出身選手に向けられる視線が急激に変化しているのを感じる。中島翔哉(FCポルト)、小林祐希(前SCヘーレンフェーン)などが日本代表に選出され、トップ昇格から数年のうちにあちこちから触手を伸ばされるようになった。今年の夏は、プロ3年目の渡辺皓太(横浜F・マリノス)を引き抜かれたばかりだ。
 
 簡単に言えば、あそこには使える選手がいると目印をつけられた。世界的な移籍市場における日本人選手の立ち位置が変わっていることも関係しているが、実際にモノがよくなければ周囲の評価は高い水準をキープできない。
 
 ランド育ちの株価が上昇しているのは実感としてわかる。だが、肝心の中身の部分、選手としてどのようにクオリティが向上したのか、さまざまな環境に適応できる幅を持つようになったのか、そこのところがよくわからない。
 
 こちらは素材のいいところをピックアップしようとし、ひいき目に見ている面が否めない。たしかな見識を持つ第三者から、何がどう変わったのか、率直な意見を聞きたいと思っていた。

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