青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

長期離脱中の鈴木喜丈が励ます側へ。「自分のけがなどは大したことじゃない」【社会連携活動/東京都立小児総合医療センター訪問/無料公開】

 

鈴木喜丈の復帰を心待ちにする横断幕。 © Ayano MIURA


 2018年4月1日のJ3第5節を最後に公式戦のピッチから遠ざかっている鈴木喜丈が、小児医療センターを訪問している選手たちのなかにいた。昨年5月に左膝関節離断性骨軟骨炎の手術をおこない、今年4月に再手術。全治10カ月で、まだサッカーはできない。それでもFC東京の一員として青赤のユニフォームを身にまとい、子どもたちとふれあっていた。サッカーができない状態でスクールにも行けない。いま選手としてできることに、鈴木はピッチ外で取り組んでいた。
 
◆自分も元気にやらないといけない
 
 二度に渡る手術で長期の離脱を強いられている身であるからこそ、いっそう入院している子どもたちを思い遣る、その気持ちは強くなる。
「入院しているときは気持ちが落ちるところもある。それを言えば、病気で自分よりも大変な思いをしている人々がいるわけで、その方たちが背負っているものに比べれば、自分のけがなどは大したことじゃない。そう思えたから、そういう方たちの分までがんばらなきゃいけないという気持ちになりましたね。元気な子どもたちもいっぱいいて、自分も元気にやらないといけないなと思いました」
 
 手術から半年が経過した。まだ全治期間は過ぎていない。この先を云々する段階ではないが、少なくとも矢印は前を向いている。
「自分がこういうけがをするとは思っていなかった。でも、それも含めてサッカー人生だと思いますから。この先どうなるかわからないですけど、復帰したら精一杯やるだけだと思います。サッカーをやることに人一倍喜びを感じるというか、サッカーができていない時期があったからこそ、思うことがあると思うので、そこからは自分次第」
 そして少し間を置き、心を決めるようにこう言った。
「がんばっていけたらいいなと思います」
 

ユニフォーム姿の鈴木喜丈。


 仲間の活動、仲間とのやりとりが支えになる。A代表そしてU-22代表に、アカデミー出身の東京の選手として橋本拳人と渡辺剛が行っているが、その姿も同様だ。
「同じチームでやっていた選手や同い年くらいの選手がA代表や世代別の代表でプレーしているというのは、いまサッカーができていない状態ですけど、刺激にはなっています。焦っているわけじゃないけど、もっとがんばらないととは思います。いい刺激はもらっていますね、やっぱり」
 
 チームメイトの橋本や渡辺とはもちろん、久保建英ともコミュニケーションをとっているという。
「移籍したタケちゃんとも、毎日ではないけど連絡を取り合っています。『いつになったらやるんだよ』とか言われたりもしますけどね(苦笑)。でもいじられるほうが『やってやろう』という気持ちになる――じゃないですけど、気楽になるところはありますね」
 あえてずけずけとものを言う接し方に、年も近く親しい間柄の仲間なりの気遣いが透けて見える。日々自身に向けられている善意をお裾分けするかのように、鈴木は病棟の子どもたちに笑顔を振りまいていた。
 

子どもたちに笑顔で接する。 ©F.C.TOKYO


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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
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