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どこでやっても鬼門だった“天敵”浦和レッズにFC東京が5777日ぶりに味スタで勝利を収めた理由とは。戦術・重戦車アダイウトンに象徴される「強くすばやく東京サッカー」と、ボールを持たされた浦和の関係【J1第5節「FC東京vs.浦和レッズ」観戦記】

 

ようこそ味の素スタジアムへ。これまでホームゲームが鬼門となっていた浦和レッズ戦だが、そのジンクスは破られた。


 今シーズンの試合後記事としてお届けする「観戦記」。昨日7月18日、じつに5777日ぶりとなる味の素スタジアムでの対浦和レッズ戦勝利を収めたJ1第5節、橋本拳人の在東京ラストゲームについて書いていきます。
 
◆浦和の人々が異口同音に語ったこと
 
 浦和にとって不幸であり、東京にとって幸いだったのは、川崎フロンターレ戦と横浜F・マリノス戦を経たあとの対決だったということでしょう。すなわち、川崎に敗れることで自分たちを見つめ直し、マリノスを相手に最適解を探り一度手応えを掴んだことで、東京はある程度戦い方を整理していた。ある程度というのは、中盤でアンカーシステムを採用するかドイスボランチにするか、前線を2トップにするか3トップにするか、相手や状況によってそれをうまく使い分けられるかという戦術運用面の問題が残っているからですが、それよりも相手にボールを保持させ、強く奪い取りすばやく攻めてブラジル勢の質で決めるという根本を確立した点が東京にとっては大きな意味を持ちます。なんだか強くやさしくウルトラマンZ! みたいな語呂ですけれども、浦和にとって致命的だったアダイウトンのゴールを見ても、それは言えると思います。
 
 前半を観ていて「おやっ」と思ったのは、今シーズン4-4-2を採用し、ブロックを敷いたときに持ち味を発揮するはずの浦和が、ボールを持たされた状態のままゲームを進めていたことです。うまく個々人の力が活かされず、少々居心地が悪そうにすら見えました。その反対に、東京はトリコロール軍団を撃破した「強くすばやく」のカウンターに徹していました。
 試合後の大槻毅監督は渋い表情。Zoom記者会見で残した言葉は「先に獲られたことがすべてだと思います」でした。それでは困るのですが、実際に現在の浦和は、先制した強みを活かして引いて構えた東京の守備組織を崩し、得点を挙げることができません。アダイウトンが「難しい試合でしたが前半で点を獲ってコントロールできた」と語ったとおり、ディエゴ オリヴェイラの先制点によって東京は焦らずに試合をすすめることができました。西川周作が「次の段階では引かれた相手に対してどう崩していくのかをもっとやっていかなければいけない」と言い、柴戸海が「決めきる勝負強さというのが今回の敗因のひとつ」と彼我の差を振り返るのも、無理のないところです。浦和は後半に

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