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昇格組ながら3連勝で4位浮上、J2ギラヴァンツ北九州で活躍するFC東京ゆかりの人々。福森健太「活躍している姿をDAZNで見てもらいたい」佐藤亮「安部柊斗に福岡のほうから刺激を与えたい」【無料公開】

 

福森健太(右)、佐藤亮(左)。


 J3リーグ優勝で再昇格を果たしたギラヴァンツ北九州がJ2第7節から第9節までの3連勝で4位に浮上し、台風の目となっているのをご存知だろうか。
 
 北九州のサッカーはひとことで言えば“爽快”。相手が格上であろうと関係なしに前からプレッシャーをかけてボールを奪い、先手、先手で強気のクロスやパスを思い切りよくバシバシと入れ、それが相手陣内の狭間にポジションをとった味方におもしろいように渡り、前後左右斜めに当てて戻して揺さぶり、どこかの時点で相手の組織を崩し、点を獲る。
 この今シーズンのJ2を象徴するかのような好チームを、青赤ゆかりの人材が支えているというところがまた興味深い。選手としてはFC東京アカデミー出身の福森健太、新井博人、佐藤亮が在籍し、小林伸二監督の傍らでは長島裕明コーチが参謀役として手腕をふるっている。
 そこで8月9日から5連戦が始まる直前の隙を見計らい、福森、佐藤の両選手に個々の手応えについて訊ね、好調の要因については長島コーチに解説をしてもらうことにした。
 ごゆっくりどうぞ。
 
◆福森健太に訊く
 
 プロデビュー年をJ2で過ごした福森健太は、北九州の降格に伴い、翌年からの3シーズンをJ3で戦った。久しぶりのJ2となる今シーズンは「J1から降格してきたチームであったりキャリアのある選手と対戦出来ることは毎試合楽しみです。昨シーズンより刺激があることは間違いないと思うんですけど、それよりも……」と、自分たち自身に目を向けている。
「自分たちがやるべきことが整理されている。その整理されたものを一試合でしっかり表現するということをいちばん大事にしています」
 
 コロナによる中断が明けた第2節から右と左のサイドバックで先発出場。小林伸二監督にどこを評価されていると思うかと訊ねると、トレーニングで自分の強みを存分に出そうということを意識していたところではないか――と答えられた。
「そういう意識になってからプレー自体が楽しい。自分のよさを出そうと努力し、そこに意識を向けることで結果的にぼくもパフォーマンスがよくなり、それがたぶん評価されて試合で使ってもらえているのかなと思っています」
 
 福森が考える自身の強みは力強さと推進力。1対1の守備やクロスも得意技だが、根本にはタテへの勢いが衰えずゴールへと向かうチームのスタイルと共通する持ち味がある。
 
 上がってからのクロスもまた、チームの攻撃スタイルを象徴するものになっている。
「ぼくのクロスに対してフォワードに合わせてもらうという意識でやっています。もちろん中の状況を見て誰かに合わせるクロスもあるんですけど、基本的にはぼくが感じたいちばんチャンスだというところにクロスを上げてそれに対してフォワードに走り込んでくれよっていう、そういう想いで蹴って、それが合致したら得点になるかなと考えているので」
 
 観る側が「ここに入れたらいいだろうな」というポイントに躊躇なく蹴り、そこに受け手が入り込む。福森の言葉は蹴る側がバシバシと自分主体で蹴っているという印象を裏付けるものだった。
 
 見どころを語る口ぶりも熱かった。
「前からのプレッシャーを90分間やりつづけている、それが出来ているのは、ここまで対戦してきたなかではウチだけだと思います。それが北九州の魅力だし、やりきれているのはそれもひとつの力なので。そこに北九州らしさが出ている。ぼくたちももちろんキツいというか運動量が必要なんですけど、でもリアクションじゃなくてアクションで奪いに行くので、意外と精神的な疲労はあまりなくて。だからそういうポジティヴなエネルギーみたいなものが観ているひとにも伝わっているのかなと、いま感じています」
 
 東京ファンとのつながりは常に心のどこかにあるようだ。
「ウチにも佐藤亮や新井博人がいますけど、ユース出身、下部組織出身の選手を追いかけてくれているサポーターのひとたちが多くいて、ぼくもFC東京のことが好きですし、ファンの方たちもぼくたちを含めてFC東京が大好きだと思っている。離れてけっこう時間も経っていますけど、いいクラブだなとずっと思っています。いまは対戦することもないですし、プレーもDAZNでのチェックになると思うんですけどそれでもユース出身の福森ががんばっているなみたいな感じに思えてもらえたら、FC東京のときに育ててくれたコーチや監督もきっと嬉しいと思います。対戦相手にいる(元東京の)ひとたちとのつながりも感じますし、そういう活躍している姿を見てもらえたらいいなと思っています」
 
◆佐藤亮に訊く
 
 Jクラブユースから関東大学リーグに進む時点では、あまたある才能のうちのひとり。しかし4年間で大学ナンバーワンにまで成長した佐藤亮にとっては、その確信を得るためのプロデビュー年となったようだ。
 
「明治大学というのはたぶん個をかなり強くする部だと思います。それはサッカーでもそうですし、ひとりの人間としてもそうだと思うんですけど、サッカーのことに関して言えば攻撃も守備も1対1で相手に優る。それができないひとは試合に出られないというほんとうにはっきりした大学でした。ギラヴァンツに入ってキャンプからスタートしたわけですけど、1対1の強さというところでは明治でやってきたことが証明されたなとまず思いますし、もうひとつ、明治大学の選手でしかも佐藤亮となるといちばん(求められるの)は得点力。2得点することで、嗅覚など明治大学で自分が学び、育てたものが顕著にあらわれているので、大学に入って取り組んだ4年間がプロでも通用しているなと、かなり実感しています」
 
 この北九州のサッカーは佐藤のスタイルによく合っている。
「そうですね、まずぼくがギラヴァンツに入る決断をしたのも、自分のサッカースタイルにものすごく合っている、そこを大きな部分と捉えたから。ほんとうにハードワークするチームです。フォワードから守備をして、全員で守備をして、全員で湧き出ていく」
 明治大学の4年間で培った全員攻守と共通するサッカーを実践するチームだけに、すんなりゲームに入れたと佐藤は言う。
 
「ゆったりつないでじわじわゴール前に迫っていくというよりは本質的なサッカー、つなぐよりもゴールに直結している選手から見るようなサッカーがものすごく大好きなので、そのゴールに直結する動きを自分がそこにしたときに最優先で見てくれるサッカーというのは重要。自分はドリブルで持っていくだけでなくオフのところで勝負する人間でもあるので、そこで見逃さずに出してくれた今季の2点目はまさに我が意を得たりというものでした。そういうゴールがあらわれているのがこのチームのよさだと思いますし、選んでよかったなと思うひとつの要素です」
 
 ミドルサードでも個で打開しようという癖には弊害もあり、そこは練習中に直そうと心がけているという。ただし持ち味を失うことにもなりかねないので、試合となればそこは気にしずぎず、個の力を最大限に発揮する。
 ただ、新人ながらJ2に適合したプレーが出来、ほとんど不足を感じないなかでも、長島裕明コーチに「簡単に倒れてファウルをもらうような選手は使いたくないよ」と声をかけられたことだけは気にしているという。なかなか笛が鳴らない今シーズンのジャッジを考えても、倒れないことは重要だ。
「それまで自分は一歩先に身体を入れて相手がうしろから押してくればファウルをもらえるというような思考をしていたんですけど、そう言われてから公式戦でも倒れなくなりました。うしろからタックルされたとしても、マイボールでチャンスであるならば倒れずにそのボールを運んでいく。意識ひとつで『ああ、自分は倒れなくてもこんなにやっていけるんだ』というのは実感しました」
 
 日々成長している佐藤から、東京ファンに向けてのメッセージがある。
「今回こうして北九州のほうに身を移して勝負しているわけですけど、やっぱりどこに行ってもアカデミーで育った血は流れていると思います。FC東京のトップチームではアカデミーを卒業した選手が何人も活躍している、そのひとりである安部柊斗が、いちばん自分の刺激になっている存在なので。アカデミーでいっしょに育ちまして大学でもいっしょに育ち、そういった選手が、自分が上がりたかったFC東京のトップチームでさっそく活躍しているわけなので、自分はそういった選手にも負けないようなプレーをしないといけない。安部柊斗になくて自分にあるものはゴールひとつだけだと思っています。そのゴールで安部柊斗に福岡県のほうから刺激を与えられるように、また育ててくれた関係者、現在FC東京トップチームにいるすべてのひとに佐藤亮という名前が届くように、そしてやっぱりFC東京に戻ってきてもらいたいなとファン、サポーターのみなさんに思ってもらえるくらいの活躍をして、誰もが認めるくらいの選手になり、いつかFC東京に戻れるのがいちばんいいと思うので、まずはこの与えられた立場でしっかり結果を出し、アピール出来ればと思います」
 
 既に安部が2ゴールの佐藤を意識していることを伝えると「それはちょっとうれしいですね」と言い、表情を綻ばせた。北九州が強くなればなるほど、安部との対決の機会は近づく。まずは北九州の地で、引く手あまたとなるプレーヤーとなることをめざしていきたいところだ。
 
◆チョーさんこと長島裕明コーチの解説
 
 こうした元東京アカデミー勢も活躍、好成績を残している要因について、長島コーチは次のように説いた。
「昨シーズンの(J3での)積み重ねを継続し、それをJ2という舞台でも基本的には変えず純粋にぶつけ、アグレッシヴにチャレンジしている。それがいい結果にあらわれている。相手もレベルが高くなってきてキャンプではJ1相手に大量失点したりしたけど、揉まれながら質は上がっていると思います」
 
 北九州の見どころは「常に重心が前のめり」なところだという。
「攻撃も守備も攻撃的。ミスをおそれずに重心が前にある、前のめりなサッカーです」
 
 どうしてこんなに崩せるのか――と訊ねると、チョーさん語録が飛び出した。
「ボールホルダーが困らないように選択肢を多くして、ボールホルダーは選ぶだけだから。ただ、それを口で言うのは簡単。実現するためにどうしているのかというと『覗き合いをしている』んです」
 受け手が相手のディフェンスによってパスコースを消されたら、その受け手が動き直して『覗き』に行く。相手がそこも消してきたら、3人目の味方が『覗く』。そうしているうちにパスコースが出来る。
「出場機会の少ない選手には練習中ボール廻しを通して教えています。練習でやるとしたらボール廻しがいちばん伝えやすい」
 
 ギラヴァンツ北九州の練習グラウンドとクラブハウスは新門司マリーナというヨットハーバーにある。つまり周囲は海。小倉駅から徒歩で5分のミクスタも、バックスタンド裏の海にボールが落ちたら回収に行くボートが用意されているような土地柄だ。
「すごく魚がおいしいし、自分に合っている」と、長島コーチ。ここから彼らは相手がどのような強敵だろうと攻撃的なサッカーを挑み、J1昇格をめざしている。そのなかにFC東京ゆかりの人々も含まれている。同志たちの、よりいっそうの活躍を祈りたい。
 
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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
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