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絶対的な指標と相対的な指標の狭間でFC東京とその選手たちは何をめざすべきか。林彰洋が導き出した「ハイパフォーマンス」と「勝てる」というキーワード。そして品田愛斗の場合【J1第12節「FC東京vs.湘南ベルマーレ」観戦記 パートⅡ】

 

取材対応中の林彰洋を横から。 ©F.C.TOKYO


 もうひとつの観戦記の冒頭で「ハイパフォーマンス」と書き、最初のブロックを書き終えたところで林彰洋のWeb囲み取材に臨んだところ、その林が「ハイパフォーマンス」という言葉を使っていたこともあってまた思考の歯車が回ってしまい、生み出されたコラムがこちらです。
 
 ですので『パートⅡ』と銘打ちながら、こちらを先に完成させてから通常の観戦記をあらためて完成させるという変則的な順序の作業となりました。さっそく本題に入ります。
 
◆絶対的な指標と相対的な指標
 
 長谷川健太監督が率いるFC東京はまず“ファストブレイク”の看板を掲げてスタートしています。攻から守、守から攻への切り換えで常に相手よりも先んじれば優位に立てるという発想はサッカーを根本から考えてのもので、ロジックとしてはどのようなチームが相手でも通用する戦い方ですので、世界でもっとも速く、力強いトランジションを実現するという絶対的な指標ということになると思います。
 同様に選手個々も、日本国内の比較ではなく、サッカー選手としての最大値を絶対的な指標としてそこに近づけるよう、日々努力しています。
 

©F.C.TOKYO


 しかしサッカーは同じチーム内ではチームメイトとのポジション争いがあり、試合では相手チームと戦います。ポジション争いに勝って試合に出て、試合で相手に勝ち、はじめてプレーの内容が評価される。ですからたとえば、走る速さ、シュートの威力、ドリブルで小刻みにボールの位置を制御出来る細やかさなど、プレーヤー単独で数値化出来る能力を設定してトレーニングをしていたとしても、勝たないことには能力を証明出来ない。するとプレーの機会を得て成長するためには相対的な指標も必要になる。
 
 個人練習で得た技術はグループ練習やチーム練習、紅白戦で評価に晒され、さらに公式戦という品評会に出品される。自分で自分の能力を推し量るには絶対的な指標、コンテストを勝ち抜くためには相対的な指標を意識しなければならず、プレーヤーはこのふたつを睨んで訓練に励むことになります。
 
◆林彰洋の場合
 

©F.C.TOKYO


 林彰洋の場合、絶対的な指標は「ハイパフォーマンス」です。
 彼に指標は何かを訊ねると、まずこう答えました。

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