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気持ちのこもったナイスゲーム。希望しかなかった90分間、18人の平均年齢が23.39歳となった“FC東京U-23”が広島を撃破【J1第31節「FC東京 vs. サンフレッチェ広島」観戦記】

 

充実した表情の三田啓貴。


 今シーズンの試合後記事としてお届けする「観戦記」。今回は12月12日に味の素スタジアムで開催されたJ1第31節、サンフレッチェ広島戦について書いていきます。

 ご存知のとおりFC東京はACL決勝に進めなかったわけですが、これによっていろいろと影響がありました。カタールに出発する前はアスリートトラックが適用されるかどうかわからず、また決勝まで進むのか途中で敗退するのかもわかりませんでした。したがって、東京はACL決勝に進出、かつアスリートトラックが適用されず帰国後14日間隔離される状態を想定、チームをACL組と国内組に分けて準備を進めていました。
 ところがACLでは16強敗退、かつアスリートトラックが適用されることになり、なんと12日の広島戦にACL組も出場可能になってしまいました。広島戦に向けて追加登録、ユースの公式戦出場を遠慮してまでトップ用に準備をしていたFC東京U-18の選手はその任を解かれ、結果的に試合数が少なくなってしまい気の毒でした。コロナ禍にサッカー界全体、クラブ全体が振り回されている今シーズン、しわ寄せがそこまで行ってしまったのは致し方ないにしろ、だからこそ彼らの分まできっちりとした試合をする必要がありました。そして12日の味スタでは、誰もが納得するだろう懸命なファイトを觀ることが出来ました。
 さて、広島戦の出場メンバーがどうなったかですが、事前の囲み取材で長谷川健太監督に確かめ、ACLでの疲労が色濃い選手たちは選択肢から外れていることはわかっていました。つまり国内組と、カタールで出場機会が少なかったACL組との連合軍で、FC東京U-18は含まない。ただし来季加入内定の大森理生は含む。
 結果として出現したチームはトップの主力ではなく、FC東京U-18プラスアルファでもなく、全18人の平均年齢が23.39歳、名前を見ても昨シーズンのJ3に出場していた選手ばかり、つまり名実ともにFC東京U-23の復活でした。U-23が味スタを舞台に強豪の広島と戦う。対する広島は11月28日に北海道コンサドーレ札幌と戦ってから中13日で調整を進めてきています。準備万端。ですから試合後のZoom取材では、広島の番記者も城福浩監督も選手たちも、狐につままれたような表情でした。無理もありません。観ているこちらもなぜ広島と互角以上に渡り合って勝てたのかほんとうのところはよくわかっていませんでしたから。ただ、実力で勝ち、隅々まで明晰な職務意識が浸透したプレーに感動させられたことだけはたしかでした。
 
◆とにかくよかった

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