長谷川健太監督の辞任に寄せて
横浜F・マリノスに8-0で敗れたその翌日、長谷川健太監督の辞任が発表された。退任でもなく、解任でもない。自ら下した「もはやこれまで」との決断。壮絶な幕引きだった。
プロサッカークラブの監督というのは難儀な商売だ。成績がよくても契約を延長されないときもある。そして多くは、負けが込んできたときに職を辞する。ちやほやされた状態で退任出来るケースは滅多にない。選手とスタッフにのみ見送られ、カバンひとつでいつでも旅立てるようにしておかなくてはいけない。
2018年。長谷川健太さんがFC東京の監督に就任して最初の囲み取材は小平、ピッチの方角に面したベランダのベンチだった。その日のトレーニングはポゼッションを重視しているように映ったので、ボールを動かすガンバ大阪のような要素を採り入れるのかを訊ねると、答えは否だった。ガンバには遠藤保仁という絶対的なプレーメーカーがいる。選手層によって戦い方をこまめに設定し直すのがサッカー監督というもの。ガンバではガンバに合わせたサッカーで三冠を獲得し、成績としては申し分ないものを残している。すると東京で長谷川監督はどういうチャレンジをするつもりなのだろうか──と考えて、思い至った。
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