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サガン鳥栖の懲罰決定に関する鳥栖側の記者会見まとめ【無料公開】

 
・サガン鳥栖と金明輝氏についての処分が下ったのは12月29日
・Jリーグから記者会見の案内があったのも12月29日
・Jリーグの記者会見は12月30日14時30分から2時間以上
・サガン鳥栖の記者会見は12月30日18時00分から1時間以上
 

進龍太郎サガン鳥栖取締役。


 
進龍太郎サガン鳥栖取締役からの説明
 
 私どもクラブといたしましても、みなさまと同じくJリーグからの報告書が共有されたばかりの状況でありまして、その内容、意図を十分に把握出来ていないところもあるかと思いますが、速やかに会見をおこなわせていただきたい、おこなうべきとの思いから、この場をセットさせていただきました。

 まずは経緯等を説明したうえでみなさまからのご質問をいただき、真摯にお答えしたいと思っております。

 6月26日のトップチーム練習中に発生した指導の適正範囲を超えた行為につきまして、クラブとしてはまずはトップチームの全選手、スタッフの個人面談、選手会による無記名アンケートを実施いたしました。そのうえで、公平性、客観性を期すために第三者委員会を設け、弁護士による調査を実施したところであります。

 この面談、アンケートのなかでも金前監督による足払い以外の行為について証言があり、クラブとしても認識しておりました。また第三者委員会の調査に於きましても同じくトップチームに在籍する全スタッフに聞き取りをおこなっていただきましたが、そのなかでも足払い以外の行為を問題視する声があったことも事実でございます。

 その第三者委員会からの報告書の詳細につきましては、当該行為を受けたとされる選手が特定されるのを避けるため非公開とさせていただきましたが、監督の過去の言動等について客観的な証拠が存在しておらず、すべて関係者の供述によるものであるため、正確な事実認定は困難であるとしたうえで、時には強い言葉や強い口調、態度で指導していたと推察される、という報告を受けております。

 またスタッフにつきましても、萎縮している者や精神的に辛いと感じている者も一定程度見受けられた。問題点の伝え方や要求の仕方については、現に萎縮してしまっている選手や疑問を感じている選手もいるし、それが行き過ぎたことで本件足払い行為にもつながっている。と報告され、併せて再発防止に向けた強化部のガバナンス構築、相談窓口の設置などの提言があったところであります。

 クラブに於きましても、映像や音声の記録データが存在していなかったことから客観的な判断が難しい状況ではありましたが、行き過ぎた指導が繰り返されてきたことが推測されると結論づけておりました。

 クラブはこうした第三者委員会の報告を真摯に受け止め、金(当時の)監督をはじめ社長、GMの報酬カットと第三者委員会から提言を受けた再発防止策の実施をおこなったところであります。

 しかしJリーグからのご指摘のとおり、映像や録音などの客観的な証拠が存在しなくてもさらに追加で調査するべきでありました。

 また、調査対象もアカデミースタッフや当時の在籍スタッフ、既にクラブを離れた選手に広げることも検討するべきでありました。

 振り返ってみると、これらの点に於いてクラブによる調査が不十分であったと認識しており、大変反省しております。

 結果として勇気を持って証言した選手、スタッフの気持ちを踏みにじったことになり、ほんとうに申し訳ございません。

 言い訳にはなりませんが、経営体制交代の過渡期であったこともありますが、なにより、認識が非常に甘かったことが最大の原因だと考えております。

 経営体制が替わり、まだ道半ばではありますが、新体制のもとでは透明性を高くクリーンなクラブにしていくという強い想いを持っておりまして、経営体制が変わったからこそ長期的につづいた問題をこうやって包み隠さず公表しているところでございます。

 組織的にパワハラを隠蔽しようという意図はクラブにはまったくなかったということは、この場をお借りして断言、強く発言させていただきたいと思います。

 なお、本日(12月30日)のJリーグの報告書にございましたけれども、前GMの新里氏による事実と異なる報告があったという点でございます。現時点でその詳細についてはまったく我々は把握しておらず、発言ははっきりと断言することは出来ませんが、事実であるとすれば大変遺憾だと思っております。我々もJリーグの報告書で認識したところでございます。

 ひとえにこれまでいかにスタッフの認識が低かったか、また、ガバナンスが効いていなかったか、という証拠だと考えております。

 新しい経営体制のもとでは、フロントも含めたクラブスタッフの意識を高め、リスクマネジメントや問題が発生した際の初動を含めた対応をマニュアル化することもおこなっていきたいと考えております。

 既に強化部のガバナンス強化、ハラスメント相談窓口の外部に於ける設置、コンプライアンス研修の実施などを講じており、これらが形骸化せず実質的に機能するよう努めると同時に、さらに再発防止に向けてチェック機能が働くようなシステムを断続的にアップデートしてまいります。

 Jリーグの報告書にもありましたが、旧経営体制のなかで前社長の権限が大きく、強化部がうまく機能していなかったことも事実であります。

 また、様々な権限、負担が監督に集中していたことも事実であり、ガバナンスも機能不全だったと認識しております。

 新経営体制に於いては、フロントも含めてそれぞれの役割のなかで責任と権限を分散させ、しっかりと明確化するとともに、それらが特定の者に集中しない仕組みづくりを早急に進めてまいります。

 また、コロナの影響もあり、ここ二年は非公開練習とせざるをえませんでしたが、こうした環境も閉鎖的空間を生んでしまいがちと考えており、可能なかぎり練習も公開することでオープンな環境をつくり、それをまた抑止力につなげてまいりたいと考えております。

 来シーズンの監督につきましては先日発表したとおりでございます。

 新体制のなかで、クラブとしてはいかなるハラスメントも再発させないという強い覚悟をもって、防止措置に全力で取り組むことについて、あらためて強く伝えていく所存でございます

 オフに入り、主力選手の移籍がつづいておりますが、カムバックしてくれた選手もおります。チーム編成につきましてはJ1でシーズンを通して戦い抜けるようなチームづくりを進めておりますけれども、今期決算も赤字着地の見込みであり、来季も厳しい予算でJリーグを戦うこととなりますが、戦力や戦績より、何よりまずもってクラブのガバナンスを高め、いかなるハラスメントも二度と繰り返さない、そういう強い想いをもってシーズンに臨んでいきたいと考えております。

 私からの説明は以上でございます。

質疑応答の要点(回答はすべて進取締役)

・金前監督は退任しているが契約が残っていて会社には所属している。今後については未定。決定した懲罰を踏まえ、金前監督本人と話し合っていく。

・(サガン鳥栖が)設置した第三者委員会メンバーのなかにサガン鳥栖のチケットを買っている者がいたことは第三者委員会からの報告書を受け取った時点では認識していなかった。

・金前監督を守ることを一義に対応してきたつもりはない。

・新里前GMの契約解除は金前監督の件とは関係がない。その他の理由、会社に経営上の不利益をもたらしたことで契約を解除した。

・福岡社長と進取締役は今シーズンからクラブに携わり、金前監督が以前からハラスメント行為に及んでいたことは、現経営陣はまったく知らなかった。6月26日に発生した事案を聞いたときにすごく驚いた。

・調査を妨げるような指示は現経営陣としておこなっていない。

・「事実に反するJリーグへの報告」に関して知らなかったのは、報告の内容とは異なる前日の新里前GMと金前監督の会話の部分。

・足払いとは別のハラスメント行為についての報道があったあと、金前監督へのヒアリングはおこなったが、ユース時代のことを確認するのは難しいと思い、それ以上の聞き取りはおこなわなかった。

・監督が口止めをしたことはJリーグから指摘されるまで確認出来なかった。

<以上>

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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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