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自分たちを見つめ直した一週間。アルベル監督「移籍、けが、疲労……ベースを再構築している」【無料公開】

 

撮影:後藤勝


 ジュビロ磐田戦を前に、アルベル監督に「練習がいつもに比べて少し長かったのではないか?」と水を向けると「いつもと変わりはない」と言いながら、こう付け加えた。
「スプリントのところのトレーニングをいつものシンプルなスプリントではなく、フィニッシュのところとうまく連動したかたちでおこなったので、もしかしたらあれが少し長かったかもしれません」

◆ボールを失わないことがどれだけ重要なのか

 ただ、ゴールに向かっていくところを重視したわけではないという。ボールを大事にするという根本の思想をいま一度あらためてチームに叩き込んできたというのだ。
「ボールを保持するトレーニングを今週強調しました。ボールを持つことがどれだけ価値があることかを今シーズンを通じて選手たちが理解して表現出来るようになれば十分成功と言えます」
 ボールを大事にする、ボールを愛するというアルベル監督からのメッセージは十分に浸透していたというわけではないらしい。
「多くの人は簡単だと思うかもしれませんが、心から理解して表現することは決して簡単ではありません。前節は我々のミスから彼ら(浦和)のほとんどのチャンスが生まれていました。ボールを失わないことがどれだけ重要なのか、選手たちがまだ十分理解出来ていないからああいうミスが出てしまうのだと思います。その部分を今週強調してトレーニングしてきました。この修正はとても難しい」
 攻撃ならぬボール支配が最大の防御であるという信念が指揮官にはある。
「急ぐことをよしとするプレーを長く表現してきたがゆえに、落ち着いてボールをしっかりと保持することをおこなうのにいま苦労しています。何がいい守備かと言った場合、スペースを狭めて堅い守備をする、または激しくプレスに行くことと理解している選手にボールを保持することがよりよい守備であると理解させるのはとても難しいものです。私にとってもっともすばらしい守備の仕方はボールを失わないということです」

◆現在は期待どおりに成長のプロセスを辿っていない

 現在のチーム状況についてはかなり率直に語っていた。
「けが人の多さゆえにプレー時間が重なり疲れている選手もいます。それも影響してか、この間の試合(J1第21節浦和レッズ戦)は簡単にボールを失ってしまう場面が多かったです。けが人に加えて移籍した選手もいて、シーズンのスタートからベースの構築に関わっていた選手が複数チームにいない状態です。よって再構築しているということもあります。
 移籍、けが、そして疲労がたまっている選手もいるがゆえにここ最近は期待しているとおりに成長のプロセスを辿っているかというと、残念ながらそうではないというのが現状です」
 このアルベル監督の言葉は浦和戦の観戦記で記した内容と共通するものがある。やはり戦力が整わず、現状は眼の前の試合に向かっていくことで精一杯なのだろう。そう右肩上がりの成長が一定ペースでつづくはずもない。現有戦力の再調整が済み、夏の補強を加味して戦力を再編成したときから再び成長出来るよう、いまは自分たちを見つめ直し、あらためて鍛えていく必要がある。
「ボールを保持することの大切さを選手たちに理解させる、説得することが私にとって今週のもっとも重要な仕事のひとつです。と同時に、その大切さを理解している選手が新たに加入することによってチームはさらに成長を遂げることが出来ると思います」
 まずはいまいる選手が意地を見せるべき。そしてコンセプトを体現しようとするべき。山下敬大、安倍柊斗だけでなく、全員の奮起が望まれる。

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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