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エウ ガヴィラン フィジカルコーチ退任。揺れるアルベル監督「私はひとりになってしまいました(笑)。 日本語を学ばないとやっていけません」【J1第24節清水エスパルス戦に向けて/無料公開】

 

©F.C.TOKYO


 J1第24節清水エスパルス戦を二日後に控えた8月5日、FC東京に激震が走った。エウ ガヴィラン フィジカルコーチが突然の退任。アルベル監督は「今回の彼の退任は私的な理由だったのでそれは仕方のないことと受け止めています」と理解を示しつつ、やはりアルビレックス新潟時代から行動をともにしてきたエウとの別れに一抹の寂しさは隠せない。
「私はひとりになってしまいました(笑)。日本語を学ばないとやっていけません」
 そこは日本のスタッフにがんばってもらって──と水を向けると、アルベル監督は「いいスタッフかどうかはわかりませんが」と、わざとおどけながら「支えてはくれているようです」と言って前を向いた。

◆新たなフィジコを獲得へ

 この緊急事態にもちろんクラブも動いている。アルベル監督は現状をこう説明した。
「いま適任者を探すかたちで動いています。当然、いまの時期に簡単ではありません。この時期ですとなかなか難しいものです。(次のフィジカルコーチが見つかるまでの間はどうやってトレーニングメニューをつくっている?)特にいま問題はないと思います。アスレティックトレーナーの松原(佑治)が臨時的にエウの不在をカバーするかたちをとっていますし、いまシーズン終盤に向けてトレーニングの流れというものはもう構築されているので、そういう意味ではまったく問題なくトレーニングは進んでいます」
 問題がないと言いつつもこのままではいけないということは、つづくアルベル監督自身のサッカー界評が明確にあらわしている。
「この現代サッカーに於いてサッカーのためのフィジカルトレーニングにはトレーニングのスタイルというものが重要な影響を及ぼします。フィジカルトレーニングのかたちがチームのトレーニングに及ぼす影響が強いのではなくその逆です。
 以前は、フィジカルトレーニングはサッカーと切り離されたかたちでサッカー界でもトレーニングがおこなわれていました。けれども、私が信じている現代サッカーのスタイルはプレースタイルがあり、そしてトレーニングスタイルがあり、それにフィジカルコーチが適応しなければいけないかたちだと認識しています。
 フィジカルトレーニングに関しては、日本サッカーはまだまだ改善の余地が残されているかと思います。ピッチでのトレーニングの部分というよりはジムでの筋力トレーニングのところに改善の余地があるかと思います。
 あとはけがをした選手があらためて現場復帰をするための適応の期間でのフィジカルコーチの貢献というのも改善の余地があるかと思います。
 FC東京だけの話をしているのではなく、日本サッカー全体にフィジカルトレーニングとフィジカルコーチの改善点は見受けられると思います。ヨーロッパでは1クラブに5人、6人とフィジカルコーチが関わっていることが常識となりつつあります。今後もさらにその傾向は強くなってくると思います。フィジカルコーチの需要が増えてくると思うので、サッカー界に飛び込みたい若い人たちがフィジカルコーチとして学び、この世界に関わる可能性はあるかと思います。フィジカルトレーニング、分析の部分は現代サッカーで発展してきた部分でしょうし、今後もその傾向は強まると思います」

◆日々成長すること以外は求めない

撮影:後藤勝


 これから学ぶ若者ではなく即戦力のフィジコを求める必要がある東京だが、差し当たっては現体制で清水に立ち向かわなくてはならない。うまくいっていた前節サンフレッチェ広島戦同様のメンバーを採用するのか、復帰してきたヤクブ スウォビィクやレアンドロを活用するのかは不明なれど、前節で活躍した波多野豪のみならず三田啓貴への評価は低くなかった。
「タマのクオリティには議論の余地はないと思います。ただ、サッカーのクオリティだけでは活躍出来ません。加えて集中力も重要ですし守備での貢献も重要になってきます。(その点)タマはうまく改善し、広島との試合ではいろいろな要素に於いて貢献してくれたと思います。彼のような特長を持った選手はウイングでもインサイドハーフとしもプレー出来る。とても重要な戦力のひとりです」
 アルベル監督は大型補強を敢行した清水の攻撃力を警戒しながらも、いつものように自分たちへと矢印を向けた。
「いつもと同じコメントになってしまいますが、試合を重ねるごとに日々成長していきたい。それはこのホーム2連戦でも同じことです。一試合一試合が別物です。集中して臨むことが大切。ホームではより心地よくプレー出来ます。日々成長以外のことを求めようとは思わない」
 練習医に合流してはいるもののまだ実戦でのプレーが難しい中村帆高など一部の選手が欠けてはいるが、もうフルメンバーに近い状態で選手を選べる状況になってきている。パワーアップしただろう清水に負けないよう、現時点で最良の組み合わせを見つけ出し、この一戦に臨みたい。

撮影:後藤勝


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『青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン』は、長年FC東京の取材を継続しているフリーライター後藤勝が編集し、FC東京を中心としたサッカーの「いま」をお伝えするウェブマガジンです。コロナ禍にあっても他媒体とはひと味ちがう質と量を追い求め、情報をお届けします。

 

 

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◎後藤勝(ごとう・まさる)
東京都出身のライター兼編集者。FC東京を中心に日本サッカーの現在を追う。サカつくとリアルサッカーの雑誌だった『サッカルチョ』そして半田雄一さん編集長時代の『サッカー批評』でサッカーライターとしてのキャリアを始め、現在はさまざまな媒体に寄稿。著書に、2004年までのFC東京をファンと記者双方の視点で追った観戦記ルポ『トーキョーワッショイ!プレミアム』(双葉社)、佐川急便東京SCなどの東京社会人サッカー的なホームタウン分割を意識した近未来SFエンタテインメント小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』(カンゼン)がある。2011年にメールマガジンとして『トーキョーワッショイ!MM』を開始したのち、2012年秋にタグマへ移行し『トーキョーワッショイ!プレミアム』に装いをあらためウェブマガジンとして再スタートを切った。

 

■J論でのインタビュー
「ライターと編集者。”二足の草鞋”を履くことになった動機とは?」後藤勝/前編【オレたちのライター道】

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