Dio-maga(ディオマガ)

【頼コラム:幸福の青いカモシカ】創刊によせて

たとえば、昨年のJ1昇格プレーオフ準決勝。山岸選手が劇的な決勝ヘディングゴールを決めたあの場面。伊東選手の裏への飛び出しからコーナーキックとなった時、右コーナーに近い位置にいたのは宮阪選手の方でした。刻々と時間がなくなっていく中で、石川選手は最初、宮阪選手に蹴りに行くよう合図したそうです。でも宮阪選手は敢えて石川選手にキッカーを譲りました。

「絶対にタツさんが蹴った方がいいと思った。(自分は)今日はあんまり当たっていなかったし、タツさんは(4日前の)天皇杯でもいいアシストをしていたし」

石川選手がコーナーに走ると、宮阪選手はカウンターに備えて一人後ろに残ります。この時も仲間に指示を出します。

「山田も残ろうとしたけど、上がれと言って、一番後ろで見ていました」

そしてあの奇跡的なゴールが決まると、宮阪選手は一人で小さくガッツポーズをして、キックオフに備えてセンターサークル付近に止まります。

「相手の誰かが、早く始めようとセンターに戻って行ったので」

喜びながらも冷静に状況を見ていた宮阪選手の目には、ベンチで狂喜乱舞する山﨑選手や兼田選手の姿が映っていました。なんというフィクサーぶり。

そういう話が好きです。ピッチ上で繰り広げられる事象の水面下で、どんな戦略や思惑があったのかを、直接当事者に聞くことができる。それが私たちメディア(媒介)となる者の役得であり、役割だと思っています。
「神は細部に宿る(God is in the detail)」と言います。ドイツ生まれの建築家の言葉だそうですが、サッカーもまた、全くもってその通りのように思えるのです。

そんなわけで、サッカーにもモンテディオ山形にも超詳しいフリーライターお二人と一緒に、新しいWebマガジン〈Dio-maga〉を始めることになりました。プレーでも言葉でも、その細部に宿る神——本音とか本意とか機微とか時々は高度な戦術とか技術とか——を「みーっけ!」と探し当て、「ちょっと聞いてくださいよぅ」という気持ちで皆さんにお伝えできたらなあ、と思っています。

そうそう、頼野が〈Dio-maga〉の編集長だと喧伝する人がいるかもしれませんが、たちの悪いデマですので惑わされてはいけませnうわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp。

あらやだ、嶋さんそういうこと言うのやめてよワタシ誌面上31歳で通すつもりdうわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp。

どうぞよろしくお願いいたします。

頼野亜唯子(よりの・あいこ)
栃木県出身。
広告代理店勤務などを経てコピーライター・広告ディレクターとして独立し、仙台市を拠点に活動中。いつしかサッカーの仕事にも手を染め、現在は『サッカーダイジェスト』等でモンテディオ山形の記事を中心に執筆。サッカー×将棋コラボ、東北人魂関連は折に触れ継続取材。基本的に人見知りで引きこもりですが、アンテナが反応すると突然ぐいぐい行きます。
Twitterでフォローする @shikamin_a

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ