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【トピックス】髙橋節前社長解任問題への声多く モンテディオ山形のサポーターカンファレンス

12月26日、株式会社モンテディオ山形が山形ビッグウイング2階大会議室にて「サポーターカンファレンス」を開き、取締役6名がクラブの運営方針や新スタジアム構想についての説明を行った後、サポーターからの質問に答えて意見交換を行った。

カンファレンスは2部構成。まずは森谷新社長からクラブ経営について、中井川強化・運営部統括取締役から15年シーズンの振り返りとアカデミー事業について、横内事業推進部統括取締役からは新スタジアム構想についての説明が行われた。

森谷新社長は経営計画で、12月1日現在の15年度の実績収入見込みを19億7600万円とし、当期純利益を6,000万円の黒字と見込んだ。その上で「入場料収入が60%くらいになり、Jリーグからの分配金も半分になる」と収入減を考慮して、16年度は16億3,500万円の収入の見通しを立てていると説明した。

中井川取締役からは今シーズンの総括が行われ、「試合を優位に進めながら引き分けた試合が多いなど、7割の試合で接戦だった。結果を残せなかったが昨年から継続したスタイルの浸透が大きかった」という分析があり、「90分通しての安定性や相手との状況に応じての対応」、「攻める回数が多いがフィニッシュの精度が低い」と課題を述べた。来季の編成については「継続と再構成」と方針を固め、新たに個の打開力を持つ選手や成長が期待できる若手選手の獲得を目指していると説明した。

横内事業推進部統括取締役からは、先日発表された新スタジアム構想について改めて説明が行われた。来年度以降の検討の進め方については大きく2つ。1つ目は「山形県全体で取り組むべき内容。村山だけでなく、置賜、庄内、最上各地での理解や意見要望を伺う必要がある」として各所での講演や説明を行い、意見を集めること。2つ目は今回の旗振り役が誰になるのかという事業手法の具体化と事業手法に基づいた基本計画の検討を行うこと。これらを掲げた上で、「早い時期に具体的な検討に着手したい」と話していた。

サポーターからの質疑応答については、中井川取締役による総括後と横内取締役による構想説明の後に2度設けられ、森谷新社長や中井川取締役、横内取締役がそれぞれ質問に応じていた。

その中では髙橋節前社長解任について説明を求める声も多く「モンテディオ山形は一体誰のものなのか。今回の責任を誰かが取って新たに進むべきではないか」「どうやって透明性を高めるのか」「スポーツへの政治介入は課題」「万一、また株主から干渉を受けた時に森谷社長はクラブを守る覚悟はあるのか」といった、抗議や今後のクラブ運営を危惧する質問が相次いだが、サポーターがクラブ出した嘆願書への返答やこれまでの会見等から大きく変わる返答は少なかった。

カンファレンス後のサポーターも「社長に言っても仕方のないことだが、不信感は拭いきれなかった」「サポーターがもっと前向きになれる言葉が欲しかった」という不満の声も残っていた。この件については、株主である山形県知事だけでなく、クラブとしても今後も明確で透明性のある返答を求められることになるだろう。

前社長解任の問題の意見を、新社長をはじめとしたクラブにぶつけても仕方ない部分もある。しかし、そういったサポーターの不安の声を解消させるだけの言動が新社長に求められるのもまた事実だろう。今後の森谷新社長の挽回に期待したいところだ。

今回のカンファレンスに参加したサポーターは前回のおよそ80名から210名へと増加。髙橋前社長解任問題や新スタジアム問題など関心事が多く、クラブ運営への関心が高かった事も要因の一つだろう。一連の問題からクラブ運営への関心が高まったと言うのは皮肉になってしまうが、どのような理由であれ、クラブ運営に興味を持ってくれる方が増えること自体は歓迎すべきことだろう。

○ACMY藤倉氏が持ち株比率についてクラブに意見。
質疑応答の中で、モンテディオ山形サポーター連合「ULTRAS ACMY」代表の藤倉晶氏が「吉村知事と細谷副知事は上司と部下の関係にある。これを放っておくと、いつでも社長が変わることになってしまう。この持ち株比率を変えるか、21世紀協会の理事長を変えるなど、仕組みを変える話し合いはしているのか」と質問し、事実上、山形県が51%の株を抱えているクラブの現状を危惧していた。これに対して森谷社長は「話し合っていない」と返答するに留まっている。

カンファレンス後に藤倉氏は「今回は山形県知事と山形県副知事が株を動かして社長が解任する形になった。そこを変えないと、いつまでたっても急に社長が代えられてしまう。副知事が(スポーツ山形21の)理事長を務めているのも問題で、これではいつでも結託できてしまう。スポーツ山形21にも理事長を民間にするなど動いて欲しい。こういった行動を起こさないでくださいとお願いするのは一人ひとりの署名の声なので、まずはこの声を県知事に届けたい」と話し、株主の強権を抑える抑止力の必要性を訴えていた。

髙橋前社長解任問題については、現在も吉村美栄子山形県知事に向けて抗議の署名活動が行われており、すでに2,000名分以上の署名を集めている。

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