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【ランダムフォーカス】祝福~山岸範宏選手


前節長崎戦は永藤選手の劇的な決勝ゴールで勝利! J3降格の恐怖がなかなか消えない中での待望の勝利に、スタンドに駆けつけていた選手たちのご家族の中にも、涙を見せていた方がちらほらいらしたとか。それほどの価値あるゴールでした。もちろん、永藤選手本人をはじめ選手たちは、オフ明けの水曜日にはすでに次の試合へと気持ちを切り替えていましたが、我々はもう少しの間あの感動を味わってもいいですよね? ということで、今回は山岸選手にフォーカスです。

0-0のまま残り時間がなくなっていく中、ディエゴ選手からのボールを受けて駆けて行く永藤選手を、山岸選手は最後尾から祈るような気持ちで見ていました。

「一つ前にも彼のチャンスがあって、しかもいつも練習している角度のシュートでキーパーに止められた。それが決まらないか…と思いました。でも、この内容で0−0じゃもったいねえなという思いがあったんです」

そんな中、再び訪れた永藤選手のビッグチャンス。「ここは決めろ!」というキャプテンのーーそしてスタジアム全体の思いが通じたように、永藤選手の放ったシュートはキーパーの手をかすめ、ファーポストを叩いてゴールに吸い込まれました。

「スタジアム全体の時が止まりましたよね。しかもあれ、風もあって中に入って行った。逆風だったら、もしかしたらポストに当たって外に出ていたかもしれない」

この試合、コイントスに勝った長崎が前半に風上のサイドを選んだため、前半は向かい風に苦しめられたモンテディオでしたが、最後の最後に風を味方につけました。

試合終了の瞬間、永藤選手を高く抱え上げてスタジアムの祝福を受けさせていた山岸選手。永藤選手は試合後のコメントで「(山岸選手に)『サポーターにガッツポーズをしろ』と言われたんです」と明かしていますが、このことを山岸選手に伝えると「あいつ、そこは言わなくていいのに」と苦笑。

「キャンプからずっと、僕は彼に厳しいことも言ってきたし、彼が苦しい思いをしてきたのも見てきたから、ここぞとばかりにね」

みんな、こいつが今日のヒーローだ。思い切り讃えてやってくれよ。そんな思いをこめて、殊勲のルーキーを抱え上げたベテラン。でも、試合後のロッカールームでは「調子こいたら俺が鼻をへし折ってやるからな!」と忘れずに釘を刺したそうです。さすがキャプテン、隙がありません。

文・写真:頼野亜唯子

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