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【トピックス】建設場所は35市町村によるプロポーザル方式を検討中。「新スタジアム推進に関する説明会」開催

株式会社モンテディオ山形は6月16日、新スタジアム推進について山形県内35市町村を対象にした「山形県内各市町村対象の新スタジアム推進に関する説明会」を開催。21市町村から担当者が参加し、森谷俊雄社長と横内崇新スタジアム推進室長から新スタジアム推進事業体設立に向けた進捗状況や今後の展開などの説明を受けた。

モンテディオ山形の新スタジアム推進事業は、現在、17年2月に立ち上がった推進事業体設立発起人が将来の運営母体となる株式会社化を進めているが、「出資者との関係などを調整中」(森谷社長)として事業体設立について大きな進捗はなかった。

しかし、発起人会内部では様々な検討が進められているようで、新スタジアム建設の最大の問題点となっているスタジアムの建設場所については、県内各35市町村を対象に場所とスタジアム活用方法などの企画提案を受けて設置自治体を決める「プロポーザル方式」を検討していることが明らかになった。

プロポーザル方式は、目的にマッチした企画を提案してもらい、委託する候補者を決める方式。京都サンガF.C.のホームスタジアムになる京都スタジアム(仮称)を参考にしており、吹田スタジアムでも企業を対象にしたプロポーザル方式で候補者を決めている。山形の場合は、募集する対象が企業ではなく市町村になり、設置場所も含めた市町村ごとの街づくりのトータルプランを募ることになりそうだ。

説明会では、参考資料として経済産業省の「魅力あるスタジアム・アリーナを核としたまちづくりに関する計画策定等事業」採択事業で策定中の計画の中から、スタジアムのモデルスタディとして「街なか」と「郊外」の2ケースが紹介された。

「街なか」では商店街や飲食店などが連携した街の魅力をトータルプロデュースする「エリアマネジメント」の視点で、ライブなどの興業やコンベンション、観光情報発信施設などをイメージした人を集める役割を担う発想を紹介。
「郊外」では、集客ノウハウに長けた民間を選定し、公共施設部分を含めてトータルに管理する「パークマネジメント」の視点を持ち、広場や公園、動物園などの社会教育施設、他スポーツ施設やフィットネス、スポーツ医療の拠点施設だけでなく、カフェやコンビニなどの民間と連携して賑わいを演出する考えが示された。
これらのケーススタディ参考に、基本計画に沿った形で各市町村が作る場所や企画の提案を受けて、建設地となる市町村を選定。その後、企画をベースにして設置する市町村や県と連携しながら具体的なスタジアム像を作り上げたいのが発起人会の考えのようだ。

このプロポーザル方式の採用はまだ正式決定されておらず、「発起人会の中で検討中」に留まっている。ただ、発起人会の中でも大筋で合意があり、今回35市町村を対象に説明会が行われたことを考えても採用される可能性はかなり高いようだ。森谷社長も「官民連携でやる思いがある。山形にとって最良のスタジアムができるのではないか」と期待を込めて話していた。

当然、35市町村全てが手を挙げるわけではないだろう。森谷社長も「参加するかどうかは各市町村次第。ただ、山形県全体の一大事業になるので、門戸をなるべく広く開けた」としている。
しかし横内室長は、「(街なかと郊外の)どちらでも稼げるはず」(横内室長)と話し、岩手県紫波町が2012年にバレーボール専用体育館に大型図書館やカフェ、産直マルシェを併設させた「オガールプラザ」を例に挙げて、官民が連携した街づくりの視点を含めた複合施設の可能性に言及する。

山形の場合は民間で事業体となる株式会社を立ち上げた上で、選定された市町村と連携して都市計画を含めたスタジアム建設になる。建設場所は最終的にひとつに落ち着くが、公募から外れた企画が形を変えて別の街づくりプランに発展するのも悪い話ではないはずだ。
山形の新スタジアム推進の最大の懸案事項だった建設場所の選定は、各市町村の提案次第で決まることになりそうで、今後は民間だけでなく官も交えた議論が進んでいきそうだ。
なお、今年1月に新スタジアム推進事業体発起人の寒河江浩二代表が話した21年4月からの運用開始という目標については、横内室長が難しいのではないかという考えを示している。建設場所の選定方針が時間を要するプロポーザル方式に大筋で決まったことで、スケジュールに遅れが出た形。具体的な建設目標時期については「会社を立ち上げる際に作る事業計画で詳しく決まると思う」(横内室長)と話していた。

プロポーザル方式の詳細については、株式会社化、基本計画策定、そして事業化が決定してから明らかになるが、2ヶ月後を目処に再び説明会が開かれる予定。今回の説明会は、その前段階としてプロポーザル方式の可能性を各市町村に説明する場になった。まずは各市町村が持ち帰って検討することになるが、市町村側の反応も気になるところだ。

(文・写真 嶋守生)

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