Dio-maga(ディオマガ)

【トピックス】モンテディオユースはクラセン準決勝敗退も堂々3位で山形サッカー界に希望をもたらす。

快進撃を続けているモンテディオ山形ユースは7月31日、第41回日本クラブユース選手権準決勝で浦和レッズユースと対戦、0-2で敗れたが、クラブ史上最高順位となる大会3位の好成績を残した。

モンテディオユースは、この浦和ユース戦でも切り札の吉田樹をベンチに残す必勝でパターンでメンバーを組む。3-4-3でサイドにボールを散らしたい浦和ユースの攻撃に対して、モンテディオユースがこの大会を通じて機能させてきた守備が上手くハマり、相手に回させながらもボールを奪ってはセットプレーやロングスローを中心に反撃する。

「個人でやられる部分は少なかったし、チームでも崩される印象はあまりなくて、一人一人が強く戦ったなと思います」(高山颯斗)と、自陣まで運ばれてもそこから先をやらせることは少なく、機能していたのは山形の守備の方だった。

しかし前半17分、この試合1本目の右からのコーナーキックで、中央ファーサイドよりの所からヘディングシュートを決められて先制点を与えてしまった。
「コーナーキック一発でだいぶウチとしたら狂ってしまったという感じ」(モンテディオユース・今井監督)
「あれ(セットプレー)がなかったら大変なことになっていた。心も折れていただろうし、(選手たちの)拠り所になった」(浦和ユース・大槻監督)
と、試合の流れを大きく変える得点となった。

前半を無失点で凌いで後半勝負というゲームプランが崩れてしまったモンテディオユースは、「疲労もでてくるし、2点目を取られると厳しいゲームになる」(今井監督)と26分に吉田を投入して流れを変えようとする。
ここからは時間帯はモンテディオユース。28分吉田、39分半田とシュートを狙ったり、27分には右サイドで鈴木が溜めてからのクロスに、石井と仲嶋が飛び込んでいくプレーや、37分にも川俣のパスを中央で受けた仲嶋がフリーで前を向いてシュートを狙う決定機に近い形もあった。

後半は暑さもある中でモンテディオユースがプレスの圧力を強めて高い位置でも積極的にボールを奪いに行く。攻めるモンテディオユースと守ってカウンターを狙う浦和ユースの展開になると、56分には大友の鋭いミドルシュートがGKのビッグセーブで防がれ、その後もコーナーやロングスローで押し込みながら試合を優位に進めていたが、時間の経過とともにモンテディオユースの攻撃が跳ね返されてカウンターを受けるようになってしまう。
最後までパワープレーで攻め続けていたが、アディショナルタイムの95分にカウンターからゴールを決められ、0-2で試合を決められた。

浦和ユースの大槻監督はモンテディオユースについて、「すごくタフだし武器がある。9(鈴木朝日)にしても10(吉田樹)にしても、24(半田陸)にしても最終ラインにしても、リスタートも強いし、タフネスという言葉が合っている。技術的にも戦術的にもやることが徹底されているし、すごくいいチームだったと思います。僕らは11人集めて足し算で戦うわけじゃなく、どこが強い弱いで戦うから、そういう意味では山形には武器があるいいチームだった」と評価する。

今年のモンテディオユースは高い個の力を活かして戦うチームではなかったが、それを補って余りあるチームワークと連動性を持ったチームだった。それは最大の武器とも言える6試合で4失点という高い守備力だけでなく、鈴木の身体を張ったポストプレーや両ワイドの果敢なアタックとサイドを起点にした崩し方など、攻撃面でも活かされていた。

培ってきたチーム力は他のチームと比べても遜色がないどころかむしろ上回り、そこにプレミア勢と負けず劣らずの戦いを演じたことで得た自信がプラスされ、モンテディオユース大躍進の原動力となった。

これまでのモンテディオ山形ユースは13年のラウンド16が最高成績で、グループステージ突破も今回が2回目ながら、アビスパ福岡ユース、鹿島ユースを撃破し、堂々のベスト4となった。

「山形県はサッカーどころでは決してないんですけどね。その中でほとんどが山形県出身の選手なので、自分達が本気になって取り組めば、毎年とは言わないですが、こういうチャンスが巡ってきます。モンテディオだけじゃなくて山形県のサッカー全体として努力を続けていけば、良いゲームはあるという気はします」(今井監督)

山形県勢の高校サッカーチームとしてみてもベスト4進出は初の快挙。山形県サッカー界にとって「山形県勢のチームでもやれる」という大きな希望と自信をもたらすものとなるだろう。

モンテディオ山形ユースの後輩たちはもちろん、今後の山形県サッカー界の盛り上がりとレベルアップに繋がるよう期待したい。

(文章・写真=嶋 守生)

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ